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テーマ「住む」

大地震の起こる確率

自分の生きている間に、住んでいる地域で大きな地震が起こる確率はどのくらいなのだろうか。また、その対策としてまず行わねばならないことは、何なのだろうか。

以下の図を見る限り、大規模な地震が起こる確率はそれほど低くない。1997年から2006年の間に世界で起こったマグニチュード6.0以上の地震の実に2割が日本で起こっている(図1)。

震度1以上の地震は、年間1000件以上発生しているといわれており、文部科学省の地震調査研究機関である地震調査研究推進本部・地震調査委員会は、30年以内に震度6以上の地震が起こる確率を地域ごとに予測している(図2)。この確率は、地震の記録の分布図を元に、地震のメカニズムや数量データから予測を行ったものであるが、静岡86.5%、甲府82.0%、津61.3%の順に高く、注意が必要となっている。

図1 世界のM6.0以上の地震回数のグラフ

図2 30年以内の震度6弱以上の発生確率(上位10位)のグラフ

地震の備え、まずは...?

平成17年の内閣府が行った調査結果によると、大地震に備えてとっている対策として最も多いのは「携帯ラジオ、懐中電灯、医薬品などを準備しておく」で、約半数を占めている(図3)。しかし、これらは大地震が起こった時に、生き残ることを前提とした準備である。過去の大地震の死亡原因を見ると、阪神・淡路大震災の神戸市では、建物の倒壊による「窒息・圧死」が8割以上を占めている(図4)。

また、新潟県中越沖地震の死者の大半が住宅の倒壊で下敷きになった高齢者で、火災の発生や延焼も、建物の倒壊による影響が大きいことから考えると、図3で6.5%にとどまっている「自分の家の耐震性を高くしている」が、さらに重要な対策になってくるのではないだろうか。

図3 大地震に備えてとっている対策(複数回答)のグラフ

図4 阪神・淡路大震災の犠牲者の死因(神戸市内)のグラフ

住宅の耐震化率

住宅の耐震化はどの程度進んでいるのだろうか。一般的に、新耐震基準が導入された昭和57年以降の建物については耐震性があると考えられており、平成15年の国土交通省の推計値によると、住宅の耐震性がないと診断されたのは全体の24.5%となっている(図5)。

また、木造住宅に限った場合は、耐震診断を受診した家屋のうち、「地震で倒壊する可能性がある」のは8割を超えたという調査結果が出ている(図6)。

近年はマンションの構造計算書の偽造問題などでも話題になったが、住宅の耐震診断を受けている人はどの程度いるのだろうか。平成17年の調査では、耐震診断や耐震改修を実施したことがある人は、12.3%となっており、最新の調査結果が待たれるが、全体として耐震化に対する意識は低いレベルにとどまっていることがうかがえる(図7)。

図5 住宅の耐震化の状況のグラフ

図6 耐震診断受診家屋の診断結果のグラフ

図7 大耐震診断や耐震改修の実施経験のグラフ

気になる耐震補強費用

耐震診断を受けた後、改修工事が必要になった場合はどれくらいの費用がかかるのだろうか。日本木造住宅耐震補強事業者協同組合による調査では、平均約125万円程度となっている(耐震補強工事だけでなく、付帯するリフォーム費用を含む)(図8)。

この費用をすべての家庭が負担するのは簡単ではない。阪神・淡路、新潟、能登などの相次ぐ大規模地震の発生を受け、自治体による住宅の耐震化への助成制度も広がってきている。あまり知られていないが、耐震診断だけなら、無料で専門家を派遣する自治体も多く、補強工事についてもまとまった額の補助金が出るところもある。

また、災害時の住宅の倒壊は、個人の問題にとどまらない。自分の家の補強が済んでいても、隣接した建物が倒壊すれば被害を受ける可能性があり、災害時に倒壊した建物は道路を塞ぐことが多いため、救急隊や消防の遅れにも直結する。さらに、住宅の修復工事や、仮設住宅の建設には多額の財源が必要となるため、地震対策は地域全体での取り組みが前提となってくる。今後は、耐震化への地域ぐるみの意識の浸透と、自治体による助成制度の周知を一層進めることが必要になっていくと考えられる。

図8 耐震補強工事施工単価のグラフ

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