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第6回「映画館での映画鑑賞」に関する調査

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「君の名は。」男性20代で4人に1人がリピート。「この世界の片隅に」観た人の2割がオンラインで拡散

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お知らせ 2017年6月28日

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社

NTTコム リサーチ結果 (No.241)

第6回「映画館での映画鑑賞」に関する調査

~「君の名は。」男性20代で4人に1人がリピート、
「この世界の片隅に」観た人の2割がオンラインで拡散~

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:塚本良江)が運営するインターネットアンケートサービス「NTTコム リサーチ」(*)は、「映画館での映画鑑賞」について、全国の10代~70代の男女を対象にアンケートを実施しました。有効回答者数は3,193名でした。この調査は2012年から同時期に実施しているアンケート調査の6回目となります。

総括

2016年の年間映画興行収入は前年比108%で、2000年以降で過去最高となる2355億円を記録した(※)。今回調査における、直近1年以内での映画館での映画鑑賞率は37.1%で、前回調査の38.7%とほぼ変わらず、映画館に足を運ぶユーザー人口自体は大きく増えていない。しかし、年間の鑑賞本数をみると、前回調査より5本以上鑑賞者の比率が伸びており、1人あたりの鑑賞本数は増えていると考えられる。

前回に続き、10代の若年層で鑑賞率が高く、なかでも女性10代は65.7%で特に高い。また、10代における鑑賞本数は男女ともに増加傾向にあり、今回調査では年間5本以上観る層が増え、女性10代では36.8%の比率まで延びた。10代の映画館鑑賞が盛り上がる一方で、男性の50代以上、女性の20代以上の鑑賞率は2012年調査から低下の一途をたどっている。

2016年の映画興行を牽引した「アニメ映画」であるが、今回調査では「邦画アニメ」の鑑賞率が前回調査から20ポイントも増え、62.6%となり、「邦画実写」の鑑賞率と並んだ。邦画、洋画を含めた「アニメ映画」の鑑賞率の過去調査からの推移をみると、男性10代で年を追うごとに「アニメ映画」の鑑賞率が高まっていることがわかった。

歴史的ヒットとなった「君の名は。」を観た人は、60代までのすべての年代層で、映画館鑑賞者のうち30%以上だった。最も鑑賞率が高かったのは男性20代で59.6%。観た人のリピート率は全体で16.8%、男性20代では27.4%となり、4人に1人がリピートしたことになる。

小規模公開からはじまったのち、公開館数を増やし、ロングランヒットを記録した「この世界の片隅に」は、観た人のうち「不特定多数に向けてSNS、Webサイトに感想を載せた」という口コミ発信者が22.6%となり、他ヒット作よりも多かった。「広めたい」という観た人の強い想いが、オンラインを通じた拡散という形に現れ、観客動員につながった。

(※) 日本映画製作者連盟調べ

調査概要

1. 調査対象 「NTTコム リサーチ」登録モニター
2. 調査方法 非公開型インターネットアンケート
3. 調査期間 2017年6月9日(金)~2017年6月14日(水)
4. 有効回答者数 3,193名
5. 回答者の属性 【性別・年代】
男女別、10代~70代の各世代を均等回収

調査結果のポイント

(1) 映画館での鑑賞率は前回とほぼ変わらず37.1%、3年連続で4割を下回る

直近1年以内に映画館で映画鑑賞をした人(以下「映画館鑑賞者」)は全体の37.1%で、前回調査(38.7%)からほぼ変動せず、3年連続で4割を下回った。

(2) 女性10代は高い鑑賞率を維持。男性50代以上と女性20代以上の鑑賞率は低下中

性年代別の鑑賞率をみると、女性10代の鑑賞率が継続して高く、65.7%となり各年代のなかで最も高い。その一方で、男性の50代以上と女性の20代以上の鑑賞率は、過去調査からの低下が続いている。

