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第8回「映画館での映画鑑賞」に関する調査

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映画館での映画鑑賞率5年ぶりに40%台を回復/「ボヘミアン・ラプソディ」のヒットを支えた「クイーン」世代

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お知らせ 2019年7月3日

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社

NTTコム リサーチ結果 (No.244)

第8回 「映画館での映画鑑賞」に関する調査

~映画館での映画鑑賞率5年ぶりに40%台を回復/
「ボヘミアン・ラプソディ」のヒットを支えた「クイーン」世代~

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:塚本良江)が運営するインターネットアンケートサービス「NTTコム リサーチ」(*1)は、「映画館での映画鑑賞」について、全国の10代~70代の男女を対象にアンケートを実施しました。有効回答者数は3278名でした。この調査は2012年から同時期に実施しているアンケート調査の8回目(*2)となります。

総括

今回調査における、直近1年以内に映画館で映画鑑賞をした人(以下「映画館鑑賞者」)は全体の40.3%となり、2015年調査から続いた減少傾向から5年ぶりに40%台に回復した。しかし、映画館での視聴に限定せず、「映画」全体の鑑賞率は過去最低の70%となったことから、自宅での鑑賞機会が減少したと推測できる。

映画館鑑賞率を性年代別で比較すると、女性10代の鑑賞率が引き続き最も高く、前回の65.8%からさらに上昇して71.2%となり、初めて70%を超えた。他の性年代を20ポイントも引き離しており、その旺盛な鑑賞意欲を印象づけた。これに続くのは女性20代の52.4%、男性10代の51.2%で、2人に1人が観に行っている。

2018年最大のヒットとなった「ボヘミアン・ラプソディ」の鑑賞率は、映画館鑑賞者のうち、男性では40代50代で40%弱、女性では50代60代で40%を超えて最も高かった。イギリスのロックバンド「クイーン」の故フレディ・マーキュリーの半生を描いた映画だが、「クイーン」の活躍を知る世代が映画館に足を運び、人気を支えたことがわかった。

また、近年ヒットする映画の背景として、「口コミ」の影響が大きいとされている。本調査では、観た映画を口コミで伝える「口コミ発信率」と、口コミを見てから映画を観に行く「口コミ接触率」に分けて分析した。口コミ発信率は男性よりも女性が高く、特に女性10代は、知人に伝える「リアル」な口コミが約70%、不特定多数に共有するSNSでの口コミが約30%となり、その両方で高い。一方、口コミ接触率は男性20代で特に高く、事前に映画の評判を確認してから観に行く傾向が強い。

調査概要

調査対象 「NTTコム リサーチ」登録モニター
調査方法 非公開型インターネットアンケート
調査期間 2019年6月7日(金)~2019年6月11日(火)
有効回答者数 3,278名
回答者の属性 【性別・年代】
男女別、10代~70代の各世代を均等回収

調査結果のポイント

(1) 映画館での鑑賞率が40%台を回復。映画館以外での映画鑑賞は減少

直近1年以内(2018年5月~2019年5月)に映画館で映画鑑賞をした人は全体で40.3%であった。2015年調査以降、40%を下回る低下傾向が続いていたなか、5年ぶりの回復となった。その一方で、映画館以外での映画鑑賞が減り、全ての視聴形態を含めた、映画鑑賞率は70%で過去最低となった。

(2) 女性10代の映画館鑑賞率が初の70%超え

前回に続き、女性10代の旺盛な鑑賞意欲が継続。女性10代における映画館鑑賞率は71.2%となり、初めて70%を超えた。他の各年代でも前回から鑑賞率を伸ばしたが、特に男性では30代、女性では40代で約10ポイント、映画館での鑑賞率を伸ばした。

