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第3回「映画館での映画鑑賞」に関する調査

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「アナ雪」は家族連れが3割超、全体として映画興行をけん引するのは”誰かと一緒に観に行く”女性層

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お知らせ 平成26年06月19日

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社

NTTコム リサーチ結果 (No.221)

第3回 「映画館での映画鑑賞」に関する調査

~「アナ雪」は家族連れが3割超、
全体として映画興行をけん引するのは"誰かと一緒に観に行く"女性層~

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:塚本良江)が運営するインターネットアンケートサービス「NTTコム リサーチ」(*)は、「映画館での映画鑑賞」について、全国の10代~70代の男女を対象にアンケートを実施しました。有効回答者数は3,103名でした。この調査は2012年から同時期に実施しているアンケート調査の3回目となります。

総括

日本映画製作者連盟によると、2013年の日本の映画興行収入は、対前年比でほぼ横ばいの99.5%となる1942億円でした。全体の興行収入は変わらないものの、興行収入上位の顔ぶれ(タイトル)を見ると、アニメタイトルが上位を占めるなど、例年にはない変化が見られました。

今回調査において、直近1年以内に映画館で映画鑑賞をした人(以下「映画館鑑賞者」)は全体の41.5%で、2012年調査から緩やかな減少傾向にあります。その中で、女性10代の鑑賞率は66.3%で最も高く、また、年間鑑賞本数でも2本以上の比率が高いことから、現在、劇場での映画鑑賞が最も身近な層であることが明らかになりました。

今回調査から、洋画×邦画に加え、実写×アニメという軸を加えたところ、直近1年以内で最も多く観られたのは「邦画実写」で65.6%の鑑賞率でした。性年代で、鑑賞率に傾向の違いが現れたものとしては、男性20代では「邦画アニメ」、女性20代では「邦画実写」の鑑賞率が高いこと等が挙げられます。

現在公開中で歴史的ヒットとなっている「アナと雪の女王」については、他タイトルと比べて、最もボリュームの多いライトユーザーや、ファミリー層を中心に複数名鑑賞者を多く取り込んでおり、ヒットの要因の1つとして考えられました。

女性層をターゲットにした映画がヒットすると言われている背景として、男性と比べて、女性では「誰かと一緒に観に行く」複数名鑑賞者が多いことや、観た後に、周りの知人に口コミで広める傾向が強いことがわかりました。女性層の映画鑑賞が、直接的、間接的に劇場への動員に寄与しているものと推察されます。

過去の調査結果

調査結果のポイント

(1)映画館鑑賞者はやや減少傾向。女性10代は鑑賞率高く、鑑賞本数も多い。

直近1年以内に映画館で映画鑑賞をした人(以下「映画館鑑賞者」)は全体の41.5%で、2012年調査から約2ポイントずつ低下している。しかし、女性10代の鑑賞率は、各年代層の中で最も高かった前回調査からさらにアップし、66.3%となった。女性10代は年間2本以上の複数回鑑賞者も8割を占めている。一方で、1本のみ鑑賞者が多いのは男性では10代、女性では30代、40代である。【図1】【図2】【図4】

(2)「邦画アニメ」が好きな男性20代。「邦画実写」が好きな女性20代。

直近1年以内に観た映画のジャンルは、前回調査と変わらず「邦高洋低」の傾向。今回調査から新たに、「実写」と「アニメ」という軸を加えた4ジャンルでみると、最も鑑賞率が高いのは「邦画実写」で65.6%。ほか、性年代でみると男性20代で「邦画アニメ」の鑑賞率が最も高く、女性20代で「邦画実写」が高い等の傾向がみられた。【図5】【図6】

(3)複数名鑑賞者が多く、話を広める女性層、映画興行に寄与か。

「女性にウケる映画はヒットする」と言われているが、男性よりも、女性は「誰かと一緒に観に行く」複数名鑑賞者が多く(74.6%)、また、鑑賞後、観た映画の話を周りの知人に広める人が多い。この傾向が、映画館への観客動員に寄与していることがうかがえる。【図8】【図9】

