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外食市場の市場規模は下げ止まりをみせている

戦後、特に高度成長期には、日本人の食生活のスタイルが大きく変化して、家の外で食事を摂る機会が増えてきた。それに伴って、戦後の外食産業は発展の一途をたどってきたといってよい。

ところが、外食産業の市場規模は1997年の29兆702億円をピークにして、以後は2005年まで連続で低下している。もっとも、外食産業総合調査研究センターによると、2005年には前年比0.8%減の24兆2781億円と推計され、市場規模の縮小は続いているものの、2003年以降はかろうじて下げ止まりの傾向をみせている(図1)。

図1 外食産業の市場規模

外食産業のうち、「給食主体部門」というのは、レストラン、そば屋、寿司屋のような飲食店のほか、宿泊施設の食堂部門、学校・事業所・病院などの集団給食が含まれる。「料飲主体部門」というのは、居酒屋、喫茶店、料亭などである。2005年の売上高のうち、主な内訳を紹介すると、飲食店全体が12.1兆円、集団給食が3.6兆円、宿泊施設が3.2兆円、料亭・バーなどが3.0兆円、喫茶店が1.1兆円、居酒屋・ビアホールが1.1兆円などとなっている。どの部門をみても、ここ3年間はほぼ横ばいといってよい。

市場規模が縮小してきた一つの原因として、景気の低迷によって費用のかさむ外食を敬遠する傾向が挙げられる。実際に、総務省の「家計調査年報」によれば、1世帯当たりの1カ月の外食支出は、1997年に1万3000円を超えて以降、大きな減少をみせており、2001年以降は1万1500円〜1万2000円前後を推移している(図2)。

図2 1世帯当たり平均1ヶ月の外食費用

もっとも、食料費全体に占める割合をみてみると、外食費の比率はほとんど変化していないことがわかる。むしろ、右肩上がりの増加傾向を続けており、1997年以降も16.5%から17%前後で推移している。つまり、景気後退によって「外食をやめて内食(家庭内食)にした」という見方は、必ずしも正しくないことがわかる。食料費全体を圧縮したために、それにつれて外食で使う金額は一時より減ってはきた。だが、外食に対する需要自体が減少したわけではないのだ。

外食にかける費用は1000円台が半数近く

外食に対する需要が根強いことは、インターネットアンケートサービス「gooリサーチ」が2006年1〜2月に実施したアンケート調査からも明らかだ。

外食の頻度を尋ねた結果では、「月数回程度」という回答が全体の28.2%と最も多く、ついで「週1回程度」が21.2%、「週2〜3回」が16.5%、「月1回程度」が14.0%、「ほとんど毎日」が8.3%と続き、月数回以上外食している人が、全体の7割以上を占めることがわかった。「ほとんどしない」という人は11.7%にとどまり、大半の人が月に1回は外食をしていることになる。

1回の夕食で支出する平均金額は、1人当たり「1000〜1999円」が半数近い42.0%を占めた。「700〜999円」が30.4%と続き、700円未満は計16.0%で、両者を合わせた「1000円未満」という低価格がほぼ半数の46.4%に達している。一方、2000円以上の高価格帯の割合も11.6%あった(図3-1)。

2年前(2004年)と比べて、夕食にかける金額がどう変化したかについての質問には、「変わらない」という回答が全体の半数近い42.0%。しかし、「少し高くなった」が30.4%、「大幅に高くなった」も10.1%に達しており、合わせて約4割の人が外食の費用をアップしたことがわかる(図3-2)。どうやら、景気回復の影響が外食にも表れているようだ。「少し安くなった」「大幅に安くなった」という人は、合わせて17.4%にとどまった。

図3-1 夕食の価格水準 図3-2 夕食の価格水準の2年前との比較

この調査では、昼食で支出する平均金額も尋ねている。それによると、「700〜999円」が56.1%、「500〜699円」が26.8%で、ほとんどの人が1000円以内で昼食を摂っている。

また、昼食については、2年前と「変わらない」と答えた人が54.4%と占めており、「少し高くなった」が25.9%、「少し安くなった」が11.8%。「大幅に高くなった」「大幅に安くなった」は、それぞれ4.0%という結果になり、夕食に比べると変化は少ないことがわかる。多少景気が回復しても、昼食はガッチリ財布のひもを締める。他方、たまの夕食にはちょっとリッチな気分で食べたい――調査からは外食を摂る際のそんな気分がうかがえる。

外食産業売上高ランキングの推移

ここ数年、外食産業の売上高ランキングに大きな変動はなく、日本マクドナルド、すかいらーく、ほっかほっか亭総本部が1位から3位を占めている(図4)。2005年度のランキングによると、日本マクドナルドは前年度比4.0%増の4118億円。2003年度には4.0%減を記録したが、その後は2年連続の増収である。

図4 外食企業売上高上位10社(2005年)

一方、ファミリーレストランは苦戦が続いている。2002〜2003年度以降、すかいらーくは、1.5%減、0.4%増、0.8%減。デニーズジャパンは、0.7%減、0.9%増、2.0%減と推移している。

吉野家ディー・アンド・シーは、米国産牛肉の禁輸によって2003〜2004年度に24.5%という大幅減を記録したが、2004〜2005年度には3.4%増と復調をみせた。

ここ10年ほどのランキングを比較してみると、「何でもあり」という従来のファミリーレストランは飽きられてくる一方で、何か特徴あるサービスや「キラーメニュー」を持った外食産業がその都度人気を呼んでいることがみえてくる。たとえば、高級食材を使った食べ放題のランチや、ペット連れで入店できるレストランといった試みもその一つだ。

もちろん、そうしたサービスやメニューもいつかは飽きられる。外食産業の生き残りには、次々に新しい新商品を開発するか、利用者のニーズをいち早くつかんだサービスを展開していくことが必要なのである。

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