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第9回 環境・社会報告書に関する読者の意識調査結果

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2010年開催の「COP10」へ向けた生物多様性に関する取り組みはこれから

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報道発表資料 平成21年2月3日

NTTレゾナント株式会社
株式会社 三菱総合研究所

gooリサーチ結果 (No.176 )

第9回 環境・社会報告書に関する読者の意識調査結果

~2010年開催の「COP10」へ向けた生物多様性に関する取り組みはこれから~

国内最大級のインターネットアンケート・サービス「gooリサーチ」(*1)を共同提供するNTTレゾナント株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:中嶋 孝夫)と 株式会社三菱総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:田中 將介)は、一般消費者に対する「環境・社会報告書に関する意識調査」を実施しました。有効回答者数は46,227名でした。

本調査は今回で9回目を数え、「gooリサーチ」に加え、環境情報ポータルサイト「環境goo」(http://eco.goo.ne.jp)(*2)も連動したアンケートを実施しました。また、「環境goo」に、本日より調査結果詳細の掲載も開始します。

なお、本調査結果をもとに、日本電信電話株式会社主催で「環境・社会報告書シンポジウム2008」を平成20年12月12日(金)に開催しました。シンポジウムでの討議内容については、本日2月3日(火)に「環境goo」上で公開します。

調査結果のポイント

現在の報告書の問題点としては、「各社の内容や書式が異なり企業間比較ができない」が43.8%、次いで「良いことばかりが書かれていて客観的でない」41.9%、「専門用語が多すぎて分かりにくい」41.4%、「数値データを示されても評価ができない」41.0%などとなっており、専門的、詳細な情報よりも"わかりやすさ"を重視する読者が増加していることを示すものと考えられる。

企業の環境・CSR活動を知るための効果的な方法として、「自社ホームページでの情報発信」が45.6%。続いて、「マスメディアによる商品広告」が43.9%、などとなっており、一昨年からの傾向としては、「商品のパッケージやラベルへの情報記載」など商品情報とリンクした情報提供や、「地域での社会貢献」など地域密着イベント型の活動による情報伝達の有効性を指摘する傾向が強まっている。「商品のパッケージやラベルへの情報記載」と「地域での社会貢献」に関しては、特に女性層において、それぞれ33.3%から37.6%、41.0%から43.6%と増加しており、環境・CSR情報に対する女性の関心度の上昇を反映している。

一般消費者にとって関心の高い環境問題として、「地球温暖化」は75.1%と最も高く、大多数の関心事となっている。また、調査実施時期がガソリン価格急騰の直後であったこともあり、「クリーンエネルギーの開発・実用化」が昨年の16.5%から19.6%とやや増加した。なお、昨年と比較すると「3R(リデュース:減らす、リユース:再び使う、リサイクル:再資源化)」「エコライフ」などへの関心が高まっている。

サステナビリティ・レポートで公開すべき情報公開については、「雇用・正当な労働に関する情報」が最も高く、複数回答では全体の82.1%、5つまでの制限回答では52.5%に達しており、雇用や労働環境に関する関心を強めていたことがうかがえる。一方、企業が重視する項目と比較すると「雇用・正当な労働に関する情報」は10番目であり、読者と企業間での意識のギャップが見られる。

「生物多様性」について「内容まで知っている」という割合は17.9%にとどまり、具体的な内容認知は進んでいない。ただし「言葉だけは知っている」という人の割合は52.4%にのぼり、2010年の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)を背景に徐々に認知されていることがうかがえる。

《 補足 》

(*1)【 gooリサーチ 】 http://research.goo.ne.jp/
ポータルサイト「goo」を運営するNTTレゾナントと、日本のリーディングシンクタンクである三菱総研の調査企画力、コンサルティング力が融合した、高品質で付加価値の高いインターネットリサーチ・サービスです。携帯電話でアンケートに答える 「gooリサーチ・モバイル」モニター(10.7万人)、キーパーソンのビジネスマンを中心とする「gooリサーチ・ビジネス」モニター(7.0万人)、団塊世代・シニア層、ならびに若年層を中心とした郵送調査手法で回答する「郵送調査専属モニター」(3.5万人)を含め、305万人の登録モニターを擁し、消費者向け調査から、法人向け調査、グループインタビューまで、様々な市場調査ニーズに対応しています。 (モニターの人数はいずれも2009年1月現在)

(*2)【 環境goo 】http://eco.goo.ne.jp/
NTTレゾナントが運営する日本国内最大の"環境情報ポータルサイト"。企業からコンシューマまであらゆるユーザの環境情報ニーズに対応しています。

<本調査およびgooリサーチに関するお問合せ先>

NTTレゾナント メディア事業部 環境goo
(Tel) 03-6703-6180
NTTレゾナント株式会社 リサーチ部門
(Tel) 03-6703-6660、(FAX) 03-5476-2582、(E-mail)research@goo.ne.jp
NTTレゾナント株式会社 メディア事業部 広報担当
(Tel) 03-6703-6250、(E-mail) pr@nttr.co.jp