(4) 映画館で映画を観る理由「いち早く観られるから」が、若年層で半数弱。

映画を観る方法が複数ある中、映画館での映画鑑賞を選ぶ理由として最も多いのは「大きなスクリーンでの鑑賞」。2番目に多い「いち早く観られるから」では、年代で傾向が分かれる。男女ともに年代が下がるにつれて「いち早く観られるから」が増える傾向にあり、10代、20代では半数近くに及ぶ。【図12】

(5)「アナと雪の女王」、ライトユーザーや複数名鑑賞者を取り込むことに成功。

現在、歴史的大ヒット中の「アナと雪の女王」。他ヒット作と調査結果を比較したところ、ユーザー層の7割を占める年間1~4本鑑賞のライトユーザーの取り込みや、ファミリー層を中心に複数名鑑賞者の多いこと(8割弱)など、ヒットの要因に繋がる結果が得られた。【図14】【図15】

(6)劇場鑑賞における「洋画」の字幕ニーズ、男性10代で最も低い。

劇場での洋画鑑賞における字幕、吹き替えニーズを「実写」と「アニメ」に分けてみると、「実写」では「字幕」が5割強でわずかに「吹き替え」を上回ったが、年代でみると傾向差が著しく、年代が下がるほど、字幕ニーズが弱まった。「アニメ」では「吹き替え」(72.4%)が、「字幕」(27.6%)を大きく上回った。「実写」「アニメ」どちらも字幕ニーズが最も低いのは男性10代。【図17】【図18】

(7) サマーシーズン観たい映画、続編、リメイク作を中心に関心が高い。

今年の夏観たい映画の1位は『ノア 約束の舟』(10.9%)であった。「12本以上鑑賞」のヘビーユーザーでみると、全体同様『ノア 約束の舟』(46.6%)が一番人気である。その他「GODZILLA ゴジラ」「るろうに剣心」「トランスフォーマー」等、続編、リメイク作を中心にヘビーユーザーからの関心が高い。【図19】

調査概要

1. 調査対象 「NTTコム リサーチ」登録モニター
2. 調査方法 非公開型インターネットアンケート
3. 調査期間 2014年5月23日(金)~2014年5月30日(金)
4. 有効回答者数 3,103名
5. 回答者の属性 【性別・年代】
男女別、10代~70代の各世代を均等回収 (前回同様)

《 補足 》

(*)「NTTコム リサーチ(旧gooリサーチ)」 http://research.nttcoms.com/
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(http://www.nttcoms.com/)が提供する高品質で付加価値の高いインターネットリサーチ・サービスです。
自社保有パネルとしては国内最大級のモニター基盤(2014年3月現在 217万会員)を保有するとともに、「モニターの品質」「調査票の品質」「アンケートシステムの品質」「回答結果の品質」の4つを柱とした「クオリティポリシー」に基づく徹底した品質確保を行い、信頼性の高い調査結果を提供するインターネットリサーチとして、多くの企業・団体に利用されています。
なお、2013年12月9日に、モニター基盤の拡大を機にサービス名称を「gooリサーチ」から「NTTコム リサーチ」と名称を変更し、サービスを提供しています。

【 本件に関するお問い合わせ先 】

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社
ビジネスインテリジェンス本部
(Tel)03-4330-8402、(URL)http://www.nttcoms.com/
(E-mail)research-info@nttcoms.com

調査結果

(1)映画館鑑賞者はやや減少傾向。女性10代は鑑賞率高く、鑑賞本数も多い。

直近1年以内に映画館で映画鑑賞をした人(以下「映画館鑑賞者」)は全体で41.5%であった。一昨年(2012年調査)、昨年(2013年調査)の同時期に実施した調査結果から、45.3%→43.0%→41.5%と、約2ポイントずつ低下しており、緩やかな減少傾向が見える。【図1】

【図1】直近1年以内の映画館での映画鑑賞率(単一回答)

【図1】直近1年以内の映画館での映画鑑賞率(単一回答)