(3) 「ボヘミアン・ラプソディ」女性50代60代の支持。「アベンジャーズ/エンドゲーム」男性10代を取り込む

昨年最大のヒットとなった「ボヘミアン・ラプソディ」の鑑賞率を性年代別でみると、男性では40代50代で40%弱、女性では50代60代が40%を超えて最も高かった。また、今年、世界の興行収入の記録を塗り替えた「アベンジャーズ/エンドゲーム」の鑑賞率を、1年前の「インフィニティ・ウォー」と比べると、男性10代の鑑賞率が大きく伸びたことがわかった。

(4) 口コミ発信力が強い女性10代。口コミ接触率が高い男性20代

昨年、異例のヒットとなった「カメラを止めるな!」の口コミ効果を受け、観た映画を口コミで伝える「口コミ発信率」と、口コミを見てから映画を観に行く「口コミ接触率」を性年代別でみると、口コミ発信率は男性よりも女性、特に女性10代で最も高く、知人に伝える「リアル」な口コミ、不特定多数に共有するSNSの口コミ、いずれの割合も高い。一方、口コミ接触率は、男性20代で特に高い結果となった。

(5) 100円の鑑賞料金の値上げで「観る映画館を変える」は4割強

一部の興行会社で実施している鑑賞料金の100円値上げについて、鑑賞頻度への影響を確認すると、映画館鑑賞者のうち「減らない(変わらない)」が70.3%、「減る」が29.7%となった。次に、映画館選びへの影響を確認すると、映画館鑑賞者のうち(普段利用している映画館を)「変えない」が56.4%、「変える」が43.6%となり、値上げの実施有無によって4割強が映画館を変えるとした。

(6) 有料動画配信サービスの利用率は、昨年から1.5倍に伸長

直近1年以内における有料動画配信サービスの利用率は、全体で22.4%となり、昨年から約7ポイント上昇、1.5倍の成長となった。性年代別に利用率の変化をみると、男性30代、女性10代20代で、15ポイント近く利用率が伸びている。

(7) DVDレンタルでの映画視聴は女性10代で高い

DVDレンタルショップが相次いで閉店していることを受け、直近1年以内におけるDVDレンタルでの映画視聴率を確認すると、視聴形態を問わず映画を観た人の3割がDVDレンタルで視聴していることがわかった。特に女性10代の視聴率が高く47.8%となり、約2人に1人がDVDレンタルで映画を観ている。

(8) サマーシーズンに観たい映画、「トイ・ストーリー4」が一番人気

今年の夏観たい映画のトップ3は、1位は「トイ・ストーリー4」(24.1%)、2位は「ライオン・キング」(13.6%)、3位は2位とほぼ同率で「天気の子」(13.1%)となった。情報感度の高い「(映画館で年間)12本以上鑑賞」のヘビーユーザーに絞ると、クエンティン・タランティーノ監督の新作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」が2位に入る結果となった。また、女性層に絞ると「劇場版おっさんずラブ LOVE or DEAD」が注目作の上位に入った。

《 補足 》

(*1)「NTTコム リサーチ(旧gooリサーチ)」 https://research.nttcoms.com/
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(http://www.nttcoms.com/)が提供する高品質で付加価値の高いインターネットリサーチ・サービスです。
なお、2013年12月9日に、モニター基盤の拡大を機にサービス名称を「gooリサーチ」から「NTTコム リサーチ」と名称を変更し、サービスを提供しています。

(*2)過去の調査結果

<本調査に関するお問い合わせ先>

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社
データ&アナリティクス部
(Tel)03-4330-8402 (FAX)03-4330-8900
(E-mail) research-info@nttcoms.com

調査結果データ

(1) 映画館での鑑賞率が40%台を回復。映画館以外での映画鑑賞は減少

直近1年以内(2018年5月~2019年5月)に映画館で映画を鑑賞した人(以下「映画館鑑賞者」)は全体で40.3%であった。【図1】

【図1】直近1年以内の映画館での映画鑑賞率(単一回答)
<回答対象>全員

【図1】直近1年以内の映画館での映画鑑賞率(単一回答)<回答対象>全員

(今回調査における直近1年以内に映画館で映画を観た対象者の母数は1322サンプル)

