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子どもを生みにくい、育てにくい世の中なのか

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テーマ「生きる」

理想より少ない数の子どもしか持てない?

少子化問題が大きく取り上げられるようになって久しい。1人の女性が一生に産む子どもの数を表す合計特殊出生率を見ると、直近2年は上昇して2007年は1.34となったが、人口維持に必要とされる合計特殊出生率2.07とは大きな開きがある。

こうした状況下、根本的なこととして、未婚者・既婚者は将来子どもを何人欲しいと考えているのか。こども未来財団の調査によると、理想的に持ちたい子どもの数は、子どものいない未婚層(以下、未婚層)、子どものいない既婚層(以下、既婚層)ともに最も多かったのが「2人」で、「3人」がこれに続き、未婚層・既婚層ともに約8割が2人以上の子どもを持ちたいと考えている〔図1〕。だが、現実的に持つつもりの人数となるとグラフが左側にシフトし、「0人」も未婚層・既婚層ともに3割近くに上る。つまり、「子どもを持つ」ことの理想と現実の間には大きなギャップがあるということだ。

図1 持ちたい子どもの人数のグラフ

では、子どもを持つことにブレーキをかけている要因は何か。図2は、同調査で未婚層・既婚層および中高生に将来の子育てにおける不安・悩みを聞いたものだ。いずれのグループでも経済的な負担が最多だが、2位以下の項目を見ると、子育て支援に関する項目より、子育て自体に関する項目の比率が高くなっている。子育てにかかる費用の重さに加え、子育てそのものに不安を感じ、子どもを生むことをためらっている姿が浮かび上がる。

図2 現在や将来の子育てにおける不安・悩みの内容のグラフ

現行の少子化対策は効果が小さい?

国では1995年度からの「エンゼルプラン」に始まる一連の少子化対策により、仕事と子育ての両立に向けて保育所の量的拡大や保育サービスの拡充を中心に施策を進めてきた。そのため、保育施設およびサービス利用者は近年増加している。厚生労働省「保育所の状況(2008年4月1日)等について」によると、2008年4月現在の保育所2万2909カ所、利用児童数は202万2173人にのぼり、就学前児童の3人に1人が保育所を利用していることになる。

しかし、大都市部を中心に依然として保育所に入所できない「待機児童」の問題は解決していない。2008年4月現在の待機児童数は1万9550人に上り〔図3〕、特に0〜2歳の低年齢児は1万4864人と待機児童の4分の3を占める。52自治体では待機児童が100人以上を数え、仙台、横浜、大阪、川崎の4市は500人以上の待機児童を抱えている。つまり、大都市を中心に、保育所の整備はまだ不十分な状況にあるのだ。

図3 保育所待機児童数および保育所利用率の推移のグラフ

なかなか決定打が出ない少子化対策だが、国は2005年度開始の「子ども・子育て応援プラン」では、保育サービス重視の方針を転換して、若者の自立や働き方の見直しまでを含めた総合的な対策を打っていく考えだ。具体的には、児童手当や育児休業給付など各種インセンティブの引き上げや、生後4カ月までの子どもがいる全戸を訪問する「こんにちは赤ちゃん事業」、原則すべての小学校区に放課後の子どもの活動場所を確保する「放課後子どもプラン」などの施策を行っている。

こうしたなか、大和総研は2007年12月に「どうしたら子どもを増やすことができるのか 市区町村データによる分析」と題したレポートで、少子化対策の数量的効果を推計している。同レポートによると、児童手当は巨額の財政支出が必要であるのに効果が小さく、適切な制度設計を行わないとかえって出生率に負の影響を及ぼす。また、保育所の整備は児童手当の4分の1程度のコストで出生率を回復させうるが、それも0.1程度にすぎず、子ども1人を増加させるのに年間2780万円ものコストがかかる、としている。費用対効果を考えても、一連の少子化対策では出生率の大幅な回復は見込めない、ということになろう。

男性の家事・育児参加は他国の3分の1

いまやワーキングマザーは当たり前の時代。ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)は女性のみならず、男性にとっても重要な問題である。だが、6歳未満児のいる家庭での夫の家事・育児時間を見ると、日本は週全体でわずか1時間と、他の先進国が2~3時間であるのに比べて非常に短い〔図4〕。男性の育児休暇取得率も0.57%にすぎず(厚生労働省「2006年度女性雇用管理基本調査」)、依然として育児や家事の負担が極端に女性に偏っており、これが子どもを生むことをためらわせている一因ともいえる。その一方で、大都市への人口集中の高まりや核家族化の進展により、伝統的な家族のかたちが崩れている現代では、育児に協力してくれる人が身近にいない、いうケースも少なくない。

図4 6歳未満児のいる夫の家事、育児時間(週全体)のグラフ

これと平行して考えるべきは、地域コミュニティの問題だ。近年増加している身体的虐待やネグレクト(育児放棄)といった児童虐待は、子育て中の親の孤独感や社会的・経済的な閉塞感が子どもに向けられることが一因とされる。コミュニティの再生や地域の子育て支援体制が確立されれば、「地域で子どもを育てる」という意識を醸成することも、親の子育て不安解消の一助となる。

このほかにも、産科医や小児科医の不足など、少子化の問題はさまざまな事象が複雑に絡み合っていて、一朝一夕に解決できるものではない。まずは子どもを持つことの社会的・経済的な不安を取り除き、子どもを持つことのメリットを積極的にアピールすることが肝要だ。

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