(今回調査における直近1年以内に映画館で映画を観た対象者の母数は1289サンプル)

性年代別に映画館鑑賞率をみると、昨年結果同様に、男女ともに10代の鑑賞率が最も高く、男性10代で45.8%、女性10代で66.3%であった。女性10代の鑑賞率は特に高く、昨年結果からさらに5ポイント以上アップした。一方で、女性40代、および男女70代の鑑賞率は昨年結果から、5ポイント以上低下している。【図2】

【図2】(性年代別)直近1年以内の映画館鑑賞率 経年比較(単一回答)

【図2】(性年代別)直近1年以内の映画館鑑賞率 経年比較(単一回答)

次に、直近1年以内に映画館で観た映画本数(以下「鑑賞本数」)をみると、「1本」が26.9%、「2~4本」が46.2%、「5~11本」が20.1%、「12本以上」のヘビーユーザーは6.8%であった。いずれの結果も2012年調査から大きな変化はなく、2~4本鑑賞者が最も多く半数弱を占める。以降、この鑑賞本数(以降「鑑賞ユーザー別」)を分析軸の1つとする。【図3】

【図3】直近1年以内に映画館で観た映画本数 経年比較(単一回答)

【図3】直近1年以内に映画館で観た映画本数 経年比較(単一回答)

性年代別に鑑賞本数をみると、「1本」のみ鑑賞者が多い(複数回鑑賞者が少ない)のは男性で10代(35.4%)、女性で30代(38.5%)、40代(36.8%)である。一方、複数回鑑賞率が最も高い(1本のみ鑑賞率が最も低い)のは男性60代で約85%である。その男性60代は、他年代と比べて5~11本の鑑賞率が3割で高い。10代女性は、女性の中で最も複数回鑑賞率が高く(約80%)、特に2~4本鑑賞者の割合が大きい(61.2%)。10代女性は映画鑑賞率が高く、複数回鑑賞率も高いことから、映画館での映画鑑賞が最も身近な層であることうかがえる。【図4】

【図4】(性年代別)直近1年以内の映画館で観た映画本数(単一回答)

【図4】(性年代別)直近1年以内の映画館で観た映画本数(単一回答)

(2)「邦画アニメ」が好きな男性20代。「邦画実写」が好きな女性20代。

直近1年以内に映画館鑑賞者が観た映画ジャンルについて邦画と洋画の区分で聞いてみると、「邦画のみ観た」が41.4%、「邦画と洋画どちらも観た」が40.8%、「洋画のみ観た」が17.8%となった。洋画の鑑賞率が低下した2013年調査から、この「邦高洋低」の傾向は変わらない。【図5】

【図5】直近1年以内の邦画と洋画の鑑賞比率 経年比較(単一回答)

【図5】直近1年以内の邦画と洋画の鑑賞比率 経年比較(単一回答)

2013年にヒットした映画を振り返ると、例年にはない傾向が挙げられる。興行収入ランキングのトップ10のタイトルのうち、半分をアニメタイトルが占めていることだ。上位3作品に至ってはすべてアニメタイトルだ。「邦画」と「洋画」というジャンルのほかに、「アニメ」と「実写」という軸を加えて分析する必要がありそうである。【表1】

【表1】2013年映画興行収入ランキングトップ10

【表1】2013年映画興行収入ランキングトップ10

「邦画」対「洋画」×「実写」対「アニメ」、それぞれ直近1年以内の鑑賞率をみると、全体結果としては「邦画実写」の鑑賞率が最も高く、65.6%。次いで、「洋画実写」(47.9%)、「邦画アニメ」(40.9%)、「洋画アニメ」(25.4%)の順の鑑賞率である。「洋画アニメ」の鑑賞率が低い理由としては、公開本数自体が少なく、観られているタイトルが限定されていることが考えられる。