過去調査からの推移を確認すると、2015年以降40%を下回り、緩やかな低下傾向が続いていたが、5年ぶりに40%台に戻した。【図2】

【図2】過去調査からの鑑賞率の推移(単一回答)
<回答対象>全員

【図2】過去調査からの鑑賞率の推移(単一回答)<回答対象>全員

映画館での鑑賞率が上昇した一方で、他の視聴形態を含めた映画の鑑賞率は70%となり、過去調査のなかで最低の数字となった。映画館以外での鑑賞率が初めて30%を切ったことが影響しており、自宅での視聴機会が減ったことがうかがえる。【図3】

【図3】映画館以外での鑑賞を含めた映画鑑賞率の推移(単一回答)
<回答対象>全員

【図3】映画館以外での鑑賞を含めた映画鑑賞率の推移(単一回答)<回答対象>全員

年間の鑑賞本数の推移をみると、2018年調査(以下「前回」)から、年間2~4本鑑賞者の割合が約3ポイント微増し43.0%、5~11本鑑賞者の割合が約4ポイント微減し21.3%となった。他は変わらず、年間12本以上鑑賞のヘビーユーザーの割合は10%弱をキープしている。【図4】

【図4】直近1年以内に映画館で観た映画本数の推移(単一回答)<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

【図4】直近1年以内に映画館で観た映画本数の推移(単一回答)<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

(2) 女性10代の映画館鑑賞率が初の70%超え

映画館鑑賞率を性年代別にみてみる。まず男性では、10代の鑑賞率が最も高く52.0%となった。過去調査からの推移をみると、前回までは20代以降で低下傾向がみられたが、今回では20代~50代の間で鑑賞率が上昇した。特に30代の変化が大きく、前回から10ポイント以上上昇した。【図5】

【図5】(男性)年代別の鑑賞率の推移(単一回答)
<回答対象>男性の直近1年以内の映画館鑑賞者

【図5】(男性)年代別の鑑賞率の推移(単一回答)<回答対象>男性の直近1年以内の映画館鑑賞者

〔上段数字:今回結果/下段数字:前回結果〕

女性の鑑賞率をみると、10代の鑑賞率が引き続き最も高く、過去最高の71.2%に達した。2番目に高い20代との差は20ポイント近くまで開いた。前回まで30代以降で鑑賞率の低下がみられたが、今回調査で各年代ともに鑑賞率が上昇した。特に40代の変化が大きく、前回から10ポイント以上上昇した。【図6】

【図6】(女性)年代別の鑑賞率の推移(単一回答)
<回答対象>女性の直近1年以内の映画館鑑賞者

【図6】(女性)年代別の鑑賞率の推移(単一回答)<回答対象>女性の直近1年以内の映画館鑑賞者

〔上段数字:今回結果/下段数字:前回結果〕

直近1年以内の映画館鑑賞において「誰と見ることが多かったか」の鑑賞形態の割合を確認する。映画館鑑賞者全体(以下「全体」)のうち、最も多いのは「1人」で37.4%、「家族(子ども、親)」「パートナー(配偶者・恋人)」「友人・知人」は20%前後でほぼ均等の割合となった。【図7】

次に、性年代別で鑑賞形態の違いをみてみる。10代では男女ともに他年代と比べると「友人・知人」の割合が多いが、男性10代のなかでは「1人」鑑賞が4割を超えて最も多いのに対して、女性10代では「1人」鑑賞が21.4%と少なく、男女間で差がみられた。女性10代は「友人・知人」との鑑賞が半数を超えて最も多いが、女性20代になると「友人・知人」は30ポイント近く大幅に減少し21.8%となり、「1人」鑑賞の割合が上回る。女性の30代~40代までは「1人」鑑賞が3割程度で、「家族」との鑑賞のほうが4割前後となり多くなるが、50代になると「1人鑑賞」が4割に増え、逆に「家族」との鑑賞が2割に減る。女性の50代以降では、子どもと同行する機会が減るライフスタイルの変化が考えられる。【図7】

