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「これからのIR活動の方向性」に関するアンケート調査

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決算情報に表れない無形資産への関心高まる。「ブランド・暖簾・伝統」、「知財・研究開発・技術力」、「人材の質」、「環境・CSR対応」に注目

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報道発表資料 平成21年12月10日

株式会社 三菱総合研究所
NTTレゾナント株式会社

gooリサーチ結果 (No.186)

「これからのIR活動の方向性」に関するアンケート調査

~決算情報に表れない無形資産への関心高まる。「ブランド・暖簾・伝統」、「知財・研究開発・技術力」、「人材の質」、「環境・CSR対応」に注目~

国内最大級のインターネットアンケート・サービス「gooリサーチ」(*1)を共同で提供する株式会社三菱総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:田中 將介)とNTTレゾナント株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:中嶋 孝夫)は、「gooリサーチ」のビジネスモニターの登録者を対象に、「これからのIR活動の方向性」に関するアンケート調査を実施しました。有効回答者数は362名でした。

調査結果のポイント

・IR活動を通して、投資家に効果的に伝わっていると認識している項目として、「決算・業績説明」、「経営方針・中期計画」が挙げられる一方で、投資家に効果的に伝わっていないと考える項目としては、「人材の質」、「研究開発・新技術」、「環境・温暖化対策」、「リスク情報」等、いわゆる無形資産を始めとする項目が挙げられた。

・今後無形資産を伝える必要性については、「そう思う」、「どちらかと言えば思う」を合わせると約9割が、無形資産をIR活動で伝える必要性を認識している。

・具体的に、どういった無形資産を自社として重要と考えるかについては、「ブランドや暖簾や伝統」、「知財や研究開発や技術力」、「人材の質の高さ」、「環境対応や社会貢献やCSRへの対応」が挙げられた。

・こうした無形資産を効果的に伝えるうえでの課題として、「無形資産より決算説明を重視するアナリスト、投資家の姿勢」、「経営者が無形資産に対して関心が低い」といった項目が挙げられた。

・今後、国際会計基準(IFRS)の導入が注目されているが、知財や研究開発や技術力の資産計上については、「既に取り組んでいる」は約1割にとどまり、「まだ何も取り組んでいない」、「近々取り組み始める予定」、「資産計上の評価や定量化の方法が分からない」を合わせて約7割という状況である。

・現在のIR活動は、決算・業績説明に注力しているが、財務情報以外の無形資産を伝えることについても関心は高い。

・国際会計基準の導入も踏まえて、自社の持つ「ブランド・暖簾・伝統」、「研究開発・新技術」、「人材の質」、「環境・CSR対応」といった無形資産を、今後いかに効果的に伝えるか注目されるところである。

なお、三菱総合研究所では、企業の無形資産を診断・評価し、無形資産を向上させるためのコンサルティングサービスを年内から開始する予定である。 また金融機関向けに、無形資産の価値評価からみた有望企業のスクリーニングサービスも併せて年内から開始する予定である。

《 補足 》

(*1)【 gooリサーチ 】 http://research.goo.ne.jp/
ポータルサイト「goo」を運営するNTTレゾナントと、日本のリーディングシンクタンクである三菱総合研究所の調査企画力、コンサルティング力が融合した、高品質で付加価値の高いインターネットリサーチ・サービスです。携帯電話でアンケートに答える 「gooリサーチ・モバイル」モニター(11.8万人)、キーパーソンのビジネスマンを中心とする「gooリサーチ・ビジネス」モニター(7.8万人)、団 塊世代・シニア層、ならびに若年層を中心とした郵送調査手法で回答する「郵送調査専属モニター」(3.5万人)を含め、416万人の登録モニターを擁し、 消費者向け調査から、法人向け調査、グループインタビューまで、様々な市場調査ニーズに対応しています。 (モニターの人数はいずれも2009年12月現在)

<本調査に関するお問合せ先>

株式会社三菱総合研究所
科学技術部門統括室 松田
先進ビジネス推進センター 高橋
(Tel) 03-3277-5619、(FAX) 03-3277-0567、(E-mail)platinum-info@mri.co.jp
広報・IR部 広報室 笠田・鈴木
(Tel) 03-3277-0003、(FAX) 03-3277-3490、(E-mail) media@mri.co.jp

<gooリサーチに関するお問合せ先>

NTTレゾナント株式会社 リサーチ部門
(Tel) 03-6703-6660、(Fax) 03-5476-2582、(E-mail) research@goo.ne.jp
NTTレゾナント株式会社 広報担当
(Tel) 03-6703-6250、(E-mail) pr@nttr.co.jp

