gooリサーチ と 早稲田大学 による共同企画調査
報道発表資料 平成20年10月14日
早稲田大学マーケティング・コミュニケーション研究所
NTTレゾナント株式会社
【早稲田大学・gooリサーチ共同調査】
缶ビールと日本酒のパッケージ・デザインに関する調査結果
~世代によってデザインに対する評価は異なり、特に若い世代は非典型的なデザインを好む~
早稲田大学マーケティング・コミュニケーション研究所(東京都新宿区、所長:商学学術院教授 恩蔵 直人)とインターネットアンケート・サービス「gooリサーチ」(*1)を提供するNTTレゾナント株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:中嶋 孝夫)は、全国のgooリサーチ登録モニターを対象に「缶ビールと日本酒のパッケージ・デザインに関する調査」を実施しました。
総括
調査の結果、20代から30代の比較的若い世代では、非典型的なボトル(以下、瓶)の形状を好意的に評価している傾向が見られました。
パッケージ・デザインについては、消費者が左右対称なパッケージ・デザインを典型的と感じている傾向がうかがえます。このことから、パッケージ・デザインの左右対称性の違いが、消費者がパッケージを典型、非典型と認識する基準となっていると推察されます。
また、20代においては、左右非対称なパッケージ・デザインを目新しいと感じている回答者の割合が、他の世代に比べて大きいとの結果が見受けられます。
加えて、缶ビールや日本酒について、好意度、飲用頻度が低い比較的若い世代においても新ブランドに対する関心は高いという結果が見受けられます。
このことから、大手メーカーによるアルコール離れが指摘される若い世代の取り込み施策が注目される中、そのアプローチ方法として新奇性を訴求するパッケージ・デザインや瓶の形状を携えた新ブランドの投入が効果的であると考えられます。
調査結果のポイント
(1) 若い世代は「非典型」的なボトルほど「購入してみたい」と回答。
7種類の日本酒瓶の形状(典型的な形状2種類、非典型的な形状2種類、中間的な形状3種類)(図1)を提示し、回答者に形状の魅力度、購入意向、製品の信頼度を尋ねた。その結果、20代や30代の回答者では非典型的な形状のボトルを「魅力的である」「購入してみたい」と思っている人が多い傾向が見られた。
(2) 20代において左右非対称な缶ビールのパッケージ・デザインほど「目新しい」
架空の缶ビールのパッケージ・デザイン(左右対称なデザイン5種類、非対称なデザイン5種類、中間的なデザイン5種類)15種類(図2)を提示し、どの程度目新しく感じるかについて尋ねたところ、回答者総計では顕著な違いが見られなかったものの、20代では非対称になればなるほど「目新しい」と感じられる傾向となった。
(3) 20代で顕著な缶ビール離れ
缶ビールに対する好意度では、30代以上では半数以上が「好き」と答えた一方、20代では「好き」が半数を下回り40%以上が「嫌い」と答えた。飲用頻度でも20代で週1回以上飲用する人は40%程度、「ほとんど毎日」飲用する人が12.2%にとどまり、20代でのビールの飲用が突出して低い割合となっている。
日本酒に対する好意度や飲用頻度も世代が上になるほど上昇する傾向が見られるものの、世代による違いは缶ビールに比べてそれほど大きくなかった。
(4) 若者を取り込む活路は「目新しさ」
缶ビールにおけるお気に入りのブランド有無についても「ある」と回答した20代は50%程度と40、50代に比べて低いが、目新しいブランドを手に取るかどうかについては20代の回答者の半数以上が「手に取る」と回答しており50、60代を上回った。
一方、日本酒についても、目新しいブランドを「手に取る」と回答した人は、20代で35.2%であり、月に1回以上飲む人の割合で10% 以上開きのあった60代以上の39.1%、50代の36.3%に迫っていた。若い世代を取り込むためには新ブランドの提案が重要になると考えられる。
<パッケージデザイン例>
【図1】日本酒瓶の形
【図2】缶ビールのデザイン
※架空の缶ビールパッケージの制作におきましては、株式会社アイ・コーポレーションのご協力をいただきました。
調査概要
1. 調査対象 | gooリサーチ・消費者モニター |
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2. 調査方法 | 非公開型インターネットアンケート |
3. 調査期間 | 平成20年9月1日(月)〜9月4日(木) |
