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第8回 環境・社会報告書に関する読者の意識調査結果

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企業が取り組むべき経営課題は、温暖化防止と製品・サービスの安全性

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報道発表資料 平成20年2月14日

gooリサーチ結果 (No.168)

第8回 環境・社会報告書に関する読者の意識調査結果

~企業が取り組むべき経営課題は、温暖化防止と製品・サービスの安全性~

国内最大級のインターネットアンケート・サービス「gooリサーチ」(*1)を共同提供するNTTレゾナント株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:和才 博美)と株式会社三菱総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:田中 將介)は、一般消費者に対する「環境・社会報告書に関する意識調査」を実施しました。有効回答者数は31,654名でした。

本調査は今回で8回目を数え、「gooリサーチ」に加え、環境情報ポータルサイト「環境goo」(http://eco.goo.ne.jp)(*2)も連動したアンケートを実施しました。また、「環境goo」に、後日、調査結果詳細の掲載も予定しています。

なお、本調査結果をもとに、日本電信電話株式会社主催で「環境・社会報告書シンポジウム2007」を平成19年12月13日(木)に開催しました。シンポジウムでの討議内容については、本日2月14日(木)に「環境goo」上で公開します。

調査結果のポイント

■環境・社会報告書の一般消費者への到達率(認知・閲読状況)は45.8%と対象者の約半数近くが報告書の存在を知らない。

■環境・社会報告書の接触媒体はPDFとHTMLで約半数を占め、紙媒体での接触率を上回った。2年前と比較をすると、PDFとHTMLは10%ほど増加し、紙媒体での接触率は10%ほど減少しており、報告書の分野でも着実にIT化が進んでいる。

■環境・社会報告書の問題点は、企業間比較ができないことが45.5%と一番多くなっているが、2000年の調査時と比較すると専門用語の問題が21.2%も上がっており、ここ数年でクローズアップされるようになってきている。

■一般消費者にとって「地球温暖化」は、81.6%とこれまでの調査時で最大の数値を示しており、大多数の関心ごととなっている。また、来年に控えた洞爺湖サミットや「不都合な真実」等の環境問題を題材にした話題がマスメディアへ露出される機会が高まったことを背景に、2005年の調査時と比較すると、未婚の20代以下で17.5%も上がっており、若い年齢層での温暖化への関心が急上昇している。

■温暖化ガス削減のためのイノベーションの必要性に関しては、49.4%が革新的なテクノロジーなどのイノベーションよりも、更なる努力や我慢による資源やエネルギーのむだ遣いを減らすことが必要との認識を示している。一方で、温暖化ガス削減のためにイノベーションに積極的に取り組む企業への市場高感度は77.1%と高く、温暖化ガス排出削減等の革新的な取り組みを進める企業が市場に受け入れられる可能性を感じさせるということがうかがえる。

《 補足 》

(*1)【 gooリサーチ 】 http://research.goo.ne.jp/
ポータルサイト「goo」を運営するNTTレゾナントと、日本のリーディングシンクタンクである三菱総研の調査企画力、コンサルティング力が融合した、高品質で付加価値の高いインターネットリサーチ・サービスです。携帯電話でアンケートに答える 「gooリサーチ・モバイル」モニター(7.9万人)、キーパーソンのビジネスマンを中心とする「gooリサーチ・ビジネス」モニター(5.2万人)、団塊世代・シニア層、ならびに若年層を中心とした郵送調査手法で回答する「郵送調査専属モニター」(3.5万人)を含め、197万人の登録モニターを擁し、消費者向け調査から、法人向け調査、グループインタビューまで、様々な市場調査ニーズに対応しています。 (モニターの人数はいずれも2008年2月現在)

(*2)【 環境goo 】 http://eco.goo.ne.jp/
NTTレゾナントが運営する日本国内最大の"環境情報ポータルサイト"。企業からコンシューマまであらゆるユーザの環境情報ニーズに対応しています。