(3) 10代の鑑賞本数が増加傾向。女性10代では5本以上鑑賞者の比率が4割弱に

映画館での鑑賞率が高い10代の鑑賞本数を過去調査からの推移でみると、男女ともに鑑賞本数は増加傾向にあり、5本以上観ている層の構成比は過去最高となった。特に多いのは女性10代であり、5本以上鑑賞者が36.8%まで伸びた。

(4) 「邦画アニメ」の鑑賞率が大幅にアップ。「実写映画」の6割に並ぶ

「邦画アニメ」の鑑賞率が前回調査から20ポイント以上、上昇して62.6%となり、邦画実写の鑑賞率と並んだ。性年代別でみると「邦画アニメ」の鑑賞率は、男性10代20代で特に高く約80%となった。映画館に足を運んだ男性若年層の大半が「邦画アニメ」を観ている。

(5) 男性10代の「アニメ映画」の鑑賞率、過去調査から上昇中

邦画、洋画を含めた「アニメ映画」の鑑賞率は、男性10代で上昇し続けている。男女ともに前回調査から鑑賞率がアップしたが、女性層よりも男性層のほうが過去調査からの上昇率が大きく、男性60代など普段アニメを観ていない層にもアニメ映画鑑賞が広がった。

(6) 映画館で観る「実写映画」、「キャスト」が女性層を動かす

映画館で観る「実写映画」については、「好きなジャンルの映画」、「好きな俳優が出演している映画」、「好きな原作小説の映画化」が上位のトップ3。性年代別でみると、男女間で傾向が異なり、10代~60代までの女性層の1位はすべて「好きな俳優が出演している映画」となった。

(7) 「君の名は。」の鑑賞率、最も高かったのは男性20代。リピート鑑賞も4人に1人

歴史的なヒットとなった「君の名は。」は、60代までのすべての年代層で30%以上の鑑賞率となった。なかでも最も鑑賞率が高かったのは男性20代で59.6%となった。「君の名は。」を観た人の全体のリピート率は16.8%、男性20代では27.4%という高い結果となった。

(8) 「この世界の片隅に」、観た人の2割がオンラインで拡散

作品が高く評価され、ロングランヒットを記録した「この世界の片隅に」。観た人の口コミ発信をみると、「不特定多数に向けてSNS、Webサイトに感想を載せた」が、他のヒット作の15%前後に対して22.6%という結果となり、オンラインで広く拡散されていた。

(9) サマーシーズンに観たい映画、「パイレーツ・オブ・カリビアン」の新作が一番人気

今年の夏観たい映画のトップ3は、1位「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」(24.2%)、2位「スパイダーマン:ホームカミング」(9.4%)、3位「トランスフォーマー/最後の騎士王」(9.1%)となった。

《 補足 》

(*)「NTTコム リサーチ(旧gooリサーチ)」 http://research.nttcoms.com/
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(http://www.nttcoms.com/)が提供する高品質で付加価値の高いインターネットリサーチ・サービスです。
自社保有パネルとしては国内最大級のモニター基盤(2017年6月現在 217万会員)を保有するとともに、「モニターの品質」「調査票の品質」「アンケートシステムの品質」「回答結果の品質」の4つを柱とした「クオリティポリシー」に基づく徹底した品質確保を行い、信頼性の高い調査結果を提供するインターネットリサーチとして、多くの企業・団体に利用されています。
なお、2013年12月9日に、モニター基盤の拡大を機にサービス名称を「gooリサーチ」から「NTTコム リサーチ」と名称を変更し、サービスを提供しています。

<本調査に関するお問い合わせ先>

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社
データ&アナリティクス部
(Tel)03-4330-8402 (FAX)03-4330-8900
(E-mail) research-info@nttcoms.com

