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「金融危機下の研究開発の方向性」に関するアンケート調査結果

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6割が研究開発投資の凍結・見直しを実施。研究開発機能の売却に関心高まる

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報道発表資料 平成21年2月18日

gooリサーチ結果 (No.177)

「金融危機下の研究開発の方向性」に関するアンケート調査結果

~6割が研究開発投資の凍結・見直しを実施。研究開発機能の売却に関心高まる。
来期以降は「一部削減を進め、優先順位を明確にした投資」を重視~

国内最大級のインターネットアンケート・サービス「gooリサーチ」(*1)を共同で提供する株式会社三菱総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:田中 將介)とNTTレゾナント株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:中嶋 孝夫)は、「gooリサーチ」のビジネスモニターの登録者で、研究開発や新規事業担当者を対象に、「金融危機下の研究開発の方向性」」に関するアンケート調査を実施しました。有効回答者数は276名でした。

調査結果のポイント

研究開発投資については、日本では聖域と言われていたが、昨年来の金融危機の影響を受けた企業環境の厳しさから、研究開発や新規事業担当者を対象に行った今回のアンケート結果では、60.5%が研究開発投資の凍結や見直しを行っている。

また「中核でない研究開発テーマや機能の他社への売却や移管」について、35.9%が「関心がある」と回答しており、今後、研究開発機能の売却・移管の傾向も見られる。

売却・移管の推進理由については、「研究開発のコスト削減が必要」(31.7%)とコスト削減の視点の一方で、「他社や他研究機関との連携によるオープン・イノベーションが必要」(53.7%)と研究開発の高度化への前向きな回答が示されている。

今後、研究開発機能のM&Aや他社との協業といったオープン・イノベーションが動くとすると、自社の研究開発の客観的評価や優先順位付け、他社とのシナジー発揮がポイントである。

なお、今後は「優先順位を明確にして投資」(70.7%)の回答がありながら、実際は「研究開発ポートフォリオの策定予定はない」(59.4%)、これから「ポートフォリオを策定予定」(17.0%)、また「将来の技術ロードマップの策定予定はない(31.2%)、これから「技術ロードマップを策定予定」(22.1%)と回答されており、研究開発投資の優先順位の明確化に対して、手が打てていないギャップが分かる。

今後、研究開発の選択と集中が適切に行われないと、これまで日本企業が強いとされてきた研究開発について、国際競争力の低下が懸念される。

今回明らかになった研究開発投資の凍結・見直しといった厳しい現実の一方で、「中核でない研究分野の売却・移管」、「オープン・イノベーションによる外部連携」、「知財の積極的な活用」に対する関心の高さは、現在の逆風を前向きに捉えた日本企業の動きと言える。

果断な研究開発戦略が日本企業の復活・再生の鍵である。

《 補足 》

(*1)【 gooリサーチ 】 http://research.goo.ne.jp/
ポータルサイト「goo」を運営するNTTレゾナントと、日本のリーディングシンクタンクである三菱総研の調査企画力、コンサルティング力が融合した、高品質で付加価値の高いインターネットリサーチ・サービスです。携帯電話でアンケートに答える 「gooリサーチ・モバイル」モニター(10.7万人)、キーパーソンのビジネスマンを中心とする「gooリサーチ・ビジネス」モニター(7.0万人)、団塊世代・シニア層、ならびに若年層を中心とした郵送調査手法で回答する「郵送調査専属モニター」(3.5万人)を含め、305万人の登録モニターを擁し、消費者向け調査から、法人向け調査、グループインタビューまで、様々な市場調査ニーズに対応しています。 (モニターの人数はいずれも2009年1月現在)

<gooリサーチに関するお問合せ先>

NTTレゾナント株式会社 リサーチ部門
(Tel) 03-6703-6660、(FAX) 03-5476-2582、(E-mail)research@goo.ne.jp
NTTレゾナント株式会社 メディア事業部 広報担当
(Tel) 03-6703-6250、(E-mail) pr@nttr.co.jp

<本調査に関するお問合せ先>

株式会社三菱総合研究所 科学技術部門統括室 松田
(Tel) 03-3277-5619、(Fax) 03-3277-3473、(E-mail) stb-front@mri.co.jp
株式会社三菱総合研究所 経営企画部広報グループ
(Tel) 03-3277-0003、(Fax) 03-3277-3490、(E-mail) ccd-mg@mri.co.jp

調査結果について

1. 調査対象 「gooリサーチ」上のインターネット・アンケート画面での回答
2. 調査方法 「gooリサーチ」モニター (研究開発担当者への依頼)
3. 調査期間 平成21年1月23日(金)~1月27日(火)
4. 有効回答者数 330名(うち有効回答276名。現在、研究開発及び新規事業開発担当者)

本資料は、「総務省記者クラブ」、「経済産業記者会」「経済産業省ペンクラブ」「情報通信記者会」「NTTコーポレートニューズルーム」に配布しております。

調査結果データ

(1) 現在、日本企業は金融危機下の厳しい状況にありますが、貴社の研究開発投資で予算が凍結になったケースがありますか?

