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第2回「研究開発の方向性」に関するアンケート 調査結果

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研究開発投資の凍結・見直しが昨年以上に進行するなかで、オープンイノベーションへの関心が高まる

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報道発表資料 2010年4月19日

株式会社 三菱総合研究所
NTTレゾナント株式会社

gooリサーチ結果(No.189)

第2回「研究開発の方向性」に関するアンケート 調査結果

~研究開発投資の凍結・見直しが昨年以上に進行するなかで、
オープンイノベーションへの関心が高まる~

国内最大級のインターネットアンケート・サービス「gooリサーチ」(*1)を共同で提供する株式会社三菱総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:田中 將介)とNTTレゾナント株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:中嶋 孝夫)は、「gooリサーチ」のビジネスモニターの登録者で、研究開発や新規事業担当者を対象に、「研究開発の方向性」に関するアンケート調査を実施しました。有効回答者数は321名でした。

本調査は、2009年1月に実施した第1回調査「『金融危機下の研究開発の方向性』に関するアンケート調査」に続く第2回調査として、2010年3月2日から3月5日にかけて実施しました。

調査結果のポイント

(1) 研究開発投資について、「凍結や見直しを行っている」とする企業は70.4%で、昨年60.5%から約10ポイント増加した。これは経済環境の厳しさが依然として研究開発投資に影響していることを示している。

(2) 今後の研究開発投資については、「積極投資」は7.5%にとどまり、昨年の12.5%から5ポイント減少している。なお、「わからない」の8.4%の回答を考慮しても、積極的な投資マインドがあるとは言えない。
一方、「一部削減を進め、優先順位を明確化して投資」は69.8%で昨年の70.7%と同等であり、「優先順位の明確化」は昨年に引き続き投資方針の中核と言える

(3) 自社の研究開発の「ポートフォリオの取組状況」について、「策定済み」との回答が29.3%で、昨年の23.6%から5.7ポイント上昇したほか、「ロードマップの取組状況」に関しても、「策定済み」とする回答が50.8%で、昨年の46.7%から4.1ポイント増加して過半数に達した。

(4) 「中核でない研究開発テーマや機能の他社への売却や移管」については、「非常に関心がある」と「関心がある」の回答の合計は39.5%で、昨年の35.9%から3.6ポイント増加した。
売却・移管の理由としては、「他社と他研究機関との連携によるオープン・イノベーションが必要」が59.7%で、昨年の53.7%から6ポイント増加している。次に「研究開発のコストが高く、コスト削減が必要」が24.2%で、これは昨年の31.7%から7.5ポイント減少している。

(5) 休眠特許の状況について「休眠状態の特許が数多く存在する」との回答が43.9%で、昨年の39.1%から4.8ポイント増加している。知財のライセンシングや売却、信託化の活用の関心については、「非常に関心がある」と「関心がある」を合わせて77.9%で、昨年の71.0%から6.9ポイント増加した。

厳しい経済環境のなかで、企業の研究開発投資では凍結や見直しが進み、従来どおりの予算額を確保できる企業は少ない。それゆえに、研究開発の方針をどうするか、限られたリソースをどの分野に配分するか、研究開発の指針や優先順位付けは今後ますます重要になってくる。今回の調査で、ポートフォリオやロードマップを策定している企業が昨年に比べて増加したのは、その重要性が認識されてきたことの表れと言える。

また中核でない研究開発テーマ・研究開発機能の他社への売却・移管への関心が昨年より増加して39.5%と4割近くに達したのは、コスト削減を優先する守りの意識よりも、「他社との連携によるオープン・イノベーション」で新たな研究開発成果の獲得を目指す攻めの姿勢が高まっていると言えよう。

昨年に引き続き、研究開発投資の凍結・見直しが増加する厳しい状況下の一方で、「研究開発のポートフォリオやロードマップの策定」が進んでいることや、「中核でない研究分野の売却・移管」、「オープン・イノベーションによる外部連携」、「知財の積極的な活用」への関心が増加していることは、現在の逆風を前向きに捉えた日本企業の動きと言える。

今回のアンケートでは、昨年に引き続き、最前線に立つ研究開発や新規事業担当者の問題意識や関心事項が抽出された。三菱総合研究所では、今後も「研究開発の方向性」をテーマにアンケートを継続していく予定である。

《 補足 》

(*1)【 gooリサーチ 】 http://research.goo.ne.jp/
ポータルサイト「goo」を運営するNTTレゾナントと、日本のリーディングシンクタンクである三菱総研の調査企画力、コンサルティング力が融合した、高品質で付加価値の高いインターネットリサーチ・サービスです。携帯電話でアンケートに答える 「gooリサーチ・モバイル」モニター(12.0万人)、キーパーソンのビジネスマンを中心とする「gooリサーチ・ビジネス」モニター(7.9万人)、団塊世代・シニア層、ならびに若年層を中心とした郵送調査手法で回答する「郵送調査専属モニター」(3.5万人)を含め、438万人の登録モニターを擁し、消費者向け調査から、法人向け調査、グループインタビューまで、様々な市場調査ニーズに対応しています。 (モニターの人数はいずれも2010年3月現在)

<本調査およびgooリサーチに関するお問合せ先>

株式会社三菱総合研究所 先進ビジネス推進センター 松田、高橋
(Tel) 03-3277-4506、(Fax) 03-3277-0567、(E-mail) stb-front@mri.co.jp
株式会社三菱総合研究所 広報・IR部 広報室 笠田、鈴木
(Tel) 03-3277-0003、(Fax) 03-3277-3490、(E-mail) media@mri.co.jp