<本調査およびgooリサーチに関するお問合せ先>

NTTレゾナント ポータル事業本部 メディア事業部 「環境goo」
(Tel) 03-5224-5290
NTTレゾナント株式会社 ポータル事業本部 リサーチグループ
(Tel) 03-5224-5380、(FAX) 03-5224-5201、(E-mail)research@goo.ne.jp
NTTレゾナント株式会社 ポータル事業本部 広報グループ
(Tel) 03-5224-5500、(E-mail) pr@nttr.co.jp

<gooリサーチに関するお問合せ先>

株式会社三菱総合研究所 経営企画部広報グループ
(Tel) 03-3277-0003、(FAX) 03-3277-3490、(E-mail)ccd-mg@mri.co.jp

調査概要

調査企画・協力 後藤敏彦氏 (環境監査研究会代表幹事)
川北秀人氏 (IIHOE:人と組織と地球のための国際研究所代表)
環境情報ポータルサイト「環境goo」
1. 調査方法 「gooリサーチ」上のインターネット・アンケート画面での回答
2. 調査対象 1)「環境goo」にアクセスする一般ユーザ
2)「環境goo」個人会員
3)「gooリサーチ」モニター

※ 2) 3)はメールでアンケート協力を依頼し、「gooリサーチ」上のインターネット・アンケート画面で回答。
3. 調査期間 平成19年10月11日(木)〜10月25日(木)
4. 総回答者数 31,654名【男性16,604名、女性15,050名】

【図1-1】回答者の属性
【図1-1】回答者の属性のグラフ

【図1-2】回答者の会社員、自治体職員における環境関連従事者の割合
【図1-2】回答者の会社員、自治体職員における環境関連従事者の割合のグラフ

調査結果データ

(1) 報告書の存在を約半数が知らない

「環境・社会報告書というものがあることを知らない」という回答が約46%を占め、昨年に引き続き対象者の半数近くが報告書の存在を知らないという結果となった。【図2-1】

【図2-1】環境・社会報告書閲読経験

【図2-1】環境・社会報告書閲読経験のグラフ

ただし、「知らない」の割合が高いのは主として女性であるが、30代、40代を中心にその比率は低下しており、従来は接触機会の少なかった主婦層などにも認知・接触の機会が拡がっていることがうかがえる。【図2-2】

【図2-2】回答者属性性別の報告書閲読経験と非認知者の割合

【図2-2】回答者属性性別の報告書閲読経験と非認知者の割合のグラフ

(2) ホームページでの接触が紙媒体を上回る

既読者のうち64.0%が、「紙で印刷されたもの」で報告書を読んだことがあるとしている。

このことは、報告書の媒体として紙の冊子が広く普及しており、依然として媒体としての有用性が高いことを示している。【図3-1】

【図3-1】読んだことのある報告書の媒体

【図3-1】読んだことのある報告書の媒体のグラフ

ただし、「最もよく読んだ媒体」を1つだけあげてもらったところ、「ホームページ(PDF)(28.5%)」と「ホームページ(HTML)」(23.3%)を合算した割合が約52%に達し、「紙で印刷されたもの」(41.3%)を上回っている。

2005年調査では紙媒体の割合がホームページの合計値を上回っており、この2年間にホームページを主な閲読媒体とする読者が紙媒体のそれを逆転しており、インターネットを通じた情報提供の浸透が急速に進んでいることを表している。【図3-2】

【図3-2】最もよく読んだ報告書の媒体(1つだけ)

【図3-2】最もよく読んだ報告書の媒体(1つだけ)のグラフ

(3) 企業間比較ができないことへの問題意識が高い

現在の報告書の問題点としては、「各社の内容や書式が異なり企業間比較ができない」をあげる割合が最も高く(45.5%)、次いで「良いことばかりが書かれていて客観的でない」(41.1%)、「数値データを示されても評価ができない」(40.2%)、「専門用語が多すぎて分かりにくい」(39.4%)などとなっている。

男女別にみると、女性読者では「専門用語が多すぎて分かりにくい」が44.7%と最も高くなっているほか、「分かりやすさや面白く読ませる工夫が不足している」をあげる割合が男性に比べて高い。一方男性読者からは、「企業間比較ができない」「客観的でない」などが多くなっている。【図4-1】

【図4-1】現在の報告書の問題点(複数回答)