【図7】直近1年以内の映画鑑賞「誰と観に行くことが多かったか」(単一回答)
<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

【図7】直近1年以内の映画鑑賞「誰と観に行くことが多かったか」(単一回答)<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

(3) 「ボヘミアン・ラプソディ」女性50代60代の支持。「アベンジャーズ/エンドゲーム」男性10代を取り込む

直近1年以内でヒットしたタイトルについて、性年代別で鑑賞率をみてみる。対象は次の4タイトル。大きなヒットに繋がりにくいとされる映画祭受賞作ながら40億を超えるヒットとなった「万引き家族」、2018年邦画で最大のヒットとなった「劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」、邦洋画を合わせて2018年の最大のヒットとなった「ボヘミアン・ラプソディ」、アニメ映画として毎年80億を超えるヒットを継続するシリーズの最新作「名探偵コナン 紺青の拳」。

【図8】性年代別 4タイトルの鑑賞率
<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

【図8】性年代別 4タイトルの鑑賞率<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

「万引き家族」では男性70代の鑑賞率の高さが目立つ(35.4%)。「劇場版コード・ブルー」は他3タイトルと比べて際立って鑑賞率が高い年代はないが、男性では50代、女性では20代と50代で25%を超えて比較的高い。「ボヘミアン・ラプソディ」は男性の40代50代で4割近く、女性の50代60代では4割を超えて最も高い鑑賞率となった。「名探偵コナン 紺青の拳」は男性10代20代、女性20代で3割を超えて高い。【図8】

「ボヘミアン・ラプソディ」の鑑賞率が、男性40代50代、女性50代60代で高かった背景としては、主人公であるフレディ・マーキュリーが活躍していた1970年代から1980年代の当時、10代~20代であった世代であり、「クイーン」に親しみがあったことが考えられる。

今年、世界の興行収入を塗り替えるヒットとなった「アベンジャーズ/エンドゲーム」。日本でもMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)映画(※1)のなかで最大のヒットとなったが、昨年の「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」から鑑賞率はどのように変わったのか。2012年公開の「アベンジャーズ」を含めた鑑賞率の推移を性年代別でみてみる。

最も変化があったのは、男性10代で「インフィニティ・ウォー」の8.8%から、「エンドゲーム」では22.9%に上昇した。「エンドゲーム」が「インフィニティ・ウォー」のあらすじを引き継ぐ内容であることから、「インフィニティ・ウォー」の劇場公開終了後、自宅鑑賞などで追いつき、劇場鑑賞に臨んだことがうかがえる。【図9】

(※1)マーベル・コミックによって出版されたコミックに登場するキャラクターを配したマーベル・スタジオが製作するヒーロー映画。

【図9】「アベンジャーズ/エンドゲーム」の鑑賞率
<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

【図9】「アベンジャーズ/エンドゲーム」の鑑賞率<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

次に、直近1年以内に映画館で観た映画のジャンルから、人気のあるジャンルを確認する(公開頻度が高い「アメコミ映画」や、ヒット作の多い「ディズニー映画」もジャンルとして選択肢に加えた)。1位は「アニメ映画」であり、鑑賞者の4割が観に行っている。2位は「ドラマ映画」、3位は「音楽・ミュージカル映画」となった。3位の「音楽・ミュージカル映画」は「ボヘミアン・ラプソディ」のヒットの影響が大きいと考えられる。【図10】

【図10】直近1年以内に映画館で観た映画のジャンル(複数回答)
<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

【図10】直近1年以内に映画館で観た映画のジャンル(複数回答)<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