4. 有効回答者数 | 1,093名 |
5. 回答者の属性 | 【男女内訳】: 男性539名、女性554名 【年齢】: 20〜29歳213名、30〜39歳218名、40〜49歳219名、50〜59歳223名、60歳以上220名 |
《 補足 》
(*1)【 gooリサーチ 】 http://research.goo.ne.jp/
ポータルサイト「goo」を運営するNTTレゾナントと、日本のリーディングシンクタンクである三菱総研の調査企画力、コンサルティング力が融合した、高品質で付加価値の高いインターネットリサーチ・サービスです。
携帯電話でアンケートに答える 「gooリサーチ・モバイル」モニター(9.6万人)、キーパーソンのビジネスマンを中心とする「gooリサーチ・ビジネス」モニター(6.3万人)、団 塊世代・シニア層、ならびに若年層を中心とした郵送調査手法で回答する「郵送調査専属モニター」(3.5万人)を含め、253万人の登録モニターを擁し、 消費者向け調査から、法人向け調査、グループインタビューまで、様々な市場調査ニーズに対応しています。 (モニターの人数はいずれも2008年9月現在)
<本件に関するお問い合わせ>
NTTレゾナント株式会社 メディア事業部 広報担当
(Tel) 03-5224-5500、(E-mail) pr@nttr.co.jp
早稲田大学 広報室 広報課 村田篤史
(Tel) 03-3202-5454、(E-mail) atsushi1107@waseda.jp
<gooリサーチに関するお問合せ先>
NTTレゾナント株式会社 リサーチ部門
(Tel)03-5224-5380、(FAX)03-5224-5201、(E-mail)research@goo.ne.jp
調査結果データ
1.日本酒瓶の形状評価
若者の好意度では「非典型」、製品の信頼性では「典型」
7種類の日本酒瓶の形状から1種類をランダムで提示し、回答者にデザインの魅力度、購入意向、製品の信頼度を尋ねた。7種類の日本酒瓶の形状を消費者の回答(図表1)に基づき、Aパターンを典型的な形状(2種類)、Cパターンを非典型的な形状(2種類)、Bパターンを中間的な形状(3種類)の3つのグループに分けてみると(図1)、20代や30代の回答者では非典型的な形状の瓶を「魅力的である」と感じ、「購入してみたい」と思っている一方、50代や60代では顕著な違いが見られなかった(図表2・3)。製品の信頼性については、どの世代でも典型的な瓶の形状が高く評価されていた(図表4)。
【図表1】日本酒瓶の形状を典型的に感じた回答者(%)(n=1,093)
*「このボトルのデザインについてどう思われましたか」という質問の「典型的なデザインである」という項目に
「1.非常にそう思う」から「7.全くそう思わない」で答えてもらい、「1」「2」「3」をチェックした回答者の割合
【図表2】世代別・形状を魅力的に感じた回答者(%)(n=1,093)
*「ボトルのデザインについてどう思われましたか」という質問の「魅力的である」という項目に
「1.非常にそう思う」から「7.全くそう思わない」で答えてもらい、「1」「2」「3」をチェックした回答者の割合
【図表3】世代別・商品を購入したいと感じた回答者(%)(n=1,093)
*「このボトルの日本酒について感じたことをお答えください」という質問の「購入してみたいと思う」という項目に
「1.非常にそう思う」から「7.全くそう思わない」で答えてもらい、「1」「2」「3」をチェックした回答者の割合
【図表4】世代別・商品に信頼性を感じた回答者(%)(n=1,093)
*「このボトルの日本酒について感じたことをお答えください」という質問の「信頼できる製品だと思う」という項目に「1.非常にそう思う」から「7.全くそう思わない」で答えてもらい、「1」「2」「3」をチェックした回答者の割合
2.缶ビールのパッケージ・デザイン評価
対称なパッケージは「典型的」、非対称なパッケージは「目新しい」
15種類の架空の缶ビールパッケージ・デザイン(左右対称なデザイン5種類、非対称なデザイン5種類、中間的なデザイン5種類)を提示し、どの程度目新しく感じるかについて回答してもらった。架空の缶ビールパッケージ・デザインの制作にあたっては、株式会社アイ・コーポレーション(代表取締役:小川 亮)に作成を依頼し、実際に流通している缶ビールパッケージと遜色ない水準を実現した。結果を見てみると、回答者総計では顕著な違いが見られなかったものの、20代では非対称になればなるほど「目新しい」と感じられる傾向にあった(図表5)。また、典型的なデザインであると思うかについても尋ねると、より対称なデザインの方が典型的であると感じられる傾向にあった(図表6)。