【図4-1】現在の報告書の問題点(複数回答)のグラフ

報告書の問題点を2000年調査と比較すると、2000年には「企業間比較ができない」「客観的でない」の二つが6割を超えて主たる問題として認識されていたが、今回の結果ではこれらが大きく低下する一方で「専門用語が多くて分かりにくい」が大きく増加し、この結果、これらの問題点がいずれも4割近い割合となっている。

すなわち問題と感じるポイントが多様化、平準化していることを示しており、これは、読者層の多様化、一般化によるものと考えられる。【図4-2】

【図4-2】報告書の問題点の認識変化

【図4-2】報告書の問題点の認識変化のグラフ

(4) 「地球温暖化」への関心が急激に高まった

「関心の高い環境問題(3つまで選択)」としては、「地球温暖化」をあげる割合が昨年に比べて9ポイント上昇して81.6%にのぼり、地球温暖化に対する急激な関心の高まりを表している。

関心の高さについては「地球温暖化」が群を抜いており、その他の問題への関心は分散しており、際だって関心の高い問題は見られない。

その中でも、「ダイオキシンや農薬など有害化学物質による汚染」や「身近な自然破壊(里山、棚田の保全等)」など低下傾向にあるものが多く、「地球温暖化」への関心の高まりの影に隠れてしまった印象だが、その一方で、「大気汚染」や「砂漠化」をあげる割合がやや増えていることが注目される。【図5-1】

【図5-1】関心の高い環境問題(3つまで)

【図5-1】関心の高い環境問題(3つまで)のグラフ

また、「地球温暖化」への関心度の大幅な上昇は、ほぼ全ての層で共通しているが、中でも未婚男性や30代既婚男性、未婚女性などで継続して増加したことによって、性別や年代による関心度の差が縮小したことがうかがえる。【図5-2】

【図5-2】地球温暖化に関心がある割合−推移

【図5-2】地球温暖化に関心がある割合−推移のグラフ

環境問題への関心を回答者の属性との関係で見ると、男性で相対的に関心が高いのは「クリーンエネルギーの開発・実用化」や「砂漠化」の問題であり、既婚男性では「産業廃棄物の処理」への関心の高さが特徴的である。

一方女性の関心が相対的に高いのは「ゴミの増大」や「エコライフ等の環境に配慮した生活」であり、また「ダイオキシンなど有害化学物質による汚染」は、特に既婚女性において関心が高いなど、家庭生活や育児と密接に関連したテーマへの関心が現れている。【図5-3】

【図5-3】関心の高い環境問題(2つまで)

【図5-3】関心の高い環境問題(2つまで)のグラフ

(5) 温暖化防止と製品・サービスの安全性が二大課題

企業が社会的責任を果たすために取り組むべき経営課題としては、「地球温暖化の防止、省エネ」が複数回答で66.4%と大多数の読者からあげられ、最も高い。また、優先度の高い5つまでを選択した場合でも37.9%があげるトップ項目であり、「温暖化防止・省エネ」が最も優先すべき経営課題に位置づけられている。

次いで、「製品・サービスの安全・安心を第一に考えた経営」で、複数回答で60.1%、5つまで選択で33.7%となっており、温暖化防止と並んで「製品・サービスの安全」を特に優先すべき経営課題として指摘する声が高い。

以下、「有害物質の管理・削減」や「資源循環や廃棄物の適正処理」など"公害・汚染防止の取り組み"、「法令遵守」「経営トップの説明責任」「企業倫理の確立」など"倫理・コンプライアンスの取り組み"が上位にあげられている。【図6-1】

【図6-1】社会的責任のため企業が果たすべき経営課題

【図6-1】社会的責任のため企業が果たすべき経営課題のグラフ

また、企業が社会的責任を果たすための経営課題について、男女それぞれ昨年からの変化を順位で比較すると、「温暖化防止・省エネ」は男性で第5位から第2位へ、女性で第2位から第1位へと順位を上げ、全体でも「製品・サービスの安全・安心」を上回ってトップになったことが分かる。

