報道発表資料 2023年4月4日
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社
NTTコム リサーチ結果 (No.257)
「従業員満足度調査」に関する調査結果
~ES調査の導入や見直しが加速。結果の分析や利活用が今後の課題に~
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:塚本 良江、以下NTTコム オンライン)は、「企業における従業員満足度調査の実施状況」について調査を行いました。
本調査では、従業員満足度調査(以下ES調査)を企業の担当者が直近3年間でどのように実施し、効果や課題を認識しているか、未実施企業の今後の実施意向、大企業と中小企業との違いなどについてレポートします。
(1) 直近3年以内のES調査実施は約7割、新型コロナウイルス感染拡大後の導入・見直しが多数
企業の担当者における直近3年以内のES調査実施率が69%、継続意向が87%とともに高く、実施企業の3割が新型コロナウイルス感染拡大後に導入し、4割以上が調査内容の見直しを行ったことがわかりました。
満足度が高い一方、実施企業の今後の課題は、「分析が不十分」「施策の優先順位がつけられない」「調査設計の専門スキルが不足」などにより、調査結果の利活用に改善の余地があることが窺われます。
(2) ES調査の未実施企業であっても今後の実施意向は高く、4割以上が予定または検討中
ES調査を未実施と回答した企業担当者は全体の26.6%を占めるが、今後の実施意向においては、「実施予定がある」が6.8%、「実施を検討している」が35.3%と、あわせて42.1%が実施予定または検討中としており、今後もES調査の実施は増える傾向にあるといえます。
(3) ES調査の実務上の課題は、的確な分析や専門スキルと施策の優先順位づけ
ES調査実施における課題として、アンケート結果の分析、調査設計の専門スキル不足、有効な人事施策の優先順位の検討などがあげられており、調査の実施後の人事施策など活用や反映といった調査結果の利活用に改善の余地がある様子が浮かび上がりました。
(4) ES調査を導入した中小企業は増加した一方、効果の理解や予算、リソースがハードルに
ES調査実施企業のうち従業員100名以下の企業担当者では、新型コロナ感染拡大以降初めて調査を実施したと回答した割合が4割を超え、新型コロナ感染拡大を契機にES調査の導入が進んだことが伺える。
また、ES調査・非経験者の非実施理由として、「効果が得られるか疑問だから」、「予算がないから」のほか、「調査を担当できる人がない」などのリソース不足が挙がり、ES調査の効率的に行い効果を上げる方法が課題の一つであるといえます。
調査結果のポイント
■従業員満足度調査・従業員意識調査の直近3年以内実施率は69.2%。そのうち86.6%に継続意向が見られる。中小企業では非実施率が高いが、非実施企業担当者の4割以上が実施を予定、検討している。
企業の「従業員満足度調査・従業員意識調査」(以下、ES調査)担当者に聴いたES調査の3年以内の実施率は69.2%だった。企業規模別でみると、従業員101名以上の企業では実施率が7割を超えるが、従業員100名以下の中小企業においては非実施率が高く、企業規模により実施率の違いが見られる。
実施企業担当者の86.6%には継続意向があり、また非実施企業担当者の4割以上が実施を予定、検討している。
■ES調査を実施した企業担当者の3割が新型コロナ感染拡大以降に初めてES調査を実施。
新型コロナ感染拡大以降のES調査について訊ねたところ、回答者全体の30%が「初めて調査を実施した」と回答した。100名以下の企業担当者では4割を超え、新型コロナ感染拡大を契機に、特に中小企業で新たなES調査の導入が進んだことが伺える。
一方で、101名以上の企業担当者は、調査方法や設問内容の見直しを行っており、既にES調査を導入していた企業が、新型コロナ感染拡大以降の働き方の変化に対応した調査を実施しているといえる。
■ES調査の各工程には概ね満足。ただし、調査の実施自体の満足度に比べると、調査結果の利活用に対する満足度は伸び悩み。
ES調査の満足度で最も高かったのは、「調査対象者の範囲(役職、組織など)」で91.6%。一方で満足度が最も低かったのは、「調査結果の施策への反映度」で71.1%だった。調査目的の達成度や調査結果の施策への反映度等、調査結果の利活用の満足度は7割を超えるが、調査の企画・実施の満足度に比べると低い。
■ ES調査の課題は、「結果の分析・活用」。
ES調査実施企業担当者(3年以内)のES調査課題は、 高い順に、「アンケート結果の分析が不十分」(53.3%)、「有効な人事施策の優先順位の検討材料として活用できていない」(47.3%)、「自社内で、調査や設問設計の専門スキルが不足している」(41.5%)となった。調査の実施自体よりも、調査の分析や、結果の活用等、調査後の専門的な工程を課題とする割合が高くなった。
