gooリサーチ と 日刊工業新聞 による共同企画調査
日刊工業新聞 2006年4月8日Saturday Wide
gooリサーチと日刊工業新聞による共同企画調査<第23弾>
就職に関するアンケート
~若者気質は?~
遺跡を調べてみると、古代アッシリアの昔から、「今どきの若いモンは!」と、先輩諸氏はいたく嘆いておられた、という。桜咲く4月は入社・入学の季節。新入社員だけでなく、彼らを迎え撃つ(?)側も大いに緊張するもの。そこで日刊工業新聞社は、gooリサーチを運営するNTTレゾナントと協力し、今春の就職予定者を対象にしたネットアンケートを3月に実施した。はてさて当世の若者気質とは―。
回答者は合計608人(男性270人、女性338人)。全員が4月以降の入社予定者で、内訳は大学4年生356人(58.6%)、大学院生163人(26.8%)、専門学校生76人(12.5%)、短大2年生13人(2.1%)だった。
調査結果について
■ 輝け優しきフレッシャーズ
まず就職の動機は、生活、お金のため(52.6%)が過半数。学んだことを世の中に役立てたい(22.7%)、自分がどこまでできるか挑戦したい(17.6%)と続き、世間体を考えて、も4.1%あった。
■ 就職先は職種を重視―69%
その半面、就職先を選ぶ際に重視したもの(複数回答)では、賃金・待遇は4番目。[1]職種[2]業界[3]所在地の順に多く、1位の職種を挙げたのは69.1%。少数ながら、自由回答では、職場の雰囲気・社員・社風という意見もあった。
将来プランをはっきり描いている人は、8.6%とまだまだ少数のようだ。漠然となら描いている人が64.3%でほぼ3分の2。4人に1人は将来プランがほとんどないという。
それでも出世欲はそこそこある様子。どこまで出世したいか、との問いには、回答した443人のうち専門職が26.4%と一番多く、社長、役員が約2割でほぼ同率。出世したくない・平社員志望も8.8%いる。これは意欲の低下というより、人生観の多様化と見るべきか。
■ チャンスあれば独立も―68%
次のグラフは将来の独立意欲について尋ねたもの。チャンスがあれば考える、との回答が半数を超え、漫然と独立を思い描いている層を含めれば、68.6%が独立予備軍。とはいえ計画組は18人、ちょっと前までは不況のどん底で、先輩たちの厳しい就職活動を目の当たりにしている世代。企業間競争も激しく、仕事での夢はなかなか描きにくいのかもしれない。だからこそ高望みせず、自分にあった職種をつかみ取り、独立はチャンスが巡ってきたら、という実直な姿が浮かぶ。
次の質問はちょっと難しいかも。デートの予定があるのに残業や休日出勤を頼まれた。さぁどうする?自己都合優先のマイペース組が多いと思いきや、仕事を捨ててデートするのは7.9%。31.3%は仕事を代わってくれる人を探し、デートをキャンセルしての仕事優先組は60.4%にのぼった。
さらに上司から飲みに誘われれば、仕事に役立つから必ず付き合う(9.5%)、できるだけ付き合う(81.1%)が合わせて9割を占めた。先輩方にとってはうれしい後輩かもしれない。初めのうちは...。
ただ、入社した会社が有給休暇の取りにくい雰囲気の場合だったら、事情は異なるのでご注意を。まわりの先輩、上司と同様、ほとんど取らないは26.2%。どうしても行きたい行事があれば、もっともらしい理由を付けて休みを取る人は62.8%もいた。
■ どうする社内恋愛 当然"アタック"―11%
入社は新たな出会いのチャンスでもある。社内で魅力的な異性がいたらアプローチしますか。これには新入社員でなくとも、イエスという向きが多いだろう。だが、目立ったのは社内の恋愛事情を見極めた上で問題なさそうなら、という慎重派(64.3%)。つねに前進あるのみ、当然アタックすべしは11.4%だった。それどころか、4人に1人は、社内恋愛は問題があるので避けたいと思っている。誤解を承知で独断を述べれば、仕事に対する態度はまじめで、そつがない印象。ただ猪突猛進型の熱血漢は少ないのでは、とも感じられる。
■ もっとも影響受けた人―父親・先生ら身近な人
生き方や考え方で、もっとも影響を受けた人物にもそれが現れている。父親・兄弟・先生・先輩ら身近な人が突出。自由回答でさえ、母親・両親・夫・恋人という答えが多い。さらに、予想されたことだが、歴史上の人物よりスポーツ選手や芸能人の人気が高い。
大企業トップはともかく、ベンチャー経営者の人気が低いのは、ホリエモン人気の反動か。おまけに、影響を受けたのがだれもいないは16.1%。政治家はゼロ。昨年の衆院選の熱気もどこへやら、これでは政治家が情けない。
小泉改革に対する見方も推して知るべし。改革は必要だが、問題点もあり軌道修正が必要―が61.5%と圧倒的。改革は必要だが、性急すぎるも12.0%で、改革路線の全面支持は12.3%にとどまった。よく分からない・関心がないも11.8%いる。
■ 一番大切にしたいもの―恋人・友人より家族
彼らの一番大切にしたいもの、それは家族だった。2位の自分の時間や趣味は、恋人、友人・仲間を上回り、自由回答で自分(自分を含めた家族)と答えた人も5人いる。仕事の優先順位は、実は世界平和より低かった。
アンケートで見る限り、若い世代の関心は自分や家族、身の回りへと狭まってきているよう。このトレンドはちょっと寂しくもあるが、ある意味で健全と言えるかもしれない。
良くも悪くも、日本の戦後を形作った団塊の世代とはまさに正反対。ただ、潜在的なモーレツ社員が少ない分、日本に欠けていた人に優しい会社や社会、家庭づくりを後押ししてくれるのでは、という期待も持てる。さて皆さん、こんな若いモンはどうですか。
<調査概要>
- 実施期間: 2006/03/08~2006/03/13
- 有効回答数: 608
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