性年代別でみると、特徴が出た傾向として、男性20代で、「邦画アニメ」の鑑賞率が最も高い点(69.0%)や、女性20代では「邦画実写」の鑑賞率が他3ジャンルと比べて高く、志向がやや偏っていることが挙げられる。性年代で傾向差の大きい「洋画実写」は、男女ともに若年層で鑑賞率が低く、逆に男性50代60代、女性の50代以上のシニア層で鑑賞率が高い。【図6】

【図6】(性年代別)直近1年以内の邦画と洋画の鑑賞率比較

【図6】(性年代別)直近1年以内の邦画と洋画の鑑賞率比較

(3)複数名鑑賞者が多く、話を広める女性層、映画興行に寄与か。

「女性にウケる映画はヒットする」といった話を聞いたことはないだろうか。昨年の興行収入トップ10のタイトルをみると、一部のアニメタイトルを除いて、「レ・ミゼラブル」「テッド」など、女性層をターゲットにした映画が上位を占めている。現在公開中の「アナと雪の女王」も女性層の共感を得たことがヒットの要因の1つと言われている。その一方で「大作」と呼ばれる、スケールやアクションを全面に出した映画が、昨年も例年通り公開されたものの、トップ10には入らなかった。

直近1年以内に映画館で鑑賞した映画ジャンル(※1)を男女別で聞いてみると違いが表れた。男女ともに、上位トップ3のジャンル(「SF・ファンタジー」「ヒューマンドラマ」「アクション」)は同じだが、「アクション」の鑑賞率においては、男性が41.7%に対して、女性が24.4%と、15ポイント以上離れおり、こうした男女間のギャップもタイトル興行に影響したものと考えられる。【図7】

【図7】(男女比較)直近1年以内に映画館で観た映画ジャンル(複数回答)

【図7】(男女比較)直近1年以内に映画館で観た映画ジャンル(複数回答)

(※1)映画の内容によるジャンル分けを目的としたため、「アニメ」はジャンルとして設けず、
アニメの場合でも、どのジャンルにあてはまるかで聞いた。

「女性にウケる映画がヒットする」と言われているが、なぜ男性ではなく女性なのだろうか。今回の調査結果の中で、男女間の傾向差から、その理由の一端が見られたものが2つある。

1つは、誰と観に行くかという鑑賞形態の違いだ。誰かと一緒に観に行くという複数名鑑賞の割合が、男性の64.5%に対して、女性は74.6%で、10ポイント女性の方が高い。女性層を動員することで、複数名で鑑賞する割合が高くなることが考えられる。また、同伴者の内訳比率をみると、女性は「家族」「パートナー」「友人」「1人」と均等に近いバランスであることも男性と異なる点だ。【図8】

【図8】(男女比較)直近1年以内で誰と観に行くことが多かったか。(単一回答)

【図8】(男女比較)直近1年以内で誰と観に行くことが多かったか。(単一回答)

2つ目は鑑賞後の口コミ発信である。不特定多数を対象としたネット書き込み等の情報発信では男女間で大きな違いはなかったが、見知った相手へのリアルな口コミ発信で、違いが見られた。直近で観た映画について、「鑑賞後、周りの知り合いに話したか」と聞くと、「直接口頭で話した」が男性41.1%に対して、女性63.9%で、20ポイント以上も女性が高い。顔見知りからの口コミ情報は信頼性が高いことが想定され、「話好き」な女性は映画口コミを広めるインフルエンサーとしての役割を果たしており、動員に寄与していることがうかがえる。【図9】

【図9】(男女比較)直近で観た映画、鑑賞後に誰かに話したか。(複数回答)

【図9】(男女比較)直近で観た映画、鑑賞後に誰かに話したか。(複数回答)

(4)映画館で映画を観る理由「いち早く観られるから」が、若年層で半数弱。

今年の4月に内閣府より発表された消費動向調査より、スマートフォンの世帯普及率が5割を超えた。モバイル利用端末の広がりに合わせ、映画の視聴形態も今後ますます多様化することが想定されるが、映画館で映画を観ることのユーザーメリットは何だろうか。

