gooリサーチ と 読売ウイークリー による共同企画調査
読売ウイークリー 2005年11月6日号、2005年11月13日号、2005年11月20日号
gooリサーチと読売ウイークリーによる共同企画調査
働く女性に対するアンケート
~働く女性1万人ネット調査~
男女雇用機会均等法(以下「均等法」)が1985年に成立・制定されて20年たった。この間、働く女性の現場はどう変わったのかを探るため、「読売ウイークリー」とインターネット・アンケート・サービス「gooリサーチ」(運営・NTTレゾナント)は共同で今年9月下旬から約1週間かけ、インターネット上で20代以上の働く女性約1万人を対象に意識調査を行った。
回答者は、正社員と非正社員(契約、派遣、パート・アルバイト、嘱託)、独身者(離死別者も含む)と既婚者がそれぞれほぼ半数ずつで、いろんな立場の女性の声を反映できる結果になった。年代別では30代が45.8%と半数近くを占め、20代が約3割、40代が約2割、残りが50代以上の構成。
調査結果について
■男女雇用機会均等法から20年■
均等法以前は職場での男女差別があからさまだった。労働基準法で男女別賃金が禁止されていたが実際には男性の方が賃金が高く、女性の仕事は結婚退職を前提にお茶くみ、コピーなど男性の補助業務が中心で昇進昇格もほとんどなかった。
そこで、「均等法が職業生活にどのような影響を与えたか」と聞いたところ、回答は「何も変らない」が62.7%「働きにくくなった」が3.0%。「何も変らない」を「働きにくいまま」と読めば、全体の3分の2が状況がよくなっていないと考えていることになる。 中には「均等法などないほうがよかった」という声がいくつもあった。
理由(自由回答)で最も多かったのは「結局、女の仕事が増えた」という恨みの声だ。増えたという意味には2つあり、1つは、均等法を理由に男性と平等に仕事を与えられる一方、お茶くみ、コピーなど女の仕事は相変わらずで、職場での仕事量が増えたこと。もう1つは家庭での家事、子育てなど女の仕事の負担も相変わらずだったこと。この結果、会社と家で働きづめで過労で心身を壊した女性の声が目立った。
ほかには、「昇進昇格は相変わらず男性のみ」「総合職採用だったが数年後に一般職に転換させられた。客寄せパンダだった」などの声があった。
また、下記グラフから分かるように年収が低い。300万円未満で6割、400万円未満で8割近い。ちなみに男性の平均年収が500万円前後。
さらに、同じように仕事をしている男性に比べ給与が低いと不満を持っている女性が半数近いことが分かる。
■子育てしながら働ける社会に!■
女性の働き方について質問をしたところ、「継続就業型」が46.2%を占め、「中途退職・再就職型」の29.9%に比べ非常に高い。出産して子どもが小さい間は出来れば家にいて面倒をみたいという女性も相当多いはずだが、実際には再就職の難しさ、継続就業した場合との生涯賃金の格差を考慮し、継続就業を選んでいると思われる。
一方、均等法で「働きやすくなった」と回答した人たちが理由とした挙げた第一は、「セクシュアル・ハラスメント(性的嫌がらせ)の減少」だ。なくなったわけではないが、少なくともセクハラをセクハラだと相手の男性に言い易くなった。社内の研修、セミナーで意識啓発が進んだ。セクハラ以外では、「採用門戸の女性への開放」、一部ではあるが「男性と同様の仕事ができた」「昇進昇格があった」「育児休業が取得できた」などの声があがった。
■入りたい会社は「公務員」■
「これから入ることができたらいいと思う会社」のトップは、民間企業ではトヨタ自動車(375票)、ソニー(230票)、ベネッセコーポレーション(228票)がベスト3。ただし、公務員(266票)、地方公務員(210票)、国家公務員(51票)など、公務員だけで500票を超え、実質上の1位だ。
公務員と回答した人の理由(選択肢から一つ選択)は「女性が働きやすい」が34.0%とトップ、2位が「福利厚生がいい」25.0%、3位「給料が高い」12.0%、4位「休みが多い」8.0%。男性からすれば安月給に見える公務員だが、平均年収が300万円を下回る女性からは、非常に厚遇の職場。また、子どもを産んでも働き続けやすい職場としてはやはりほかにないことが大きいと見られる。
■手本にしたい女性は「働く母」■
「生きる手本にしたい働く女性」のトップ3は、女優の黒木瞳さん(589票)、自分の母親(342票)、元国連難民高等弁務官で現JICA(国際協力開発機構)理事長の緒方貞子さん(294票)。
仕事と家庭、さらに子育てを両立しているイメージが強い女優、政治家らが上位に挙がった。
正社員と非正社員、独身者と既婚者、子どもがいるいない、大企業と中小零細企業、都市と地方、など立場が様々に違い、ひとくくりにできないが、全体から見えてきたのは、第一に「能力や働きぶりに応じた公平な評価」、さらに「子育てしつつ働きやすい社会」を求める切実な声だ。
まず、「能力や働きぶりに応じた公平な評価をして欲しい」という声。賃金、採用、昇進・昇格などのさまざまな分野において、相変わらず「男性優遇」の構造が大変な不公平感を生んでいる。
さらに、切実だったのは「子育てしつつ働きやすい社会にして欲しい」という声。少子化を問題にし、女性に対する「子どもを産め」圧力が強い割に、社会制度や意識が整っていないことが指摘された。「子どもを産んだら働けない。結婚しても子どもは産まない」「女がほんとうに仕事をしたいなら結婚しないほうが自由」などの声が多く、結婚・出産か仕事かという二者択一を迫られる女性が非常に多いことがわかった。正社員フルタイム子どもがいて働き続けている女性は、母親か義母など家族が近くにいて子どもの面倒をみている、あるいは家事サービスを頼む経済的余裕がある家庭が大半だ。
さらに既婚者に大変多かったのが「夫に家事、子育てを負担して欲しい」という声。長時間労働で手伝えない男性もいるが、中には妻よりも先に帰宅してもまったく家事をせず、妻が「手伝って」というと「それなら仕事をやめろ」という夫もいる。無償労働(家事、育児、介護、地域活動など賃金に換算されない労働)の評価が低く、かつ女が荷うべきものという考えが今だ社会に根深いことが浮き彫りになった。
<調査概要>
- 実施期間: 2005/09/22~2005/10/05
- 有効回答数: 10,042
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