「既に一凍結が発生している」(32.6%)、「全面的に予算の見直しを実施している」(27.9%)と、合わせて60.5%で予算凍結や全面見直しという結果になっている。

【図1】予算が凍結になったケース

【図1】予算が凍結になったケース

(2) 来期以降、貴社の研究開発投資予算はどのような状況になりそうでしょうか?

一部削減を進め、優先順位を明確化にして投資」(70.7%)が最も多く、「投資全般を削減方向」(17.0%)、「今後も積極的に投資していく」(12.3%)の順となっている。

厳しい経営環境のもと、優先順位の明確化、選択と集中を一層進めた研究開発戦略の方向性が伺える。

【図2】来期以降の研究開発予算状況

【図2】来期以降の研究開発予算状況

(3) 自社の研究開発について、ポートフォリオを活用した管理や優先順位付けを進めている企業・研究機関が増えていますが、貴社の取り組みについて、下記のなかからひとつお選び下さい。

研究開発の「ポートフォリオを策定済み」(23.6%)の回答にとどまり、「ポートフォリオの策定予定はない」(59.4%)が最も多く、「ポートフォリオを策定予定」は(17.0%)となっている。

2.において「優先順位を明確にして投資」という回答が70.7%ありながら、実際ポートフォリオの策定予定がない(59.4%)、策手予定(17.0%)となっており、優先順位の明確化に対して手が打てていないギャップが見られる。

【図3】ポートフォリオ取組状況

【図3】ポートフォリオ取組状況

(4) 自社の研究開発や技術開発の指針となる、いわゆる「技術ロードマップ」を策定している企業・研究機関が増えていますが、貴社の取り組みについて、下記のなかからひとつお選び下さい。

「技術ロードマップを策定済み」(46.7%)が最も多く、「ロードマップを策定予定」(22.1%)、「ロードマップの策定予定はない」(31.2%))となっている。

3.の研究開発ポートフォリオの策定済み(23.6%)と比べるとて、技術ロードマップは策定済み(46.7%)で高い比率となっている。

【図4】ロードマップ取組状況

【図4】ロードマップ取組状況

(5) 自社の研究開発のなかで、中核でないと位置づけられる研究テーマや研究機能の他社への売却・移管への関心について、下記のなかからひとつお選び下さい。

「非常に関心がある」(7.6%)、「関心がある」(28.3%)と、関心がある回答者が35.9%になる。

これまで聖域と言われていた研究開発分野でも、厳しい経済環境の下で、その売却や移管への関心が伺える。

【図5】中核でない研究テーマ・研究機能の他社への売却・移管への関心

【図5】中核でない研究テーマ・研究機能の他社への売却・移管への関心

(6) 自社の中核でない研究テーマや研究機能の他社への売却・移管を推進する理由として、あなたのお考えに最も近いもの下記のなかからひとつお選び下さい。

研究開発は自社だけでなく、「他社と他研究機関との連携によるオープン・イノベーションが必要である」(53.7%)が最も多く、「研究開発のコストが高く、コスト削減の必要性がある」(31.7%)、「一部の研究開発テーマ・機能を売却しても、中長期的な競争力の低下の心配はない」(14.6%)の順となっている。

単なる研究開発へのコスト削減の意識だけでなく、自社の枠を越えたオープン・イノベーションによる、研究開発の高度化という前向きな理由が伺える。

【図2】中核でない研究テーマ・研究機能他社への売却・推進理由

【図2】中核でない研究テーマ・研究機能他社への売却・推進理由

(7) 企業が保有する特許の半数以上が実施率の低い休眠特許と言われていますが、貴社の特許の状況について、下記のなかからひとつお選び下さい。

「特許が確実に活用されている」(15.9%)にとどまり、「休眠状態の特許が数多く存在する」(39.1%)、「休眠状態の特許が若干存在する」(44.9%)と、合わせて84.0%が休眠特許の存在をあげている。

【図7】特許の状況

【図7】特許の状況

(8) 知財のライセンシングや知財信託や売買など、積極的な知財の活用についてのご関心について、下記のなかからお選び下さい。

「非常に関心がある」(15.6%)、「関心がある」(55.4%)となっており、合計71.0%が「関心がある」とその高さを示している。いわゆるインタンジブル・アセット(無形資産)として、ライセンシングや信託化、売買での積極的活用への関心が伺える。

【図8】知財活用への関心

【図8】知財活用への関心

NTTコム リサーチは、平成24年10月1日にエヌ・ティ・ティ レゾナント株式会社からNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社へ事業譲渡され、平成25年12月9日にgooリサーチより名称変更いたしました。gooリサーチの調査結果(共同調査含む)等についてはこちらまでお問合せください。

この調査結果の単純集計を無料にて提供しています。

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