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子どもの食生活は大丈夫?

トレンド 食べる

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テーマ「食べる」

野菜嫌い、油を使った料理が好き

成長期にある子どもにとって、食生活の善し悪しは、大人よりもはるかに肉体的・精神的に大きな影響を与える。しかし、いまや食べ物はちまたにあふれ、家庭では一家団欒の食事を摂ることが難しい社会状況だ。食生活に関して子どもを取り巻く状況は非常に厳しいといわざるをえない。

ではまず、いまの子どもがどのような食べ物や料理を好んでいるのか、あるいは嫌っているのかをみていくことにしよう。日本体育・学校健康センター(現・独立行政法人日本スポーツ振興センター)が、2000年に全国の小中学生1万3000人を対象にした調査がある。それによると、嫌いな食べ物のトップはピーマンで、4人に1人が嫌いだと答えている。それに続くのは、なす、内臓・レバー、ねぎ、にんじん、トマト、セロリなど(図1)。

図1 好きな食べ物・嫌いな食べ物

目立つのは野菜が多いことだ。嫌いな料理にも、1位から3位まで、サラダ、野菜炒め、なす料理と野菜を使ったものが続く。ピーマンだけが嫌いならともかく、野菜全体が嫌いだとなると大きな問題だ。成人を対象にした2004年の「国民健康・栄養調査」では、どの年代でも野菜が目標値の7割しか摂れていないと指摘されている。子どものうちからの改善が必要といえよう。

一方、好きな料理には、カレーライス、ラーメン、焼き肉、寿司、ハンバーグなど、寿司以外は油を多く使った料理ばかりが並ぶ。子どもは代謝が活発であるとはいえ、脂肪分の摂りすぎは心配である。また、子どもの好きなスナック菓子にも、大量の油が使われていることを忘れてはならない。

肥満傾向児は年々増えている

野菜不足、脂肪の摂りすぎに代表されるような、偏った栄養バランスは太りすぎの原因になる。文部科学省の調査によれば、肥満傾向児の割合はすべての学年で年々増加の一途を示しており、2005年の時点では小学校6年生、中学校1年生の10人に1人が肥満傾向児とされている(図2)。

図2 肥満傾向児の割合

ちなみに、肥満傾向児とは、性別、年齢別に、身長別の平均体重を求め、それより体重が20%以上多い者を指す。なお、2006年度以降からは判定方法が変わり、性別、年齢別、身長別の標準体重から肥満度を算出し、肥満度が20%以上を肥満傾向児としている。肥満度を算出する式は次のとおりである。

肥満度=[実測体重(kg)−身長別標準体重(kg)]÷身長別標準体重(kg)×100(%)

いうまでもなく、肥満は高血圧症、高脂血症、糖尿病といった生活習慣病の大きな危険因子となる。日常生活における対策は、食生活の改善や適度な運動しかないことを考えると、肥満解消には家族全員の理解と協力が不可欠である。生活習慣病というと、かつては成人病といわれていたように、大人がなるものと考えられていたが、いまや子どもの生活習慣病を心配する時代となっているのだ。

子どもの孤食と欠食が小児生活習慣病の原因に......

子どもたちの「食」の乱れを見直すには、まず食生活全体に注目する必要がある。朝食を摂らない「欠食」や、子どもだけで食事をする「孤食」が、偏った栄養バランスや心身の不健康の原因になる可能性が大きいからだ。

孤食については、2000年に実施された文部科学省の「児童生徒の食生活等実態調査」で、小中学生の状況が調査されている。それによると、朝食を「一人で食べる」と回答した子は、小学校で15.9%だったが、中学校では約2倍の31.3%となった。3人に1人が一人で朝食を摂っていることになる。

夕食は家族と一緒に食べる割合が高く、小学校で95.3%、中学校で91.0%が「家族そろって食べる」「家族のだれかと食べる」と回答している(図3)。食事を一人で食べると、好きなものばかり食べたり、食事を一気に早食いしたりすることで、肥満や体調不良の原因にもなる。

図3 食事の摂り方

同じ調査では、朝食の欠食についても質問されており、小学生では朝食を「ほとんど食べない」という児童は男子が4.6%、女子が3.6%。「食べないことがある」と答えた児童を含めると15〜16%......、つまり、6人に1人が朝食欠食の傾向にあることがわかった。中学生になると朝食の欠食傾向はさらに増え、5人に1人となる(図4)。

図4 朝食の欠食状況

欠食の理由も同時に質問されているが、「時間がない」という回答が約半数、ついで「食欲がない」という回答が約3分の1を占めている。これは、子どもの生活が夜型になり、早起きができないこと、そして夜遅く摂った食事のために食欲がわかないためと想像される。

欠食がもたらす問題の一つとして、間食として糖分の多いスナックや飲料を摂りがちになるという点がある。一般成人の1日当たりの糖分量は50?が限度といわれているが、炭酸飲料やコーヒー飲料の糖分濃度は約10%。ということは、日に2缶程度で限界に達してしまうわけだ。しかし、実際にはそれ以上の飲料を飲んでいる子も多い。

一度に大量の糖分を摂ると、大量にインシュリンが分泌されて一時的に低血糖状態になり、今度はそこから回復するためにアドレナリンが分泌される。こうしたメカニズムによって、ぼんやりした状態と興奮状態を繰り返し、子どもたちがキレやすくなると指摘する専門家も多い。もちろん、糖分を続けて摂ることは糖尿病のリスクを増すことになる。実際に、最近では小児糖尿病の増加も社会問題化しつつある。そうした危険を避けるためにも、子どもの食生活には十分な注意を払いたいものだ。

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