この他に全体として順位を上げた項目としては、「省資源・廃棄物の適正処理」(7位→5位)、「企業統治の徹底」(12位→9位)などとなっている。

また、全体として「生物多様性の維持・保全」(18位→16位)や「サプライチェーンマネジメント」(21位→17位)などの順位が上がっていることも注目される。

さらに、男性で「経営トップの説明責任」(3位→5位)や「収益重視・株主価値の向上」(19位→22位)などの順位が後退し、「仕事と家事を両立できる働き方」(13位→12位)の順位が上がったことが注目される。また、女性においては逆に「仕事と家事を両立」(3位→5位)の順位が後退し、「法令遵守」(9位→8位)「企業統治」(14位→11位)などの順位が上がったことなどが注目される。【図6-2】

【図6-2】社会的責任のため企業が果たすべき経営課題(性別別)

【図6-2】社会的責任のため企業が果たすべき経営課題(性別別)のグラフ

(6) 温暖化ガス削減のためには更なる努力や我慢が必要

日本における温暖化ガスの効果的な削減のために必要なこととしては、「企業や国民がもっと努力や我慢をして資源やエネルギーのむだ遣いを減らす」を選んだ割合が全体の49.4%と約半数にのぼった。

「努力や我慢よりも、革新的なテクノロジーの採用や新しい発想の経済・社会モデルの実現など、生活レベルを低下せずに排出ガスを減らす工夫」は34.9%、「豊かさが後退しても経済活動を抑えて生活レベルを過去の水準に戻す」は14.4%であった。

性年齢別にみると、「努力・我慢でむだ遣いを減らす」を選ぶ割合はいずれも高く、特に女性で高くなっている。

一方、男性では相対的に「革新的テクノロジーや新しい発想による工夫」を選ぶ割合が高く、「生活レベルを過去の水準に戻す」を選ぶ割合も女性に比べてやや高い傾向にある。

なお「生活レベルを過去に戻す」を選ぶ割合が年齢にかかわらず一定程度存在することも注目される。【図7-1】

【図7-1】温暖化ガス削減のために必要なこと

【図7-1】温暖化ガス削減のために必要なことのグラフ

また、「温暖化ガス削減のためには『テクノロジーとソフト両面でのイノベーション』が必要不可欠である」という意見については、「その通り」という回答が全体の66.0%に達し、温暖化ガスの劇的な削減のために、テクノロジーとビジネスモデルやライフスタイルなどの両面でのイノベーションに対する期待は高いと言える。【図7-2】

【図7-2】抜本的イノベーションが必要不可欠という意見について

【図7-2】抜本的イノベーションが必要不可欠という意見についてのグラフ

また、イノベーションに積極的に取り組む企業に対しては、「その企業の製品を購入したり、店舗やサービスを利用するなど消費者として応援したい」という回答の割合が77.1%と全体の8割近くにのぼった。

一方、「特にそのような企業を応援したいとは思わない」という回答は4.6%にとどまり、温暖化ガス排出削減のために革新的な取り組みを進める企業が高い好感を持って市場に受け容れられていることが伺える。【図7-3】

【図7-3】イノベーションに積極的な企業への応援意向

【図7-3】イノベーションに積極的な企業への応援意向のグラフ

温暖化ガス削減のためのイノベーションに積極的に取り組んでいる業界として最も多くあげられたのは「自動車メーカー」で、読者全体の58.1%にのぼった。

次いで「家電/コンピュータ機器メーカー」「電力会社、ガス会社」「化学・素材産業」が35%から30%程度となっている。

逆にイノベーションに積極的であるという回答が少なかった業界としては、「銀行・証券」「外食産業」「建設・土木」「化粧品」「百貨店・デパート」などとなっている。

男女を比べると、男性は比較的多くの業界について高評価を与える傾向がある。【図7-4】

【図7-4】イノベーションに積極的に取り組んでいる業界(複数回答)

【図7-4】イノベーションに積極的に取り組んでいる業界(複数回答)のグラフ

NTTコム リサーチは、平成24年10月1日にエヌ・ティ・ティ レゾナント株式会社からNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社へ事業譲渡され、平成25年12月9日にgooリサーチより名称変更いたしました。gooリサーチの調査結果(共同調査含む)等についてはこちらまでお問合せください。

この調査結果の単純集計を無料にて提供しています。

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