<gooリサーチに関するお問合せ先>

株式会社三菱総合研究所 経営企画部広報グループ
(Tel) 03-3277-0003、(Fax) 03-3277-3490、(E-mail) ccd-mg@mri.co.jp

調査結果について

調査企画・協力 後藤敏彦氏 (環境監査研究会代表幹事/NSC代表幹事)
川北秀人氏 (IIHOE:人と組織と地球のための国際研究所代表)
環境情報ポータルサイト「環境goo」
1. 調査対象 1)「環境goo」にアクセスする一般ユーザ
2)「環境goo」個人会員
3)「gooリサーチ」モニター

※2)3)はメールでアンケート協力を依頼し、「gooリサーチ」上のインターネット・アンケート画面で回答。
2. 調査方法 「gooリサーチ」上のインターネット・アンケート画面での回答
3. 調査期間 平成20年10月20日(月)~11月3日(月)
4. 総回答者数 46,227名
5. 回答者の属性 【男性23,740名、女性22,487名】

【図1-1】回答者の属性
【図1-1】回答者の属性

【図1-2】回答者の会社員、自治体職員における環境関連従事者の割合
【図1-2】回答者の会社員、自治体職員における環境関連従事者の割合

調査結果データ

(1) 報告書の存在を約半数が知らない

「環境・社会報告書というものがあることを知らない」という回答が約48.3%を占め、昨年に引き続き対象者の半数近くが報告書の存在を知らないという結果となった。【図2-1】

【図2-1】環境・社会報告書閲読経験

【図2-1】環境・社会報告書閲読経験

また、「会社員または自治体職員」であって「環境関連業務に従事している」という回答者では、一般に比べれば閲読経験者の比率が高いが、それでも報告書作成担当者で47.6%、環境マネジメントの担当者で50.9%と半数前後となっており、その他の職種では2~3割の閲読率にとどまっている。【図2-2】

【図2-2】回答者属性職種別の報告書閲読経験と読んだことがある割合

【図2-2】回答者属性職種別の報告書閲読経験と読んだことがある割合

(2) 報告書接触経路はインターネットが主流

既読者のうち60.2%が、「紙で印刷されたもの」で報告書を読んだことがあるとしているが、一昨年と比較すると割合は減少している。【図3-1】

【図3-1】読んだことのある報告書の媒体

【図3-1】読んだことのある報告書の媒体

また、「紙(冊子)」と「ホームページ(PDFまたはHTML)」の組み合わせで見ると、閲読経験者のうち39.3%は、「HPだけで読んだ」としており、残り6割は「HPと紙(冊子)のどちらも読んだことがある」と回答している。一方「紙(冊子)だけ」という読者は皆無であった。
このことは、報告書の接触媒体として、ホームページは欠かすことのできないものであると考えられる。【図3-2】

【図3-2】読んだ報告書の形態パターン

【図3-2】読んだ報告書の形態パターン

(3) 「わかりやすさ」を求める傾向が強まっている

現在の報告書の問題点としては、「各社の内容や書式が異なり企業間比較ができない」が最も多く43.8%、次いで「良いことばかりが書かれていて客観的でない」41.9%、「専門用語が多すぎて分かりにくい」41.4%、「数値データを示されても評価ができない」41.0%などとなっている。

一昨年と比較した場合の傾向としては、「内容や書式が異なり企業間比較ができない」が減少し、「専門用語が多すぎて分かりにくい」、「分かりやすさや面白く読ませる工夫が不足している」などが増加の傾向にある。専門的、詳細な情報よりも、"わかりやすさ"を重視する読者が増加していることを示すものと考えられる。【図4-1】

【図4-1】現在の報告書の問題点(複数回答)

【図4-1】現在の報告書の問題点(複数回答)

信頼性のある報告書の条件としては、全体の65.0%が「良い面ばかりでなくネガティブ情報も記載しているもの」をあげている。次いで「客観的なデータで示しているもの」が59.4%となっており、"客観性"や"実証的であること"が重視される結果となっている。【図4-2】

【図4-2】報告書の問題点の認識変化

【図4-2】報告書の問題点の認識変化

(4) HPによる情報発信の効果が高い

企業の環境や社会的責任に関する活動について知るために効果的な方法として、全体で最も高く支持されているのは、「企業の自社ホームページでの情報発信」で、全体の45.6%があげている。続いて、「マスメディアによる商品広告」が43.9%、「地域での社会貢献活動」が41.7%、「マスメディアによる企業PR」が40.0%などとなっている。他方、「環境報告書、サステナビリティ・レポートなど冊子の発行」及び「環境専門ホームページへの情報提供・掲載」はともに21.3%にとどまっている。【図5-1】

【図5-1】企業の環境・CSR活動を知るための効果的な方法(複数回答)