まず、基本情報として映画館以外での映画の視聴方法を2012年調査からの経年比較を交えてみてみる。対象は、直近1年以内で視聴方法を問わず「映画」を観た人。最も多いのは「テレビでの無料視聴」(74.2%)、次いで多いのは「レンタルDVD」(38.5%)である。「レンタルDVD」は2012年調査から追っていくと、緩やかな減少傾向にある。モバイル端末での視聴が含まれるインターネット配信サービスでの視聴実態は1割前後で、まだ限定的である。【図10】

【図10】映画館以外で映画を観た視聴方法(複数回答) 経年比較

【図10】映画館以外で映画を観た視聴方法(複数回答) 経年比較

こうした映画を観るための選択肢が複数ある中で、劇場までわざわざ足を運んで映画を観る理由は何か。対象を映画館での映画鑑賞者に戻し、その結果をみてみる。理由として最も多いのは「大きなスクリーンで観たいため」(68.3%)、2番目に多いのは「いち早く観たいため」(33.6%)であった。【図11】

【図11】映画館で映画を観る理由(複数回答)

【図11】映画館で映画を観る理由(複数回答)

性年代別でみると、どの年代層も「大きなスクリーンで観たいため」が最も多いが、「いち早く観たいため」のみ年代層で傾向が著しく変わった。男女ともに年代が下がるにつれて「いち早く観たいため」が増える傾向にあり、10代、20代では半数近くに及ぶ。【図12】

昨年11月より一部の邦画を対象に、劇場公開と同時にネット配信を行うサービス(「1000taku」)が始まったが、こうした同時期に映画を鑑賞できるサービスの拡大や、家庭用DVDのリリース時期が早まることで、映画館以外での鑑賞形態にも、若年層は反応しやすい可能性がうかがえる。

【図12】「いち早く観たいため」の性年代別回答率

【図12】「いち早く観たいため」の性年代別回答率

(5)「アナと雪の女王」、ライトユーザーやファミリー層を取り込むことに成功。

今年の映画界、最大のトピックスは「アナと雪の女王」(以下「アナ雪」)の歴史的ヒットになるだろう。公開13週目となる2014年6月8日までに累計興行収入(以下「興収」)が223億円を突破した(※2)。これは昨年最大のヒットとなった「風立ちぬ」の2倍近い興収であり、歴代でも、2008年「千と千尋の神隠し」(304億円)、1998年「タイタニック」(262億円)に次ぐ興収だ。現在(6月初旬)もなお、興収ランキングの1位を守り続けており、観客動員が止まらない。

「アナ雪」の興収を振り返ると、これまでのヒット作とは異なる推移で変動していることがわかる。8週目までの週末興収の推移を、2008年以降の公開作で100億円を超えたタイトルと比較してみる(8週目までの「アナ雪」の興収は159億円越え)。公開1週目以降、その角度は様々だが、どのタイトルも右肩下がりに下降線をたどるのが常であるが、「アナ雪」の場合、2週目からわずかに上昇し、以降、同水準をキープ、GWに入った8週目で大きく跳ね上がった。【図13】

(※2)興行通信社調べ

【図13】アナ雪の8週目までの興収推移 他タイトル比較

【図13】アナ雪の8週目までの興収推移 他タイトル比較

「アナ雪」のヒットの背景を探るため、「邦画実写」「邦画アニメ」「洋画実写」の他ジャンルで、それぞれ直近1年以内で最もヒットしたタイトルと鑑賞状況を比較してみる。

まず、鑑賞ユーザー別に鑑賞率をみると、「アナ雪」は「1本のみ鑑賞者」「2~4本鑑賞者」で最も鑑賞率が高い。これらのライトユーザーは全体の7割以上を占めており、最も規模が大きい客層を取り込んだことがヒット要因の1つとして考えられる。(※3)【図14】

【図14】(鑑賞ユーザー別)アナ雪と他ヒット作との鑑賞率比較

【図14】(鑑賞ユーザー別)アナ雪と他ヒット作との鑑賞率比較

(※3)前問で「洋画」「邦画」とそれぞれ選んだ者に対してのみ、各タイトルの鑑賞率を聞いた。
ライトユーザーを中心に「アナ雪」を「洋画」と認識していない回答者が
「アナ雪」の鑑賞率に含まれていない可能性あり。