人気のジャンルについて、回答者のライフスタイルによる差をみるため、学生/就業者(×男女別)、専業主婦の5グループ(以下「職業別」)に分けて、1位から5位までをまとめて比較する。学生は男女ともに「アニメ映画」がトップ、2位以降で好みが分かれ、男性は「アメコミ映画」「アクション映画」が続き、女性は「恋愛映画」「テレビドラマの劇場版」が続く。就業者も男女ともに「アニメ映画」が1位と同率の2位となり、学生だけでなく就業者層にも人気が高い。就業者の女性と、専業主婦は上位に「音楽・ミュージカル映画」が入ってくる。【表1】

【表1】職業別 直近1年以内に映画館で観た映画のジャンル

【表1】職業別 直近1年以内に映画館で観た映画のジャンル

〔下段数字が%〕

(4) 口コミ発信力が強い女性10代。口コミ接触率が高い男性20代

昨年、2館の小規模公開から始まり全国公開に拡大するヒットを記録した「カメラを止めるな!」が、映画界の大きな話題となった。観た人の"口コミ"が広がり、観客が観客を連れてくる連鎖がヒットの要因とされているが、映画館鑑賞における、鑑賞後の口コミの発信、鑑賞前の口コミ接触状況と、映画館に向かわせる効果はどの程度のものなのか確認する。なお、本調査では「口コミ」を「(観た人の)話題・評判・オススメ」の総称として回答者に定義づけた。

まず、直近に観た映画について、「誰かに観たこと、観た感想を共有したか」と聞いたところ、「顔見知りの知人(友人・家族等)に伝えた」(以下「リアルな口コミ」)が全体で52.0%となった。ほか、不特定多数に向けた情報発信として「SNSに上げた」は16.9%、「ポータルサイト・映画サイトに上げた」は3.3%、「自身のブログ記事に上げた」は2.0%となった。【図11】

【図11】直近に観た映画の情報共有(複数回答)
<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

【図11】直近に観た映画の情報共有(複数回答)<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

次に、鑑賞後の情報共有(以下「口コミ発信」)を性年代別に分けてみてみる。「SNS」「サイト」「ブログ記事」は「ネット上に上げた」として1つにまとめた。

リアルな口コミは、男女ともに10代が最も多い。女性10代に至っては7割に達する。男性と比べて女性のほうが全体的に多く、女性50代以上のシニア層の口コミ発信も約6割となり多い。「ネット上に上げた」は、男性では10代~30代、女性では10代20代が特に多く、いずれも3割程度となった。【図12】

【図12】性年代別 直近に観た映画の情報共有(複数回答)
<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

【図12】性年代別 直近に観た映画の情報共有(複数回答)<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

一方、発信された口コミ情報を受け取る接触状況について、直近1年以内で「口コミ情報を見てから(聞いてから)、映画を見に行ったことがあるか」と聞いてみた。その結果、全体では35.9%、性年代別でみてみると、男性20代で5割近くとなり、他年代と比べて特に高い。【図13】

【図13】性年代別 鑑賞前の口コミ接触率
<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

【図13】性年代別 鑑賞前の口コミ接触率<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

これらの結果をもとに、映画館鑑賞者を性年代で分け、口コミの発信率(リアルとオンラインをまとめた結果)と、口コミの接触率を2つの軸として散布図を作成、その分布をみてみる。女性10代は口コミ発信率が高いものの、他年代と比べて、口コミの接触率は低い。口コミの接触率が高い男性20代も、女性層と比べると、口コミの発信率は低い。性年代間で分けると、発信率と接触率でどちらかに偏る傾向がみられる。なお、最も口コミ情報から離れているのは(発信率も接触率も低い)、男性40代であり、男性の40代~70代までは、年代が上がるにつれて発信率も接触率も高まっていく傾向がある。【図14】

【図14】性年代別鑑賞者の口コミ発信率と接触率の分布
<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

【図14】性年代別鑑賞者の口コミ発信率と接触率の分布<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

それでは接触した口コミ情報がどの程度、鑑賞動機に繋がるのか。直近1年以内における鑑賞前の口コミ接触率は全体で35.9%であったが、そのうち「口コミ情報が鑑賞する決め手・後押しになったことがあるか」で「経験がある」としたのは89.0%となった。この結果より、口コミが鑑賞動機に繋がりやすいことがわかった。【図15】