調査結果データ

(1) 映画館での鑑賞率は前回とほぼ変わらず37.1%、3年連続で4割を下回る

直近1年以内(2016年5月~2017年5月)に映画館で映画鑑賞をした人(以下「映画館鑑賞者」)は全体で37.1%であった。【図1】

前回の鑑賞率(38.7%)と比べても、ほぼ変わらず、2015年調査から続く4割を割り込む結果は3年連続で続いた。【図2】

【図1】直近1年以内の映画館での映画鑑賞率<単一回答>

【図1】直近1年以内の映画館での映画鑑賞率<単一回答>

(今回調査における直近1年以内に映画館で映画を観た対象者の母数は1186サンプル)

【図2】過去調査からの鑑賞率の推移<単一回答>

【図2】過去調査からの鑑賞率の推移<単一回答>

(2) 女性10代は高い鑑賞率を維持。男性50代以上と女性20代以上の鑑賞率は低下中

映画館鑑賞率を性年代別にみてみる。まず男性では、10代と20代の鑑賞率がほぼ同率で最も高く約48%となった。2016年調査(以下「前回」)で、上昇し5割を超えた10代の鑑賞率は、過去調査の4割台に戻った。ほか、30代、40代で鑑賞率が上昇した一方、50代以上の鑑賞率は低下を続けている。【図3】

【図3】(男性)年代別の鑑賞率の推移

【図3】(男性)年代別の鑑賞率の推移

女性の鑑賞率をみると、10代の鑑賞率が引き続き最も高く、前回から上昇して65.7%となった。2番目に鑑賞率が高いのは20代であるが、その差は20ポイントも開いている。また、30代など前回と変わらない結果が一部見られたものの、20代以上の鑑賞率は、全体的に低下傾向が続いている。【図4】

【図4】(女性)年代別の鑑賞率の推移

【図4】(女性)年代別の鑑賞率の推移

(3) 10代の鑑賞本数が増加傾向。女性10代では5本以上鑑賞者の比率が4割弱に

直近1年以内で年間の鑑賞本数の推移をみると、前回まで45%以上を占めていた年間2~4本鑑賞者(以下「年間」省略)が今回調査では減少し、40.6%となった。その一方で、5~11本鑑賞者と12本以上鑑賞者の比率がいずれも増加し、それぞれ23.8%、9.1%となった。両者を合わせた5本以上鑑賞者は32.9%で、映画館鑑賞者の約3人に1人が年間5本以上を観ていることになる。【図5】

【図5】直近1年以内に映画館で観た映画本数の推移

【図5】直近1年以内に映画館で観た映画本数の推移

次に、鑑賞率の高い10代に絞り、鑑賞本数の推移をみてみる。男性10代では年間2本以上観る複数本鑑賞者の比率が増え続けている。その内訳をみると2~4本鑑賞者が減少する一方で、5~11本鑑賞者が増加する結果となった。5~11本鑑賞者の比率は過去最高となり、初めて2割を超えた(21.7%)。【図6】

【図6】直近1年以内で男性10代が映画館で観た映画本数の推移

【図6】直近1年以内で男性10代が映画館で観た映画本数の推移

女性10代の鑑賞本数の推移をみると、5~11本鑑賞者と12本以上鑑賞者の比率が伸び、両者を合わせた年間5本以上鑑賞者の比率は36.8%で、過去最高となった。【図7】

【図7】直近1年以内で女性10代が映画館で観た映画本数の推移

【図7】直近1年以内で女性10代が映画館で観た映画本数の推移

(4) 「邦画アニメ」の鑑賞率が大幅にアップ。「実写映画」の6割に並ぶ

2016年にヒットした映画タイトルを振り返る。邦画と洋画を合せた興行収入のトップ10をみると、邦画タイトルが6タイトルに対して、洋画タイトルが4タイトルとなっており、上位を分けあう形となっている。しかし、その結果よりも目立つのが、アニメタイトルが占める割合の高さだ。邦画、洋画を合わせて10本中7本をアニメタイトルが占めており、アニメタイトルが上位にランクインする傾向は例年通りであるものの、昨年は特にその傾向が顕著だったといえる。【表1】