調査結果について

1. 調査対象 「gooリサーチ」モニター 上場企業に勤務かつ以下の担当業務
・経営全般 ・広報宣伝 ・経営企画 ・経理・財務または、役付役員の方

上場区分は、「1部」(80.1%)、「2部」(11.0%)、「店頭公開」(5.0%)、「東証マザーズ」(2.5%)、「ヘラクレス」(0.6%)、その他(0.8%)となっている。
上場区分
2. 調査方法 「gooリサーチ」上のインターネット・アンケート画面での回答
3. 調査期間 平成21年10月26日(月)~10月30日(金)
4. 有効回答者数 362名

本資料は、「総務省記者クラブ」、「経済産業記者会」、「経済産業省ペンクラブ」、「情報通信記者会」、「NTTコーポレートニューズルーム」に配布しております。

調査結果データ

(1) 現在の自社の株価について、率直にどのように思われますか。(単一回答)

「市場から適正に評価されている」(46.1%)が最も多く、以下「市場から低めに評価されているが、実際はもう少し高いはずだ」(42.5%)、「市場から高めに評価されているが、実際はもう少し低いはずだ」(10.5%)の順となっている。

現在の自社の株価について、率直にどのように思われますか。のグラフ

(2) 貴社ではIR活動について、どの程度の投入人員・費用に対して、どの程度の効果があったか、効果測定をしていますか。(単一回答)

「効果測定をしていない」(70.2%)、「効果測定をしている」(29.8%)の順となっている。

貴社ではIR活動について、どの程度の投入人員・費用に対して、どの程度の効果があったか、効果測定をしていますか。のグラフ

(3) IR活動は、何をもって効果があったとお考えですか。(複数回答)

「適正な株価形成」(72.2%)が最も多く、以下「経営陣のIR活動への理解促進」(58.3%)、「社員・関係部署のIR活動への理解促進」(43.5%)、「機関投資家とのコミュニケーション増加」(43.5%)の順となっている。

IR活動は、何をもって効果があったとお考えですか。のグラフ

(4) IR活動の効果測定は今後どうしたいとお考えですか。(単一回答)

「今は行っていないが、機会があれば効果測定をしたい」(48.3%)が最も多く、以下「重要なので継続すべき」(23.5%)、「今は行ってなく、今後においても行う予定はない」(21.5%)の順となっている。

IR活動の効果測定は今後どうしたいとお考えですか。のグラフ

(5) 年間どの程度、IR活動への予算をお持ちですか。(単一回答)

「予算はない」(26%)が最も多く、以下「2,000万円超」(21.8%)、「100~500万円未満」(17.1%)の順となっている。

【図5】年間どの程度、IR活動への予算をお持ちですか。のグラフ

(6) 今後のIR活動の予算について伺います。(単一回答)

「横ばいを見込んでいる」(66.3%)が最も多く、以下「減少を見込んでいる」(18.2%)、「増加を見込んでいる」(15.5%)の順となっている。

今後のIR活動の予算について伺います。のグラフ

(7) IR活動のなかで、それぞれのテーマについて、どの程度効果的に伝えられているとお考えですか。(テーマ毎に単一回答)

「効果的に伝わっている」「まず伝わっている」との回答が最も多かったのは「決算・業績説明」(双方の合計87.9%)であり、「経営方針・中期計画」(同71.3%)がこれに次ぐ。

その一方で、「伝わっていない」「あまり伝わっていない」との回答が最も多かったのは「人材の質」(双方の合計65.5%)であり、「研究開発・新技術」(同52.2%)がこれに次ぐ順となっている。

IR活動のなかで、それぞれのテーマについて、どの程度効果的に伝えられているとお考えですか。のグラフ

(8) IR活動のなかで、それぞれのテーマについて、今後どの程度取り組みを改善したり、注力したいとお考えですか。(テーマ毎に単一回答)

「積極的注力・改善したい」「注力・改善したい」との回答が最も多かったのは「経営方針・中期計画」(双方の合計85.3%)であり、「決算・業績説明」(同82.9%)、「経営者のメッセージ」(79.6%)がこれに次ぐ順となっている。

IR活動のなかで、それぞれのテーマについて、今後どの程度取り組みを改善したり、注力したいとお考えですか。のグラフ

(9) 決算説明以外の発信内容で、ブランドイメージや暖簾、知財や技術力、CSRへの対応、危機やリスクへの対応など、いわゆる企業の持つ「無形資産」について、今後伝える必要があると思いますか。(単一回答)

「どちらかと言えば思う」(53.6%)が最も多く、以下「そう思う」(34.8%)、「どちらかと言えば思わない」(8.3%)の順となっている。

「どちらかと言えば思う」と「そう思う」を合わせると、88.4%が無形資産を伝える必要があると回答している。

決算説明以外の発信内容で、ブランドイメージや暖簾、知財や技術力、CSRへの対応、危機やリスクへの対応など、いわゆる企業の持つ「無形資産」について、今後伝える必要があると思いますか。のグラフ

(10)いわゆる無形資産について、貴社ではどういった無形資産が重要とお考えですか。(複数回答)