【図15】鑑賞前の口コミ接触率と鑑賞動機(単一回答)
<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

【図15】鑑賞前の口コミ接触率と鑑賞動機(単一回答)<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

(5) 100円の鑑賞料金の値上げで「観る映画館を変える」は4割強

今年に入り、映画館を経営する一部の興行会社で、鑑賞料金の引き上げが実施された。全ての鑑賞料金、あるいは、割引料金のみなど、興行会社や映画館によって対応は異なるが、いずれも100円の値上げである。この値上げが、映画館ユーザーの鑑賞頻度にどの程度影響を与えるのか。本調査では「全ての映画館で一般料金と割引料金のすべてで100円値上げした場合」とし、映画館で鑑賞する本数が変化するか聞いてみた。その結果、全体で「減らない(変わらない)」が70.3%、「減る」が29.7%となった。鑑賞本数別にみると、鑑賞本数が上げるにつれて、「減らない(変わらない)」が増加し、12本以上のヘビーユーザーに関しては81.8%が「減らない(変わらない)」とした。【図16】

【図16】100円の値上げにより鑑賞頻度は減るか。(単一回答)
<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

【図16】100円の値上げにより鑑賞頻度は減るか。(単一回答)<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

今度は、映画館の選択にどの程度影響を与えるのか確認する。本調査では「同エリアに、上映タイトル、および設備環境が変わらない映画館が複数あるとして、その中で普段最も利用している映画館のみ、100円値上げした場合」とし、映画館を変えるか、聞いてみた。結果、全体で「変えない」が56.4%、「変える」が43.6%となり、値上げによって映画館の選択を変える層は4割強となった。鑑賞本数別にみると、5~11本のみ鑑賞者のみ、「変えない」が6割を超えて高くなり、12本以上鑑賞者になると「変えない」が全体水準レベルの5割強に低下する。【図17】

【図17】100円の値上げにより映画館を変えるか。(単一回答)
<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

【図17】100円の値上げにより映画館を変えるか。(単一回答)<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

観客がイベントとして参加する応援上映が話題になることも多くなり、映画館での鑑賞形態が多様化するなか、映画館での鑑賞マナーを巡る問題が最近のトピックスとして上がっている。アメリカでは問題視されないことも多い鑑賞マナーについて、日本の映画館ユーザーはどの程度許容できるのか。本調査で用意した5つのなかで「許容できるもの」として回答を得た結果、「本編前の予告編上映時の入場」が最も多く80.7%、次いで多いのは「エンドロール中の退席」で64.5%だった。最も少なかったのは「鑑賞中の同行者とのささやき会話」で24.8%となり、8割弱が許容できないとした。【図18】

【図18】許容できる映画館での鑑賞時マナー(複数回答)
<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

【図18】許容できる映画館での鑑賞時マナー(複数回答)<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

(6) 有料動画配信サービスの利用率は、昨年から1.5倍に伸長

前回に続き、映画の新たな視聴形態として台頭する有料動画配信サービス(以下「動画配信サービス」)の利用状況を確認する。映画の視聴有無に関わらず、回答者全員を対象とした直近1年以内の利用率は22.4%となった。前回の15.2%から約7ポイント上昇、1.5倍の成長率にあたり、大きく伸長したといえる。

性年代別で利用率をみると、男性では10代~30代、女性では10代~20代で、3割を超えて高い結果となった。前回からの変化をみると、男性30代、女性10代20代で、15ポイント近く大幅に利用率が伸びている。【図19】

【図19】直近1年以内における有料動画配信サービスの利用率
<回答対象>回答者全員

【図19】直近1年以内における有料動画配信サービスの利用率<回答対象>回答者全員

次に、映画館鑑賞者における動画配信サービスの利用率を確認する。映画を観ない人を含めた全体の利用率が22.4%に対して、映画館鑑賞者の利用率は32.7%だった。前回からは約9ポイント上昇し、映画館ユーザーの中でもサービスの利用が進んでいる。【図20】