【表1】2016年映画興行収入ランキングトップ10

【表1】2016年映画興行収入ランキングトップ10

「邦画」「洋画」×「実写」「アニメ」の4ジャンル(以下「4ジャンル」)ごとに、直近1年以内の鑑賞率を2014年調査からの推移でみると、まず目立つのが、「邦画アニメ」の大幅な上昇である。前回を含めた過去調査の40%前後の鑑賞率から20ポイント以上も上昇し、62.6%という鑑賞率となった。前回の鑑賞率とほぼ変動がなかった、邦画実写の鑑賞率(62.1%)と並ぶ結果となり、「君の名は。」をはじめとした邦画アニメが、全体の映画興行収入を牽引したことを改めて印象付けた。【図8】

【図8】直近1年以内の4ジャンルの鑑賞率

【図8】直近1年以内の4ジャンルの鑑賞率

次に今回調査における4ジャンルの鑑賞率を性年代別でみてみる。男性では「邦画実写」と「洋画実写」の鑑賞率に大きな乖離がみられず、各年代、同程度に観られている。女性では「洋画実写」の鑑賞率は女性20代で最も高かった(73.3%)。鑑賞率が上昇した「邦画アニメ」においては、男性若年層で鑑賞率が特に高く、男性10代が78.3%、男性20代が82.7%となり、映画館に足を運んだ男性若年層の大半が「邦画アニメ」を観ていたことがわかる。【図9】

【図9】(性年代別)直近1年以内の4ジャンルの鑑賞率比較

【図9】(性年代別)直近1年以内の4ジャンルの鑑賞率比較

(5) 男性10代の「アニメ映画」の鑑賞率、過去調査から上昇中

今回調査で邦画アニメの鑑賞率が上がる結果となったが、過去調査からどのように変わってきたのか。洋画アニメを吹き替えで観ることも多く、鑑賞者にとって、「邦画」と「洋画」で「アニメ」を区別していないことが想定されるため、両者を合わせた「アニメ映画」として2014年からの鑑賞率の推移をみてみる。

まず男性では、10代で2014年調査から年を追うごとに鑑賞率が上がっており、アニメ映画の人気が着実に伸びている。20代以上の他年代では、前回から大幅に鑑賞率が上がる結果となった。男性60代では過去調査の水準である30%前後を大幅に上回り、今回調査では65.0%となった。【図10】

【図10】(男性)年代別アニメ映画の鑑賞率の推移

【図10】(男性)年代別アニメ映画の鑑賞率の推移

次に、女性のアニメ映画の鑑賞率の推移をみると、いずれの年代も前回から鑑賞率を伸ばしているが、前述の男性と比べると過去調査の鑑賞率を大きく上回る結果は少ない。女性よりも男性のほうが、昨年のアニメ映画に対する反応は大きかったようだ。【図11】

【図11】(女性)年代別アニメ映画の鑑賞率の推移

【図11】(女性)年代別アニメ映画の鑑賞率の推移

アニメ映画に対する意識を確認するため、「実写映画とアニメ映画のどちらに感情移入するか」と「実写映画」と比較する形で聞いたところ、全体では「実写映画」が51.5%で半数を占めたが、「アニメ映画」は15.7%に留まった。しかし、性年代別にみると、男性10代と男性20代のみ、「アニメ映画」と回答した人が3割を超え、「実写映画」と回答した人の割合に並ぶ結果となった。なお、同じ10代20代でも女性層は、半数以上が「実写映画」と回答している。【図12】

【図12】(性年代別)「実写映画とアニメ映画のどちらに感情移入するか?」

【図12】(性年代別)「実写映画とアニメ映画のどちらに感情移入するか?」

(6) 映画館で観る「実写映画」、「キャスト」が女性層を動かす

アニメ映画の鑑賞率が上がったことで、実写映画の鑑賞率を維持、もしくは鑑賞率を上げていくことが映画興行を盛り上げることにつながる。そこで、映画館で観る実写映画について、現状どのような映画が選ばれているのか確認してみる。映画館鑑賞者全体のトップ3は1位「好きなジャンルの映画」(39.5%)、2位「好きな俳優が出演している映画」(37.9%)、3位「好きな原作小説の映画化」(37.7%)という結果となった。【図13】

