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国内出荷の3G端末比率はほぼ100%に

2007年2月、1本の映画が公開された。財政危機に陥った日本を救うため、1人の女性がバブル期にタイムスリップする「バブルへGO!!〜タイムマシンはドラム式〜」という作品。時代の違いを象徴する小道具の1つとして携帯電話が用いられた。現在のハンディスキャナーよりも巨大な携帯電話だが、当時は、最先端のコミュニケーションツールだった。

バブル期の頂点だった1989年度末の携帯電話契約数は48万9558件で、普及率は0.4%に過ぎなかった。それが1990年代半ばから急拡大、1994年からの推移を見ると、1999年度末には携帯電話とNTTの住宅用加入電話の数はほぼ拮抗していたが、2000年度末では逆転。以後、住宅用加入電話は減少基調にある一方で、携帯電話が増え続け、2006年12月時点での携帯電話普及率は74.3%に達している(図1)。加入電話は、パソコンなどと接続しない限り、通話という基本機能を提供するだけ。一方、携帯電話の場合はさまざまなアプリケーションやサービスによって、端末自体が生活関連複合ツールともいえる存在に進化してきている。もはや、携帯電話端末なくしては、生活が成り立たないといっても過言でない。

図1 携帯電話と加入電話の契約数及び携帯電話の普及率の年度末推移

2001年10月にNTTドコモが世界で初めて第三世代携帯電話(3G)の商用サービスを開始したことで、高速データ通信や各種マルチメディアサービスが可能になり、高機能化が加速した携帯電話。電子情報技術産業協会(JEITA)の統計データから3G端末の国内出荷の動きを見ると、2004年度後半から増加し始めたものの、同年度を通じての3G比率(出荷高全体に対する3G端末の比率)は55.5%にとどまっていた。3G端末への買い替えが本格化したのは2005年度からで、年度全体の3G比率は78.6%に上昇。2006年度は12月までで91.2%となり、各社が春モデルを投入した2007年1月には単月の3G比率が99.2%となった。この間、機能は加速度的に拡充されたために、便宜上「3.5G」という言葉が一般的に用いられるようになっている。

機能向上でモバイルビジネス市場拡大

高機能化が進み、携帯電話の端末が多様化している中で、ユーザーはどのような使い方をしているのだろうか?

gooリサーチとインターネットコムは2004年4月から定期的に携帯電話の買い替えニーズに関する調査を行っている。第1回調査で、買い替え時に重視するポイントについて尋ねたところ、「ディスプレーのきれいさ・大きさ」という回答が90%を超え、「デザインのよさ」も80%を超えていた。また、買い替え時に欲しい機能としては「メガピクセル(100万画素)のカメラ機能」との回答が73.3%となっていた。これが2006年7月調査での買い替え時に重視するポイントでは、「デザインのよさ」は依然上位にあるものの、「本体の価格」がトップになっており、欲しい機能は「メモリーカード」がトップで、次いで「音楽再生機能」となっている(図2)。カメラで撮影した画像の保存や友人とのデータ交換、さらには音楽データの保存などに必要なメモリーカードが見逃せないポイントとなっているようだ。実際、携帯電話に搭載されるカメラは300万画素が主流で、500万画素のものも登場しており、大容量の記録メディアが不可欠となっている。

図2 携帯電話を買い替える際に、有無を重視する機能をお答えください

一方、2006年からサービスが始まったワンセグ放送への関心も高い。gooリサーチが2006年8月に発表した調査結果によると、7月時点でワンセグ対応携帯電話を使用している人は3.4%に過ぎなかったが、「購入したい」が57.2%となっている。使用目的では、「移動中にテレビ放送を見たいから」が78.9%を締めたほか、「非常時・災害時に最新情報を得たいから」が39.4%に上っている(図3)。

図3 ワンセグ対応携帯電話の使用目的

また、今後利用の増加が見込まれるものとしては、モバイルSNSがある。パソコンによるSNSの携帯電話版サービスで、現在のところはパソコンでのSNSを補完する意味合いで利用されていることが多い。しかし、ゲームとSNSなどを無料で提供するモバイルサイト「モバゲータウン」の会員数が2007年2月に300万人に達するなど、ブレークを予感させる事象が出てきている。データは幾分古くなるが、総務省が2006年7月にまとめた「モバイルコンテンツの産業構造実態に関する調査結果」によると、2005年のモバイルビジネス市場規模は前年を39%上回る7224億円となった(図4)。携帯電話からのインターネット利用が進み、モバイルコマース市場の拡大が顕著と分析している。

図4 モバイルビジネス市場規模の推移

携帯電話の進化を考える上では、2006年10月に開始された携帯電話キャリア間の「MNP(番号ポータビリティ)制度」についても見ておく必要がある。gooリサーチが、MNP開始前の06年6月に発表した「番号ポータビリティサービス利用意向」に関する10万人大規模調査では、「ぜひ変更したい」と「どちらかといえば変更したい」を合わせ29.7%となっていた。その他の各種事前調査でも、乗り換え意向を示す人は3割程度という結果が多く、具体的にはNTTドコモからau(KDDI)への乗換えを考えている人が多かった。電気通信事業者協会が集計しているグループ別の毎月末契約数によると、事前調査通りNTTドコモは2006年10月から11月にかけて契約数を減らしたものの、12月以降は盛り返している(図5)。ただし、gooリサーチの定期調査では、「状況によっては変更してもよい」というユーザーが約4割にのぼっており、今後付加される機能や端末のデザインいかんで、こうした層が動き出す可能性は秘められている。

図5 グループ別月末契約数

NTTコム リサーチは、平成24年10月1日にエヌ・ティ・ティ レゾナント株式会社からNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社へ事業譲渡され、平成25年12月9日にgooリサーチより名称変更いたしました。gooリサーチの調査結果(共同調査含む)等についてはこちらまでお問合せください。

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