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酒類と清涼飲料の成長度

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年間1人当たりビールを大ビン78本消費

居酒屋に行けば「とりあえずビール」、晩酌も「ふだんはビール1本」というほど、ビールは日本の国民生活に深く浸透している。2005年の日本のビール生産量は、キリンビール株式会社のデータによれば、年間636万キロリットル(発泡酒、第三のビールなどを含む)で世界7位(図1)。ただし、ここ数年の日本のビール生産量はほぼ横ばいとなっている。

図1 国別ビール生産量(2005年)

一方、ビールの消費量は年間634万キロリットルで、やはり世界第7位。しかし、年間1人当たりのビール消費量は49.6リットルで、大ビンに換算して約78本。統計が公表されている国の中では38位となり、トップのチェコの約3分の1の消費量にすぎない。

清酒、焼酎、ウイスキー、ビールの消費量

では、酒の種別ごとに年間の消費量の推移を比較してみよう(図2)。

図2 酒類年間消費量

このところ消費量が低迷気味なのは、清酒(日本酒)とビールである。清酒は、1980年代に日本酒ブームがあったものの、その後、消費が低迷。2000年度には100万キロリットルを割り込み、2004年度には約75万キロリットルまで落ち込んでしまった。もっとも、一部の吟醸酒や純米酒の人気は高く、メーカーは高級酒路線に生き残りをかけている。

ビールもまた消費の低迷が続いている。発泡酒や第三のビールを除外すると、1994年度に705万キロリットルだった消費量が、2004年度には361万キロリットルと、10年間に半減。その差を埋めるように発泡酒の伸びが著しく、2004年度にはビールと発泡酒の合計が580万キロリットルを確保した。さらに最近では、第三のビールのような新ジャンルのビールが、次々にラインナップに加わっている。

最近になって、景気回復とともに高級なビールの売れ行きも伸びており、ビールの売れ筋は、高級ビールと経済的なビールに二極分化しているといえるだろう。

一時ブームとなったワイン(果実酒類)は、1998年をピークに徐々に低下傾向をみせていたが、最近では23万キロリットル前後に落ち着いており、ブーム以前に比べて高止まりを感じさせる。すでに、ワインは日本人の食生活に浸透したといってよいだろう。

ここ数年注目されるのが、芋、コメ、麦などを原料としたアルコール度数45%以下(泡盛の一部を除く)の焼酎乙類である。本格焼酎という名のもとに焼酎ブームを巻き起こし、2004年度には48万キロリットルを記録し、焼酎甲類(ハードリカー)に迫った。このままでいくと、清酒を抜きかねない勢いである。

焼酎乙類のブームについては、かつての高級吟醸酒と同様に、1升瓶数万円という商品まで登場しバブルの様相を示しているが、そうしたブームの裏に日本人の食生活の変化を指摘する専門家も多い。すなわち、食事のメニューに動物性脂肪分が増えたため、それに合わせるには、コクのある醸造酒である日本酒よりも、さっぱりとした蒸留酒である焼酎が受けているという意見である。

ワインにしろ、焼酎にしろ、酒類の消費の動向は、食生活の変化に大きく関係していることはたしかである。

1世帯当たり年間酒類購入費

酒類の販売状況を、金額ベースで比較した調査がある。総務省統計局が実施した「家計調査」に基づくもので、2004〜2006年の家計支出を基にして、1世帯当たりの年間酒類購入費を算出したものだ(図3)。

図3 1世帯当たり年間酒類購入費(2004〜2006年平均)

それによると、酒類全体に対する年間の支出は、平均で4万5053円。うち、最も多いのがビールで1万7322円。発泡酒の6390円と合わせると、全体の53%がビール類に対する出費という計算になる。

ついで多いのが、「清酒」の7685円。さらに「焼酎」の6680円、「ワイン」の2497円と続く。焼酎ブーム、ワインブームといっても、まだまだ家計に対する比率はビールや清酒には及ばないことがわかる。

清涼飲料種別生産量の推移

最後に、酒類以外の飲み物として、清涼飲料の生産量もみてみることにしよう(図4)。TVCMを筆頭に際だって目立つ清涼飲料の広告も、やはりその勢いの背景には順調な総生産量の伸張がある。全国清涼飲料工業会の資料によると総生産量は、ウーロン茶、紅茶、緑茶などの茶系飲料が発売され始めた1980年代後半から飛躍的な伸びをみせている。1999年に1500万キロリットルを突破、その後2004年には1720万キロリットルに拡大している。

また、清涼飲料水の品目別に2001〜2005年間の生産量の推移が公表されている。これをみれば、清涼飲料の人気の移り変わりがうかがえるわけだ(図4)。

図4 清涼飲料品目別生産量

まず売り上げが圧倒的に多いのが、茶系飲料。500万キロリットル前後を売り上げ、堅実に増加している。かつて飲料市場を引っ張ってきた炭酸飲料、コーヒー飲料は、ともに300万キロリットル前後で横ばい状態。大きな伸びをみせているのが、ミネラルウォーターや豆乳類、トマトジュースを除く野菜飲料などが含まれるその他の分野といったところだ。

先の茶系飲料と合わせて、無糖ブームの流れをくんだ飲料がここ数年で人気を呼んでいることがわかる。トマトジュースは生産が低下しているが、これは野菜飲料に吸収されたと考えたほうがいいだろう。今後も消費者の健康志向にかなう清涼飲料がまた新たな時代をつくっていくのだろうか。

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