【図13】映画館で観る「実写映画」はどのような映画か。<複数回答>

【図13】映画館で観る「実写映画」はどのような映画か。<複数回答>

次に、性年代別にトップ3の結果をみてみる。その結果は、年代ごとに細かい差異はあるものの、男性層と女性層の間で傾向が大きく異なっている。男性層は「好きなジャンルの映画」「好きな原作小説の映画化」「好きなシリーズの続編」がまんべんなくトップ3に入っている一方で、女性層については、「好きな俳優が出演している映画」が10代~60代まで1位に入る偏った結果となった。女性層においては「キャスト」が映画館に足を運ばせる大きな要因になっている。

【表2】(男性)映画館で観る「実写映画」のトップ3

【表2】(男性)映画館で観る「実写映画」のトップ3

【表3】(女性)映画館で観る「実写映画」のトップ3

【表3】(女性)映画館で観る「実写映画」のトップ3

(7) 「君の名は。」の鑑賞率、最も高かったのは男性20代。リピート鑑賞も4人に1人

直近1年以内に日本でヒットした映画のうち、特徴的だった4作品について、性年代ごとの鑑賞率をみてみる。対象作は、邦画実写と邦画アニメでそれぞれ最もヒットした「シン・ゴジラ」と「君の名は。」、現在も公開中で100億円を超えるヒットとなっている洋画実写の「美女と野獣」、そして、最近大きなヒットに繋がりにくくなったアカデミー賞(監督賞)受賞作ながら40億円を超えるヒットとなった「ラ・ラ・ランド」。(※1)

(※1)映画興行収入の数字はすべて興行通信社のデータを引用(以下 同様)

まず、昨年の夏に公開され社会現象となった「君の名は。」は、70代以上の層を除き、すべての性年代で30%を超える高い鑑賞率となった。なかでも鑑賞率が高かったのは男性20代で59.6%だった。ほか、男性10代、女性10代も5割を超える高い鑑賞率であった。「シン・ゴジラ」については女性層よりも男性層の鑑賞率が高く、特に男性20代・30代で高い。「美女と野獣」は女性層を中心に鑑賞率が高く、最も高いのは女性10代・20代であった。「ラ・ラ・ランド」については、鑑賞率が高かったのは男女ともに20代で約25%の鑑賞率だった。【図14】

【図14】(性年代別)映画タイトル別鑑賞率

【図14】(性年代別)映画タイトル別鑑賞率

「君の名は。」は約250億円の歴史的ヒットを記録したが、どのくらいの人がリピート鑑賞をしたのか。まず、観た人の全体では16.8%のリピート鑑賞率となった。【図15】

次に鑑賞率の高かった10代20代の若年層に絞って男女別にみてみると、女性層よりも男性層のリピート鑑賞率が高いことがわかった。男性10代で26.3%、男性20代で27.4%という結果となり、「君の名は。」を観た男性若年層の約4人に1人が、リピートしたことになる。その一方で、女性層は10代20代ともに20%弱で男性層よりも5ポイント以上低い。【図16】

【図15】「君の名は。」のリピート鑑賞率<単一回答>

【図15】「君の名は。」のリピート鑑賞率<単一回答>

【図16】10代20代における「君の名は。」のリピート鑑賞率<単一回答>

【図16】10代20代における「君の名は。」のリピート鑑賞率<単一回答>

(8) 「この世界の片隅に」、観た人の2割がオンラインで拡散

直近1年以内のアニメ映画の中で、「君の名は。」のほかに大きな話題となったのが「この世界の片隅に」である。昨年の11月より63館という小規模公開からスタートした本作は、以降、観客動員数を伸ばし、15週連続で週間興行ランキング10位以内に入るロングランヒットを記録した。キネマ旬報の日本映画部門1位に選出されるなど、多くの映画賞を獲得したことでも知られる。本作を映画館で観た人たちの高い評価が、興行的な成功にも繋がったといえるが、作品の評判は映画館での鑑賞動機にどのように影響するのか。

