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「介護サービスに関する一般生活者の意識」調査結果

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サービス内容の認知拡大と、今後の品質向上が課題

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報道発表資料 平成16年11月17日

gooリサーチ結果 (No.67)

「介護サービスに関する一般生活者の意識」調査結果

~サービス内容の認知拡大と、今後の品質向上が課題~

国内最大級のインターネットアンケート・サービス「gooリサーチ」(*1)を共同で提供するNTTレゾナント株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:資宗 克行)と株式会社三菱総合研究所(本社:東京都千代田区、取締役社長:谷野 剛)は、「gooリサーチ」登録モニターを対象に「介護サービスに関する一般生活者の意識」に関する調査を実施しました。

有効回答者数2,196名のうち、現行の介護サービスの内容について「あまり知らない」、「まったく知らない」とする人が57.6%と多く、見直しが行われている介護保険制度についても93.0%が「聞いたことはあるが詳しくは知らない」、「まったく知らない」と回答していることから、サービス認知のためには政府や自治体によるさらに積極的な情報発信の必要性が伺えます。

総括

今回の調査結果より、現状、一般生活者の介護サービスは、国民全体に直接係わる問題であるにもかかわらず関心が低く、サービス内容についてもあまり理解されていないことがわかりました。保険料の負担対象者を現在の40歳以上から20歳以上に拡大することが検討されている介護保険制度の見直しについても、「介護保険財政が安定する」や「若年層や企業の負担増につながる」という賛否両論の意見がある中での法改正論議にもかかわらず、その内容の認知度はかなり低いといえます。

本調査結果より、今後、国民が納得いく介護保険制度の確立に向け、政府や自治体による積極的な広報活動が望まれていることが伺えます。また、将来利用者負担や保険料負担の増額が検討されていることについて、高齢化社会を迎える中で"ある程度仕方無い"と捉えている反面、サービスの品質向上が条件であるとの回答が多数を占めるなど、介護保険制度の根本的な見直しも期待されています。

調査結果のポイント

(1) 介護サービスの認知度と利用経験

現在の介護保険制度の下で受けられる介護サービスの内容については「あまり知らない」、「まったく知らない」とする人が合わせて57.6%と半数以上を占め、介護サービスに対する認知や関心が高くないことが見て取れる。介護サービスを「利用したことがある」人は5.6%と少数となっているが、利用者の43.4%から「被介護者の状況に応じた柔軟な対応」が望まれるなど、今後のサービスの品質向上が求められている。

(2) 介護保険制度改革に対する認識

介護保険制度見直しの一環で、新たな介護サービスの創設が検討される中で、「転倒骨折予防」「閉じこもり防止」などを提供する「介護予防サービス」については、「聞いたことはあるが詳しくは知らない(40.2%)」、「まったく知らない(52.8%)」と関心が薄く、新たな介護サービスの利活用促進に向け認知度の向上が課題となっている。また、新制度の創設に対しては「痴呆や寝たきりの高齢者が減少するなら実施したほうが良い」する前向きな意見が58.2%と半数を超える一方で、「従来の介護サービスを受けられなくなる可能性があるので慎重に検討すべきだ」といった不安を持った回答も存在することから、新制度導入の際には利用者への納得のいく説明が必要であると推察される。

(3) 介護保険サービスの利用者負担限度額について

現在、介護保険施設に入居した場合の利用者が負担する金額は平均1,600円程度だが、回答者が支払い可能と考える額については、一日当たり「1,500円未満」が47.4%と最も多く、現行レベルを保持することが望まれている。

