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「メタボ」浸透で高まるダイエット熱

日本で「ダイエット」という言葉が使われるようになったのは、1980年代以降と言われている。以来、メディアでは頻繁にダイエット特集が組まれ、社会現象に発展することも珍しくない。最近でも「朝バナナダイエット」の人気でバナナが品切れになるなど、依然多くの人がダイエット情報に強い興味を持っているようだ。

キリンビールの「健康」に関する意識調査によると、約7割の人が「ダイエット経験あり」と答え、日本人の大半が積極的にダイエットを行っている。特に注目したいのが男性経験者の急増だ。2年前の調査の結果と比較すると、20~50代全ての年代で経験者が増加している。この結果から、女性は以前からダイエットに対する意識が高かったのに対して、男性はこの2年間で急速にダイエット意識に目覚める人が増えたことがわかる。

また、ダイエットを始めたきっかけは「自分で体重が増えた、重いと感じた」が67.1%、「ぜい肉が気になる」が56.9%など、体型や体重を気にして自発的に始める人が多い。しかし性別で見てみると、女性は「洋服がきつくなった」「オシャレがしたい」など、ファッションを楽しむために始める人が多い一方、男性は「体調や健康診断の結果が悪くなった」など、健康管理のために始めるケースが目立つ。

図1 ダイエット経験者の推移のグラフ

こうした男性ダイエット経験者の急増は、2008年4月にスタートした特定健診制度(メタボ健診)の影響が大きいと思われる。内臓脂肪の蓄積などによって脳卒中や心臓病などの病気を招きやすくなる状態、メタボリック症候群を減らすため、国内でさまざまな啓蒙活動や対策が広がっており、これまでダイエットに積極的でなかった男性の間にも危機感が広まった結果といえる。

運動しない、食べたい、でも健康でいたい

厚生労働省が発表した「平成18年度国民健康・栄養調査」によると、40代以上の男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボリック症候群の可能性があるという。そうした現実を考えれば、体の中から健康になるダイエット法を求めるのは当然のこと。しかし、最もメタボ対策が必要とされる働きざかりの年齢層は、同時にダイエットに最も時間をさけない年代でもある。

gooリサーチの「メタボに関する意識調査」によると、9割以上の人がメタボの意味について理解していると答えており、メタボ認知度は高い。しかし63%の人が「食事のカロリーを気にしない」、52.9%が「食事を夜摂ることが多い」と答えるなど、メタボ対策の要となる食生活が改善できていない。業種別ではデスクワークが多く、外部との接触も少ない「金融・保険」「通信・IT関連」に、特に不規則な食生活が目立っている。

図2 業種別の食生活比較のグラフ

メタボ対策のもうひとつの要、運動はどうだろうか。厚生労働省の前出の調査によると、20~50代の男性、20~40代の女性の実に4割以上が「日常生活で体を動かしていない」と答え、日常から運動習慣のない人が多い。

図3 日常生活で体を動かすことに関する意識のグラフ

そうした世代に向けて、さまざまな商品も出てきた。マーケティング会社の富士経済が行ったダイエット・メタボ対策商品調査によると、2008年のメタボ対策食品市場は1兆6,613億円。前年比18.7%増、特に茶系飲料は中性脂肪値やコレステロール値改善をうたった特定保健用食品(トクホ)が好調で、2008年の売上は2,342億円に達する見込みだ。またアルコール飲料系ではビール各社が「糖質ゼロ」、「カロリーオフ」を全面に打ち出し、前年比2.6倍の947億円に達すると予想されている。

「自力で安く、早く」でも成功率は...

判断基準がなく個人差も大きいダイエット法は、メディアや口コミの情報に惑わされやすい。gooリサーチの「ダイエットに関するアンケート」を見ると、情報収集方法は「インターネット、健康情報番組、口コミ」が三大情報源となっている。さまざまな情報を集めた結果、どんなダイエット法が行われているのだろうか。

前出のアンケートによると、最も効果が上がったダイエット法は「食事制限(カロリー制限)」が78.42%。次いで「ウォーキング・ジョギング」が53.74%、「ダイエット用サプリメントや健康食品」が51.06%と続く。話題のエクササイズやダイエット器具が連日メディアをにぎわせているが、実際にはそうした器具を購入したり、ハードなエクササイズに取り組む人はほんの一部で、現実はお金をかけない「自己努力型ダイエット」が主流のようだ。

図4 最も効果があったダイエット方法のグラフ

また「ダイエットの効果が実感された時期」については約6割の人が「1カ月以内に効果を実感した」と回答。裏を返せば、1カ月以内に効果を実感できないダイエット法は信用できない、と考える人が多いということだろう。

気になるのは、ダイエットの成功率。キリンビールの「ダイエット」に関する意識調査では、「成功した」と答えた女性はわずか27.9%。男性は38%と女性よりは高いが、「成功したがリバウンドした」と答えた人が43.6%と半数近くを占めている。男女ともにダイエットには意欲的だが、イメージ通りの結果が出ていないと感じている人が多いのが特徴と言える。

経済協力開発機構(OECD)が行った医療調査によると、日本は肥満の度合いを示すBMI値30以上の肥満人口が加盟国中最低という、世界屈指の「肥満体の少ない国」。それでもストイックにダイエットに取り組み、しかも「成功していない」と感じる日本人の気質はどこから来るのだろうか。いずれにしてもダイエットに貪欲な国民であることは間違いない。

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