【図5-1】企業の環境・CSR活動を知るための効果的な方法(複数回答)

また、一昨年からの傾向としては、「マスメディアによる商品広告」や「商品のパッケージやラベルへの情報記載」など商品情報とリンクした情報提供や、「地域での社会貢献」「自然保護活動」「工場見学会」など地域密着イベント型の活動による情報伝達の有効性を指摘する項目が増加傾向にある。

こうした商品情報とのリンクや、地域密着イベント型の情報提供は、特に女性において支持されており、環境・CSR情報に対する女性の関心度の上昇を反映しているものと推察される。【図5-2】

【図5-2】性別における企業の環境・CSR活動を知るための効果的な方法(項目抜粋)

【図5-2】性別における企業の環境・CSR活動を知るための効果的な方法(項目抜粋)

(5) 引き続き高い「地球温暖化」への関心

「関心の高い環境問題(3つまで選択)」としては、「地球温暖化」が75.1%で最も高く、変わらぬ関心の高さを示している。
また今回、「クリーンエネルギーの開発・実用化」が昨年の16.5%から19.6%とやや増加したが、これは調査の実施時期がガソリン価格急騰の直後であったことも影響していると思われる。

一昨年と比較した傾向としては、「産業廃棄物処理」や「有害化学物質による汚染」が低下し、「砂漠化」「3R」「エコライフ等の環境に配慮した生活」「外来種の流入」などへの関心が高まっている。【図6】

【図6】関心の高い環境問題(3つまで)

【図6】関心の高い環境問題(3つまで)

(6) 雇用・正当な労働に関する情報への要求が強い

サステナビリティ・レポート(持続可能性報告書)による公開が必要だと思う情報項目として、「雇用・正当な労働に関する情報」が最も高く、複数回答では全体の82.1%、5つまでの制限回答では52.5%に達している。続いて「従業員の健康・安全に関する情報」(5つまでで33.2%)、「顧客の健康・安全の保護に関する情報」(同じく26.0%)、「仕事と家庭の両立に関する情報」(同じく25.2%)などとなっている。【図7-1】

【図7-1】サステナビリティ・レポートで公開すべき情報項目

【図7-1】サステナビリティ・レポートで公開すべき情報項目

また、読者が「公開すべき(複数回答)」としてあげた順位と、NSC(サステナビリティ・コミュニケーション・ネットワーク)が2008年11月に実施した調査で、報告書発行企業の担当者が「記載すべきまたは記載が望ましい」と答えた順位を比較したものによると、一般消費者では「雇用・正当な労働」「プライバシーの尊重」「労使関係」「製品・サービスのラベリング」「強制労働の禁止」「セキュリティ慣行」「政治献金」などに関する情報開示を重視する傾向が高く、企業担当者では、「企業倫理」「従業員の教育・研修」「企業市民活動」「地域社会とのつながり」「生物多様性」「取引先評価」などの順位が著しく高い。

このことは、「どちらが正しいか」ではなく、どのような相手を想定して情報発信するかの問題だろうと考えられる。報告書発行者としては、読者一般で見た場合にはこれほどの意識ギャップがあることを認識し、コミュニケーション対象を明確にした情報発信が求められる。【図7-2】

【図7-2】読者が重視する項目と企業が必要と考える項目の対比

【図7-2】読者が重視する項目と企業が必要と考える項目の対比

※本分析にはNSC(サステナビリティ・コミュニケーション・ネットワーク)の協力をいただきました。企業調査の詳細についてはNSCにお問い合わせください。(http://www.gef.or.jp/nsc/index.htm

(7) 生物多様性の認知はまだ低い

「生物多様性」について「内容まで知っている」という割合は17.9%にとどまり、具体的な内容認知は進んでいないと思われる。ただし「言葉だけは知っている」という人の割合は52.4%にのぼり、言葉としてはやや認知され始めた段階であることがうかがわれる。

ただ、これに関連する「生態系サービス」や「生物多様性条約」といった用語については現時点では言葉自体の浸透も低いレベルにとどまっている。【図8-1】

【図8-1】言葉の認知度

【図8-1】言葉の認知度

「生物多様性」に関するいくつかの事柄については、いずれも「知らない」が大半を占め、現時点でこれらの事柄はほとんど認知されていない。

これらの事項は、「NPO活動に参加している」という人たちでさえ「よく知っている」という割合は18%程度にとどまっており、専門家の世界でもまだまだ情報量が少ないことを物語っている。【図8-2】

【図8-2】生物多様性に関する事柄の認知度

【図8-2】生物多様性に関する事柄の認知度

NTTコム リサーチは、平成24年10月1日にエヌ・ティ・ティ レゾナント株式会社からNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社へ事業譲渡され、平成25年12月9日にgooリサーチより名称変更いたしました。gooリサーチの調査結果(共同調査含む)等についてはこちらまでお問合せください。

この調査結果の単純集計を無料にて提供しています。

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