【図20】映画館鑑賞者における有料動画配信サービスの利用率
<回答対象>直近1年以内映画館鑑賞者

【図20】映画館鑑賞者における有料動画配信サービスの利用率<回答対象>直近1年以内映画館鑑賞者

(7) DVDレンタルでの映画視聴は女性10代で高い

2017年よりレンタルショップ大手であるTSUTAYAの店舗が相次いで閉店している。映画館で見逃した映画を自宅で鑑賞する際の受け皿としても機能しているDVDレンタルであるが、動画配信サービスの利用が拡大している現在において、DVDレンタルでの映画視聴はどの程度の割合を占めているのか。直近1年以内の映画館以外での視聴形態を確認する。まず、最も多いのは「テレビの無料放送」で73.7%、DVDレンタルは2番目に多く、その割合は29.4%で、3割を占める結果となった。【図21】

【図21】映画館以外での映画視聴形態
<回答対象>直近1年以内「映画」鑑賞者

【図21】映画館以外での映画視聴形態<回答対象>直近1年以内「映画」鑑賞者

DVDレンタルでの映画視聴に絞り、性年代別で利用率をみてみる。特に利用率の高さが目立つのは、女性10代であり、47.8%となった。映画館以外での映画視聴として、女性10代の約2人に1人がDVDレンタルで映画を視聴していることがわかった。【図22】

【図22】性年代別 DVDレンタルでの映画視聴率
<回答対象>回答者全員

【図22】性年代別 DVDレンタルでの映画視聴率<回答対象>回答者全員

次に、DVDレンタルショップはどの程度必要とされているのか、回答者全員を対象にニーズを確認する。「近くにDVDレンタルショップがあること」について4段階の選択肢で聞いてみた結果、回答者全体では「必要である」が10.3%、「あったほうがよい」が28.2%、両者を合わせた結果(「ニーズ」とする)は38.5%となった。

性年代別でみると、利用率同様、女性10代のニーズが最も高く「必要である」が28.0%、「あったほうがよい」が37.9%、両者を合わせると6割を超える結果となった。ほか、男性10代、女性20代のニーズも高く、5割に及ぶ結果となった。【図23】

【図23】DVDレンタルショップのニーズ
<回答対象>回答者全員

【図23】DVDレンタルショップのニーズ<回答対象>回答者全員

(8) サマーシーズンに観たい映画、「トイ・ストーリー4」が一番人気

今年の夏(2019年7月~8月までに公開予定)に観たい映画は何か、全国で公開される映画を中心に聞いてみた。全体における1位は「トイ・ストーリー4」(24.1%)、2位は「ライオン・キング」(13.6%)、3位は2位とほぼ同率で「天気の子」(13.1%)となった。次に、情報感度の高い「12本以上鑑賞」のヘビーユーザーに絞ってみると、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」が30%を超えて2位に入った。同作はレオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットを主演に据えた、クエンティン・タランティーノ監督作であり、映画ファンの注目度の高さがうかがえる。【図24】

【図24】2019年夏に観たい映画(複数回答)
<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

【図24】2019年夏に観たい映画(複数回答)<回答対象>直近1年以内の映画館鑑賞者

次に、職業別に、上位の注目作をまとめる。全グループともに「トイ・ストーリー4」が1位だが、学生男女と就業者男性では「天気の子」が上位に入り、女性層では「劇場版おっさんずラブ LOVE or DEAD」が入る結果となった。

【表2】職業×男女別 2019年夏に観たい映画の上位
<回答対象>直近1年以内映画館鑑賞者

【表2】職業×男女別 2019年夏に観たい映画の上位<回答対象>直近1年以内映画館鑑賞者

〔下段が%〕

この調査結果の単純集計を無料にて提供しています。

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