<gooリサーチに関するお問合せ先>

NTTレゾナント株式会社 リサーチ部門
(Tel) 03-6703-6660、(FAX) 03-5476-2582、(E-mail)research@goo.ne.jp
NTTレゾナント株式会社 企画部 広報担当
(Tel) 03-6703-6250、(E-mail) pr@nttr.co.jp

調査結果について

1. 調査対象 「gooリサーチ」モニター(研究開発担当者)
2. 調査方法 「gooリサーチ」上のインターネット・アンケート画面での回答
3. 調査期間 2010年3月2日(火)~3月5日(金)
4. 有効回答者数 321名(研究開発担当者、新規事業開発担当者)

調査結果データ

(1) 現在、日本企業は金融危機下の厳しい状況にありますが、貴社の研究開発投資で予算が凍結になったケースがありますか?

【図表1】予算が凍結になったケース

【図表1】予算が凍結になったケース

「既に一部凍結が発生している」(38.3%)、「全面的に予算の見直しを実施している」(32.1%)との回答がいずれも昨年の数値を上回り、その結果、予算凍結や全面見直しは合わせて7割に達する結果となった

(2) 来期以降、貴社の研究開発投資予算はどのような状況になりそうでしょうか?

【図表2】来期以降の研究開発投資予算の状況

【図表2】来期以降の研究開発投資予算の状況

「今後も積極的に投資していく」(7.5%)が昨年の数値を大きく下回ったことから、経営環境が好転せず、依然として厳しい状況が続いていることが窺える。また、「わからない」(8.4%)との回答からは、先行きが不透明な経済情勢のなか、研究開発投資の実行について慎重に見極めを行っている様子が窺える。

(3) 自社の研究開発について、ポートフォリオを活用した管理や優先順位付けを進めている企業・研究機関が増えていますが、貴社の取り組みについて、下記のなかからひとつお選び下さい。

【図表3】ポートフォリオ取り組み状況

【図表3】ポートフォリオ取り組み状況

ポートフォリオを「策定済み」(29.3%)とする回答が昨年に比べて上昇し、優先順位の明確化などの動きが進んでいることが窺える。

(4) 自社の研究開発や技術開発の指針となる、いわゆる「技術ロードマップ」を策定している企業・研究機関が増えていますが、貴社の取り組みについて、下記のなかからひとつお選び下さい。

【図表4】ロードマップ取り組み状況

【図表4】ロードマップ取り組み状況

「技術ロードマップを策定済み」(50.8%)との回答が昨年に比べて上昇し、3.の「研究開発ポートフォリオの策定済み」(29.3%)が上昇したことと併せて、企業における技術管理や活用の方向付けが浸透してきている傾向が窺える。

(5) 自社の研究開発のなかで、中核でないと位置づけられる研究テーマや研究機能の他社への売却・移管への関心について、下記のなかからひとつお選び下さい。

【図表5】中核でない研究テーマ・研究機能の他社への売却・移管への関心

【図表5】中核でない研究テーマ・研究機能の他社への売却・移管への関心

「非常に関心がある」(9.3%)と「関心がある」(30.2%)を合わせて、関心があるとする回答が39.5%と、昨年に比べてやや上昇したことから、厳しい経営環境の下で、中核でない研究開発分野の売却や移管への関心がより一層高まっていることが窺える。

(6) 自社の中核でない研究テーマや研究機能の他社への売却・移管を推進する理由として、あなたのお考えに最も近いものを、下記のなかからひとつお選び下さい。

【図表6】中核でない研究テーマ・機能の他社への売却・移管を推進する理由

【図表6】中核でない研究テーマ・機能の他社への売却・移管を推進する理由

「他社と他研究機関との連携によるオープン・イノベーションが必要である」(59.7%)との回答が昨年から上昇している一方で、「研究開発のコストが高く、コスト削減の必要性がある」(24.2%)との回答は昨年から減少している。

厳しい経営環境のなか、各社とも従来どおりの研究開発予算を確保することは難しいと思われるが、それでもなお、安易なコスト削減に走るのではなく、オープン・イノベーションによって研究開発の高度化を図ろうとする前向きな姿勢が窺える。

(7) 企業が保有する特許の半数以上が実施率の低い休眠特許と言われていますが、貴社の特許の状況について、下記のなかからひとつお選び下さい。

【図表7】特許の活用状況

【図表7】特許の活用状況

「特許が確実に活用されている」(15.0%)との回答は昨年と同様に低調であり、さらに「休眠状態の特許が数多く存在する」(43.9%)、「休眠状態の特許が若干存在する」(41.1%)と、合わせて85.0%が休眠特許の存在をあげており、依然として保有する知的財産の活用が進んでいない様子が窺える。

(8) 知財のライセンシングや知財信託や売買など、積極的な知財の活用についてのご関心について、下記のなかからお選び下さい。

【図表8】知財活用への関心

【図表8】知財活用への関心

知財活用の関心については、「非常に関心がある」(16.8%)、「関心がある」(61.1%)が、昨年と比べて増加し、合計は77.9%になっている。知財の活用については、引き続き高い関心があることが分かる。

NTTコム リサーチは、平成24年10月1日にエヌ・ティ・ティ レゾナント株式会社からNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社へ事業譲渡され、平成25年12月9日にgooリサーチより名称変更いたしました。gooリサーチの調査結果(共同調査含む)等についてはこちらまでお問合せください。

この調査結果の単純集計を無料にて提供しています。

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