■ES調査を実施しない理由は、実施効果への疑問やコスト。
ES調査・非実施企業担当者の非実施理由は、「効果が得られるか疑問だから」が最も高く29.5%だった。次いで、「予算がないから」25.2%、「自社には必要のない調査だから」19.9%と続く。「調査がどのようなものかわからない」「調査の方法がわからない」などの調査理解、「調査を担当できる人がない」「調査を実施する時間的な余裕がない」などのリソース不足を挙げる割合は15%前後となった。
「効果の実感できる調査」「コスト」がES調査の導入にあたってのポイントとなりそうだ。
調査概要
調査対象 | 「NTTコム リサーチ」登録モニター |
---|---|
調査方法 | 非公開型インターネットアンケート |
調査期間 | 令和5年1月30日(月)~31日(火) |
有効回答者数 | 540名 |
回答者条件 | 20歳以上の全国男女 |
回答者の属性 |
調査結果データ
*規模感算出にあたり、回収したサンプルに対し、総務省統計局の令和3年10月の人口推計を元にウェイトバック集計を行いました。
グラフ中のn数はウェイトバック集計前の実際のn数です。
(1) ES調査の実施率は69.2%。実施企業の86.6%が継続意向あり。
ES調査の実施状況を聴取したところ、実施率は69.2%だった。企業規模別にみると、101名以上の企業は実施率が7割超え。企業規模でES調査の実施率には断層がある。【図1】
実施頻度をみると、年に2回以上実施している企業が42.5%を占める。内訳は、「半期毎または年に2-3」が36.2%、「四半期毎または年に4回実施」しているが5.5%。一方、「年に1回実施」する企業は57.5%。【図2】
実施企業担当者は、継続意向ありが86.6%。内訳は今後も「実施予定がある」が44.8%、「実施を検討している」が41.8%だった。【図3】
【図1】ES調査実施率<SA>(対象:全員)
【図2】ES調査実施頻度<SA>(対象:実施経験者)
【図3】ES調査継続意向<SA>(対象:全員)
(2) ES調査の目的は、従業員の労働環境意識の把握が上位。
ES調査の目的は、「従業員の会社に対する満足度を把握するため」が75.0%でトップ。次いで、「従業員のメンタルヘルスを把握するため」(65.8%)。従業員の労働環境把握が上位となっている。これに、「組織課題を把握するため」(54.2%)、「生産性の向上を図るため」(46.5%)が続く。【図4】
【図4】ES調査実施目的<MA>(対象:実施経験者)
(3) ES調査の実施方法・対象をみると一定規模以上では「オンライン、インターネット」。97.2%が正社員を対象として調査を実施していて、派遣社員・パート社員に実施している企業は49.3%となった。
ES調査の方法で最も実施率が高いのは68.5%で「オンライン、インターネット」となった。企業規模が大きくなるほど、「オンライン、インターネット」で実施する割合が高くなり、100名以下の企業では、紙による実施率が最も高い結果となった。【図5】
ES調査の対象は、企業内のすべての組織で行う企業が86.5%で最も高い。企業内の特定の組織の課題を明らかにするというより、企業全体の傾向を把握することを目的とする企業が主だといえる。【図6】
97.2%が正社員を対象として調査を実施していて、派遣社員・パート社員に実施している企業は49.3%となった。【図7】
【図5】ES調査実施方法<MA>(対象:実施経験者)
【図6】ES調査実施対象組織<SA>(対象:実施経験者)
【図7】ES調査実施対象<MA>(対象:実施経験者)
(4) ES調査は、自社の内製作業が中心。ただし、従業員1,001名以上の企業では、後工程(結果分析~レポート作成)において、調査会社へ委託が内製を上回る。
ES調査は、どの工程においても4割強が、「自社の内製作業」、2割強が「他社が開発したアンケートツールを活用して自社で実施」となっている。【図8】
ただし、従業員1,001名以上の企業になると、後工程(結果分析、レポート作成)において自社の内製を調査会社への委託が上回っている。【図9】
【図8】ES調査実施方法<SA>(対象:実施経験者)
【図9】ES調査実施方法<SA>(対象:実施経験者(1,001~10,000名規模企業)
(5) ES調査の結果を「活用できている」と回答したのは78.4%。調査の結果を反映した人事施策への活用までを想定しているのは93.2%。
ES調査の結果を「活用できている」と78.4%が回答している。【図10】
調査の結果を反映した人事施策を「実施」または「企画中」と回答したのはまた全体の93.2%。ただし、実際の実施は41.2%にとどまる。【図11】