【図表5】パッケージを目新しく感じた回答者(%)(n=1,093)
【図表6】パッケージを典型的に感じた回答者(%)(n=1,093)
*「製品パッケージのデザインについてどう思われましたか」という質問の各項目に「1.非常にそう思う」から
「7.全くそう思わない」で答えてもらった。
図表5は、そのうち、「目新しい」という項目の「1」「2」「3」にチェックをつけた回答者の割合
図表6は「典型的なデザインである」という項目の「1」「2」「3」にチェックをつけた回答者の割合
3.缶ビールと日本酒に対する意識
(1) 顕著な20代の缶ビール離れ
缶ビールに対する好意度を尋ねたところ、30代以上では半数以上の回答者が「好き(*1)」と答えた一方で、20代では「好き」という回答者が半数を下回った。反対に「嫌い(*2)」と答えた回答者は30代で30%程度、40代以上で20%程度にとどまっていたのに対して、20代では40%を越えた(図表7)。飲用頻度についても同様の傾向が見られ、週1回以上飲用する回答者は40代以上で60%以上いたが、20代では40%程度にとどまった。特に「ほとんど毎日」飲用する人が50代では26.5%だったのに対し、20代では12.2%であった(図表8)。
【図表7】 缶ビールに対する世代別好意度(n=1,093)
【図表8】 缶ビールの世代別飲用頻度(n=1,093)
(*1)「缶ビールが好きだ」と言う質問項目に対し、「1.非常にそう思う」から「7.全くそう思わない」で答えてもらい、「1」「2」「3」にチェックをつけた回答者
(*2)「缶ビールが好きだ」と言う質問項目に対し、「1.非常にそう思う」から「7.全くそう思わない」で答えてもらい、「5」「6」「7」にチェックをつけた回答者
(2) 50代はお気に入りの既存ブランドあり。20代への活路は「目新しさ」か。
缶ビールにおけるお気に入りブランドの有無についてたずねたところ、「ある(*3)」と回答した人は40代、50代では70%程度を占めたが、20代では50%程度であった(図表10)。一方、目新しいブランドを手に取ってみるか尋ねたところ、20代の回答者の半数以上が「手に取る(*4)」と回答しており、値の最も高かった40代には及ばなかったものの、好意度では15%の開きのあった50代を上回った(図表9)。若者のビール離れが指摘される中、目新しさを訴求し、いかに若者に受け入れられるビールを作り出せるかが今後のビール市場の動向に大きく影響しそうだ。
【図表9】目新しいブランドを手に取る人の割合(%)(n=1,093)
【図表10】お気に入りブランドがある人の割合(%)(n=1,093)
(*3)「お気に入りの缶ビール銘柄がある」と言う質問項目に対し、「1.非常にそう思う」から「7.全くそう思わない」で答えてもらい、「1」「2」「3」にチェックをつけた回答者
(*4)「新しい銘柄や珍しい銘柄のビールは試してみたくなる」と言う質問項目に対し、「1.非常にそう思う」から「7.全くそう思わない」で答えてもらい、「1」「2」「3」にチェックをつけた回答者
(3) 60代での好意度が高いものの、世代間のばらつきの小さい日本酒
日本酒に対する好意度や飲用頻度は、缶ビールほどのばらつきはないものの、世代があがるごとに上昇する傾向が見られた(図表11・12)。特に60代男性では55.6%の人が「好き(*5)」と回答しており、最も多くの支持を得ていた。目新しいブランドを「手に取る(*6)」と回答した人は、20代で35.2%であり、月に1回以上飲む人の割合で10% 以上開きのあった60代以上の39.1%、50代の36.3%に迫っていた。缶ビールと同様、日本酒においても、若者を取り込むためには新ブランドの提案が重要になるといえそうだ。
【図表11】日本酒に対する世代別好意度(n=1,093)
【図表12】日本酒に対する世代別好意度(n=1,093)
(*5)「日本酒が好きだ」と言う質問項目に対し、「1.非常にそう思う」から「7.全くそう思わない」で答えてもらい、「1」「2」「3」にチェックをつけた回答者
(*6)「新しい銘柄や珍しい銘柄の日本酒は試してみたくなる」と言う質問項目に対し、「1.非常にそう思う」から「7.全くそう思わない」で答えてもらい、「1」「2」「3」にチェックをつけた回答者
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