(4) 介護保険料負担に関する今後の課題

厚生労働省では、介護保険制度が今後も現行の保険料負担(月額3,293円)で推移した場合約2倍の6,000円になり(※1)、また介護保険料の徴収開始年齢を20歳に引き下げた場合でも全国平均月額3,900円ほどになる(※2)との見通しを示している。これら保険料を払う被保険者の対象年齢の引き下げの可能性や、保険料負担が増加する見込みがある中で「負担が増えてもサービスの品質向上につながるとは思えない」とする人が39.6%、また「負担を重くするのは良いがそのためには介護サービスの品質向上が条件だ」といった意見も35.4%にのぼることから、介護保険制度改革にあたっては、同時にサービス品質の改善も求められていると言える。

(※1)平成16年10月21日「社会保障のあり方に関する懇談会」より
(※2)平成16年10月29日「社会保険審議会」より

《 補足 》

(*1)【 gooリサーチ 】 http://research.goo.ne.jp/
ポータルサイト「goo」を運営するNTTレゾナントと、日本のリーディングシンクタンクである三菱総研の調査企画力、コンサルティング力が融合した、高品質で付加価値の高いインターネットリサーチ・サービスです。携帯電話でアンケートに答える「gooリサーチ・モバイル」モニター(4.6万人)、キーパーソンのビジネスマンを中心とする「gooリサーチ・ビジネス」モニター(2.2万人)を含め、24万人の登録モニターを擁し、消費者向け調査から、法人向け調査、グループインタビューまで、様々な市場調査ニーズに対応しています。(モニターの人数はいずれもH16年11月現在)

<本調査およびgooリサーチに関するお問合せ先>

NTTレゾナント株式会社 ポータル事業本部 リサーチグループ
(Tel) 03-5224-5380、(FAX) 03-5224-5201、(E-mail)research@goo.ne.jp
NTTレゾナント株式会社 ポータル事業本部 広報グループ
(Tel) 03-5224-5500、(E-mail) pr@nttr.co.jp

<gooリサーチに関するお問合せ先>

(Tel) 03-3277-0719、(Fax) 03-3277-0523、(E-mail) e-res@mri.co.jp
株式会社三菱総合研究所広報部広報グループ
(Tel) 03-3277-0003(Fax) 03-3277-3490、(E-mail) ccd-mg@mri.co.jp

調査概要

1. 調査対象 「gooリサーチ」登録モニター
2. 調査方法 非公開型インターネットアンケート
3. 調査期間 平成16年11月2日(火)〜平成16年11月5日(金)
4. 有効回答者数 2,196名
5. 回答者の属性 【男女内訳】
男性48.4%、女性51.6%

【年代別構成】
10代 18.5%、20代 16.8%、30代 18.7%、40代 22.2%、50代 17.5%、60代 5.9%、70代 0.4%

調査結果データ

1.介護サービスの認知度と利用経験

(1) 「あまり知らない」、「まったく知らない」人が57.6%と上回る。

現行の介護保険制度で受けられるサービスについては「よく知っている(5.8%)」、「一部は知っている(32.6%)」となっているのに対し、「あまり知らない(41.7%)」、「まったく知らない(15.9%)」とする人が合計で57.6%と上回っており、介護サービスに対する認知は全体的には高くないことがわかる。【図1】。

【図1】介護サービスの認知度 (n=2,196)

【図1】介護サービスの認知度

世代別に見ると、年代が上がるほど「よく知っている」、「一部は知っている」とする人の割合が増加していき、50代以上では半数以上を占めている。さらに、「興味がない」とする人も若い世代では数%存在するが、50代以上では統計に表れておらず、高齢になるに従って興味が高くなることがわかる。【図2】。

【図2】介護サービスの認知度(世代別) (n=2,196)

【図2】介護サービスの認知度(世代別)

(2) 介護サービスを「利用したことがある」人は5.6%と少数。

これまでに介護サービスを「利用したことがある」とした人は5.6%で、「利用したことがない」人が92.7%となっているのと比較すると、現時点での利用経験者はまだまだ少数であることがわかる【図3】。

【図3】介護サービスの利用経験 (n=2,196)