人事施策を「実施した」企業のうち、84.2%が、その施策の効果を測定しており、ES調査の実施から結果の活用、その効果測定という一連のサイクルを回している企業が一定数存在していることがわかる。【図12】
【図10】ES調査結果の活用度<SA>(対象:実施経験者)
【図11】ES調査後の人事施策の実施<SA>(対象:実施経験者)
【図12】ES調査後の人事施策の効果測定について<SA>(対象:人事施策実施者)
(6) ES調査の各工程には概ね満足。ただし、調査の実施に比べ、調査結果の利活用満足度はやや伸び悩み。
ES調査の満足度で最も高かったのは、「調査対象者の範囲(役職、組織など)」で91.6%だった。一方で満足度が最も低かったのは、「調査結果の施策への反映度」で71.1%だった。調査目的の達成度や調査結果の施策への反映度等、調査結果の活用の満足度は、調査の企画・実施の満足度ほど、は高くなかった。【図13】
【図13】ES調査の満足度について<SA>(対象:実施経験者)
(7) ES調査実施者の課題は、結果の分析・活用。
ES調査実施についての課題は、 高い順に、「アンケート結果の分析が不十分」(53.3%)、「有効な人事施策の優先順位の検討材料として活用できていない」(47.3%)、「自社内で、調査や設問設計の専門スキルが不足している」(41.5%)となった。調査の実施自体よりも、調査の分析や、結果の活用等、調査後の工程を課題とする割合が高くなった。【図14】
【図14】ES調査の課題<MA>(対象:実施経験者)
(8) ES調査の非実施理由は実施効果への疑問。
ES調査・非経験者の非実施理由は、「効果が得られるか疑問だから」が最も高く29.5%だった。次いで、「予算がないから」25.2%、「自社には必要のない調査だから」19.9%と続く。「調査がどのようなものかわからない」「調査の方法がわからない」などの調査理解、「調査を担当できる人がない」「調査を実施する時間的な余裕がない」などのリソース不足を挙げる割合は15%前後。【図15】
【図15】ES調査を実施しない理由<MA>(対象:実施未経験者)
(9) ES調査実施企業の新型コロナ感染拡大以降に初めてES調査を実施。
新型コロナ感染拡大以降のES調査について訊ねたところ、ES調査実施企業担当者の30%が「初めて調査を実施した」と回答した。200名以下の企業では30%を超えた。一方で、201名以上の企業では30%を下回った。101名以上の企業では、調査方法や設問内容の見直しを行った企業の割合が、新規に調査を始めた企業の割合を上回った。【図16】
【図16】ES調査のコロナ禍における変化<SA>(対象:実施経験者)
(10) 新型コロナ感染拡大をきっかけに4割強がリモートワークを拡大した。
新型コロナ感染拡大をきっかけとして新規に導入した人事施策について訊ねたところ、最も多かったのは44.6%で「リモートワークの拡大」となった。半数近くがリモートワークを拡大した。そのあと、「短時間勤務の導入」(35.5%)、「休職制度の理由拡大」(32.2%)が続く。【図17】
【図17】コロナ禍の新規人事施策<MA>(対象:実施経験者)
《 補足 》
<従業員満足度調査ソリューションについて>
https://www.nttcoms.com/service/es/
NTTコム オンラインは、企業のES調査、及びeNPS調査のソリューションとして、最短4営業日でアンケート開始できる「ES-Quick」から、eNPSに加えて顧客満足度やブランドNPSをツールでリアルタイム分析できる「NPX Pro」まで、クライアントニーズに応じたソリューションラインナップを提供しています。
<NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションについて>
NTTコム オンラインは、企業のデジタライゼーションを、データ活用とテクノロジーの提供を通じて支援するソリューション・パートナーです。データ&アナリティクス事業においては、NTTコムリサーチに加えて、NPS®顧客ロイヤルティマネジメント、社員エンゲージメントを測定する「eNPS調査」、ソーシャルメディア分析などを、その導入から運用伴走までトータルにご支援します。また、企業のデータ課題に応え、進化し続けるデジタライゼーションをご支援するために、「あらゆるデータをリアルタイムで連携、統合、解析」するソフトウェアとして、グローバルに高い実績を持つTIBCO社のデータ解析・統合プロダクトを日本総代理店としてご提供しています。
<お問合せ先>
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社
マーケティング・アナリティクス部
URL: http://www.nttcoms.com/
メールアドレス:research-info@nttcoms.com