「ブランドや暖簾や伝統」(52.2%)が最も多く、以下「知財や研究開発や技術力」(51.9%)、「人材の質の高さ」(44.8%)、「環境対応や社会貢献やCSRへの対応」(43.9%)の順となっている。

いわゆる無形資産について、貴社ではどういった無形資産が重要とお考えですか。のグラフ

(11)無形資産を効果的に投資家に伝えるうえでの課題は何だとお考えですか。(複数回答)

「無形資産より決算説明を重視するアナリスト、投資家の姿勢」(46.4%)が最も多く、以下「経営者が無形資産に対して関心が低い」(33.7%)、「社内の他部署のサポートが少ない」(27.9%)の順となっている。

無形資産を効果的に投資家に伝えるうえでの課題は何だとお考えですか。のグラフ

(12)会計基準の国際化について最近頻繁に話題になるようになりましたが、例えば知財や研究開発や技術力といった無形資産の資産計上について、貴社の取り組み状況をお知らせ下さい。(単一回答)

「無形資産の資産計上にまだ何も取り組んでいない」(34.5%)が最も多く、以下「無形資産の資産計上に近々取り組み始める予定だ」(17.7%)、「資産計上の評価や定量化の方法が分からない」(17.1%)の順となっている。「無形資産の資産計上に既に取り組んでいる」は(13.3%)という回答にとどまった。

会計基準の国際化について最近頻繁に話題になるようになりましたが、例えば知財や研究開発や技術力といった無形資産の資産計上について、貴社の取り組み状況をお知らせ下さい。のグラフ

(13)現在のIR活動の悩み・課題・理想に関する率直なご意見をお聞かせ下さい。(自由記述)

■経営者関連

  • 経営者がIR活動について理解がない。
  • 経営者のIR活動に対する意識が低いと感じる。

■社内関連

  • 社内でのIRの認知度が低い。
  • 専門部署の仕事と思って、他部門は適当な対応である。
  • 上部組織が勝手に取り組み、全事業所に強要するだけの活動のように思う。

■アナリスト関連

  • すぐに数字の結果を求めるアナリストが増えてきた。
  • アナリストから本質ではなく、細かい質問が多すぎる。
  • そもそも関心を寄せられるのは決算だけであり、発表する側の期待とずれている。
  • 事業分野が多様なのに、同じ業種のなかで横並びに比較するアナリストの評価方法が疑問。

■個人投資家関連

  • なかなか個人株主が増えない。
  • 個人投資家が少なく流動性が低い。
  • アナリストだけでなく、個人投資家や消費者も重視したIR活動が理想。

■株価関連

  • 業績と株価が連動していない。
  • IR活動が株価に反映しにくい。

■費用対効果・効果測定関連

  • 定量的に効果が捕らえられる仕組みが必要。
  • 費用対効果がわからず社内で認知されない。
  • 効果を定量的に測定できないので、IRの予算を社内で承認させるのが難しい。

■開示関連

  • 四半期業績の開示で、人的、コスト負担が大きくなってきている。
  • 四半期決算は自社経営にそぐわない基準であり、財務上から競争力がそがれている。
  • 四半期決算発表をなくし、その企業の実態に合った多面的なIRができればよい。

■無形資産関連

  • ナレッジの資産価値を公開したい。
  • 自社が、「手づくり」の製造業なので、そこで働く人材の質が重要な資産だが、現在のIR活動では正確に伝わっていない。
  • 環境やCSRに対する取り組みを積極的に発信し、企業の付加価値になること。
  • 決算だけでなく、無形資産を含めて企業を全体的に理解してもらえるIR活動が理想。
  • 無形資産のような非財務情報を適切に評価できる方法が必要。
  • 独自技術や付加価値に対して権威ある第三者による評価付けが必要。
  • 人材等を評価する第三者機関があったほうがいいのではないか。
  • 非財務情報に対して、マーケットがどの程度興味を持っているのか分からない。
  • 企業価値を高めるために人の質を向上させ、取り組ませたい。

■ネット、ホームページ活用関連

  • ウェブを効果的に活用したい。
  • タイムリーな情報開示をネットの活用で行いたい。
  • ネットで双方向のコミュニケーションを図りたい。

■中長期視点関連

  • 中長期的視点での魅力度のアピールを効果的に織り込んでいくことが大切に思う。
  • 短期的志向に走りがちな機関投資家に対するIR活動よりは、中長期的に会社活動を理解・支援してくださる個人投資家のIR活動を重視してゆきたい。
  • 中長期目標の提示と現時点の到達度や環境の変化に対するタイムリーな修正を示し、投資判断がしやすくなるようになればいいと思う。

NTTコム リサーチは、平成24年10月1日にエヌ・ティ・ティ レゾナント株式会社からNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社へ事業譲渡され、平成25年12月9日にgooリサーチより名称変更いたしました。gooリサーチの調査結果(共同調査含む)等についてはこちらまでお問合せください。

この調査結果の単純集計を無料にて提供しています。

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