まず前提情報として、直近で観た映画タイトルについて口コミを含めた、映画に興味をもった接触媒体についてみてみる。全体で最も多いのは「テレビCM」で、次いで多いのは「劇場の予告編」である。口コミ情報に繋がる「知人から直接聞いた」は20.0%となった。過去調査からの推移でみてみると「Twitter」と「知人から直接聞いた」で増加傾向がみられ、映画を観る前に、映画の評判を見聞きする機会が増えている。(増加傾向は「劇場内の掲示物」でもみられる)【図17】

【図17】直近に観たタイトルに興味をもった情報源<複数回答>

【図17】直近に観たタイトルに興味をもった情報源<複数回答>

直近で観た映画を対象に「事前の評判・感想は鑑賞動機になったか」という聞き方で、鑑賞動機への影響を確認してみる。設問の選択肢として「知人からの情報」と「知人ではない人からの情報」に分け、どちらも選べる複数回答形式としている。

性年代別に結果をみると、「知人からの評判・感想が動機になった」は、男性では10代・20代で多く約30%、女性では10代と50代で多く約35%となった。女性20代も30%近い結果となっており、男女ともに若年層ほど、知人からの評判が映画館での鑑賞動機に繋がる傾向が強い。【図18】

【図18】「事前の評判・感想は鑑賞動機になったか」<複数回答>

【図18】「事前の評判・感想は鑑賞動機になったか」<複数回答>

次に評判を受信する側ではなく、発信する側に視点を変え、「この世界の片隅に」の口コミ状況をみてみる。「知人に観たことを伝えた」(=感想共有)、「知人に観ることをオススメした」(=レコメンド)、「不特定多数に向けてSNS、Webサイトに感想を載せた」(=拡散)の3つの項目で、前述で鑑賞率をみた4作品と結果を比較する。

「知人に観たことを伝えた」が最も多かったのは「ラ・ラ・ランド」で「この世界の片隅に」は5作品のなかで最も少ない。「知人に観ることをオススメした」が最も多かったのは「この世界の片隅に」で34.6%だったが、2番目に多い「ラ・ラ・ランド」と大きな差はない。「この世界の片隅に」と他4作品との間で差がみられたのは「不特定多数に向けてSNS、Webサイトに感想を載せた」であった。他作品が15%前後に対して22.6%という結果となり、「この世界の片隅に」を観た人の2割が拡散者になったことになる。観た人の「広めたい」という想いにより、映画の存在がオンラインを通じて広範囲に発信され、多くの人の関心を引いたものと考えられる。【図19】

【図19】映画タイトル別 口コミ発信状況<複数回答>

【図19】映画タイトル別 口コミ発信状況<複数回答>

(9) サマーシーズンに観たい映画、「パイレーツ・オブ・カリビアン」の新作が一番人気

今年の夏(2016年7月~9月初旬までに公開予定)に観たい映画は何か、全国で公開される映画を中心に聞いてみた。全体のトップ3は、1位「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」(24.2%)、2位「スパイダーマン:ホームカミング」(9.4%)、3位「トランスフォーマー/最後の騎士王」(9.1%)となった。次に、情報感度の高い「12本以上鑑賞」のヘビーユーザーに絞ってみると、9月公開の「ダンケルク」が20%を超える結果となった。聞き馴染みのないタイトルであり、まだメディア露出もほとんどない映画であるが、クリストファー・ノーラン監督の新作であり、同監督の人気の高さがうかがえた。【図20】

【図20】2017年夏に観たい映画<複数回答>

【図20】2017年夏に観たい映画<複数回答>

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