次に、劇場への動員数に影響する複数名鑑賞率をみると、「アナ雪」鑑賞者数の8割(78.5%)が誰かと鑑賞しており、複数名鑑賞が多いことも動員数に影響したものと考えられる。また、「家族連れ」(ファミリー層)の鑑賞率が3割を越えており、その割合の高さも目立つ。【図15】

【図15】アナ雪と他ヒット作との複数名鑑賞率比較(単一回答)

【図15】アナ雪と他ヒット作との複数名鑑賞率比較(単一回答)

なお、今回調査における「アナ雪」鑑賞者のリピート鑑賞率をみると10%であり、10人中1人はリピート鑑賞をしていることになる。【図16】

【図16】「アナ雪」をリピート鑑賞したか。(単一回答)

【図16】「アナ雪」をリピート鑑賞したか。(単一回答)

(6) 劇場鑑賞における「洋画」の字幕ニーズ、10代男性で最も低い。

「アナ雪」がファミリー層に支持された前提として、小さい子どもまで観ることができる吹替版での鑑賞が挙げられるが、劇場で洋画を観る場合、字幕と吹き替えのニーズはどの程度あるのだろうか。「実写」と「アニメ」に分けてみてみる。なお、吹き替えについてはタレント声優の起用により賛否が分かれる場合もあるため、「声優・評判によっては(吹き替え)」という選択肢を加えた。対象は、直近1年以内で視聴方法を問わず「映画」を観た人。

まず、洋画「実写」においては、全体で「字幕で観たい」が「吹き替えで観たい」(「声優・評判によっては~」含む)をわずかに上回り、52.6%となった。性年代でみると、男女ともに10代~40代までの間で、年代が下がるほど、吹き替えニーズが高まる傾向がある。最も字幕ニーズが高い(吹き替えニーズが低い)のは60代女性で71.1%、逆に最も字幕ニーズが低い(吹き替えニーズが高い)のは10代男性で30.9%だった。【図17】

【図17】洋画「実写」の劇場鑑賞における字幕と吹替ニーズ(単一回答)

【図17】洋画「実写」の劇場鑑賞における字幕と吹替ニーズ(単一回答)

続いて、洋画「アニメ」でみると、全体で「吹き替えで観たい」(「声優・評判によっては~」含む)が「字幕で観たい」を大きく上回り、72.4%となった。性年代でみると、男女ともに年代が下がるほど、吹き替えニーズが高まる傾向であるが、「実写」と比べると年代による傾向差は少ない。最も字幕ニーズが低い(吹き替えニーズが高い)のは、実写同様、10代男性で16.4%だった。【図18】

【図18】洋画「アニメ」の劇場鑑賞における字幕と吹替ニーズ(単一回答)

【図18】洋画「アニメ」の劇場鑑賞における字幕と吹替ニーズ(単一回答)

(7)サマーシーズン観たい映画、続編、リメイク作を中心に関心が高い。

今年のサマーシーズンに公開される映画は大作を中心に続編、リメイクものが揃っている。今年の夏(2014年6月~9月中旬までに公開予定)に観たい映画は何か、全国公開される映画を中心に聞いてみた。全体の1位は「ノア 約束の舟」(10.9%)であった。前回同様、各映画ともに十分なプロモーションを行っていない5月下旬時点の結果であるため、いずれも鑑賞意欲が10%以下と低い。「12本以上鑑賞」のヘビーユーザーに限ってみると、1位は、全体結果同様「ノア 約束の舟」(46.6%)である。2位は、2度目のハリウッド版としてリメイクとなる「GODZILLA ゴジラ」(43.2%)であった。ほか「るろうに剣心」の続編、「トランスフォーマー」の続編などが、30%を超え、期待の高さが伺える。【図19】

【図19】2014年夏、観たい映画(複数回答)

【【図19】2014年夏、観たい映画(複数回答)

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