【図3】介護サービスの利用経験

(3) 利用者の71.3%が「満足」しているが、さらに「状況に応じた柔軟な対応」が求められている。

利用経験者のうち、「大変満足した」、「まあまあ満足した」とする人を合わせると71.3%となっており、既存のサービス内容に対しては大半の利用者が満足していることがわかる。【図4】。

【図4】介護サービス利用者の満足度 (n=122)

【図4】介護サービス利用者の満足度

しかしながら、今後のサービス内容向上のために必要と思うものについては、「被介護者の状況に応じた柔軟な対応(43.4%)」、「介護施設の収容数の増強(36.9%)」といった項目への要望が高く、より利用者本位のサービスに改善されることが望まれている。【図5】。

【図5】介護サービスの内容向上に必要される事項 (n=122)

【図5】介護サービスの内容向上に必要される事項

2.介護保険制度改革に対する認識

(1) 導入が検討されている介護予防サービスを「知っている」のはわずかに7.1%。

2005年に予定されている介護保険制度の見直しの中で、新たに介護予防サービスの創設が検討されていることについては、「知っている」が7.1%と非常に少数であるのに対し、「聞いたことはあるが詳しくは知らない(40.2%)」、「まったく知らない(52.8%)」が大半を占め、制度自体への関心があまり高くないことがうかがわれる。導入が本格的に検討される場合には、政府や自治体の積極的な広報活動が望まれる。【図6】。

【図6】介護予防サービスへの認知度 (n=2,196)

【図6】介護予防サービスへの認知度

(2) 介護予防サービスへの期待感は高いが、導入には慎重さも求められる。

新たに検討されている介護予防サービスの創設に対する印象については、「痴呆や寝たきりの高齢者が減少するなら実施したほうが良い(58.2%)」、「超高齢化社会の到来に備え早急に導入すべきだ(32.1%)」、「現行のサービスは施設利用に偏りすぎているのでこうした在宅でのケアは強化すべきだ(25.0%)」など、新サービスへの期待感が高いことがわかる。

しかし一方では、「従来の介護サービスを受けられなくなる可能性があるので慎重に検討すべきだ(15.9%)」、「導入後に介護予防を強制されるのではないかと心配だ(15.2%)」、「家族の負担が増えるのであまり歓迎できない(14.8%)」といった意見も決して少なくないことから、制度の導入には慎重さも求められていることがうかがわれる。【図7】。

【図7】介護予防サービスに対する認識 (n=2,196)

【図7】介護予防サービスに対する認識

3.介護保険サービス利用者の負担限度額は現行並み。

現行の制度下では、介護保険施設に入居した場合の施設利用料の一部負担、食事代、日用品代など、利用者が負担する一日当たりの平均的な支払い額は1,600円程度だが、回答者が介護サービス利用時に負担できると考える限度額は、「1,500円未満」が47.4%、「2,000円未満」が31.5%となっており、現行レベルを上回る負担増は望んでいないことがわかる。【図8】。

【図8】介護サービスの利用者負担限度額 (n=2,196)

【図8】介護サービスの利用者負担限度額

4.被保険者の保険料負担増が検討される場合でも、サービスの品質向上が必須の条件。

厚生労働省では、介護保険制度が今後も現行の保険料負担で推移した場合、約2倍の6,000円になり、また介護保険料の徴収開始年齢を20歳に引き下げた場合でも全国平均月額3,900円ほどになるとの見通しを示している。これら保険料を払う被保険者の対象の引き下げや、負担金額の増加が検討されていることに対しては、「負担が増えてもサービスの品質向上につながるとは思えない(39.6%)」、「負担を重くするのは良いがそのためには介護サービスの品質向上が条件だ(35.4%)」といった意見が多く、保険料の支払い負担を増やす場合でも、サービス内容の品質を改善することが必須要件であることがわかる【図9】。

【図9】保険料の負担増加に対する意識 (n=2,196)

>【図9】保険料の負担増加に対する意識

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