報道発表資料 平成19年7月25日
gooリサーチ結果 (No.154)
内部統制とIT組織についてのアンケート調査
~まだまだ不十分なIT全般統制~
国内最大級のインターネットアンケート・サービス「gooリサーチ」(*1)を共同で提供するNTTレゾナント株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:和才 博美)と株式会社三菱総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:田中 將介)は、「gooリサーチ」登録のビジネスモニターを対象に「内部統制とIT組織」調査を実施しました。
総括
日本版SOX法対応のうち、主にIT全般統制にかかる準備状況について、上場企業の係長以上の方に自社の状況に関して調査を実施しました。文書化等の内部統制の準備は進んでいるようですが、IT全般統制、特にITガバナンスやIT組織の整備が従来から比べても進化したとは言えない状況のようです。
内部統制を実際に運用して行くにあたって、IT統制面で不安があることが明らかになりました。
調査結果のポイント
(1) コンプライアンスに関する関心や意識は向上している
(2) IT組織の人材について、各種スキル標準の認知や導入も進んでいる
一部の報道でIT人材のモチベーション低下が叫ばれたことがあったものの、特に低い水準とは言えない。
(3) ITガバナンスへの取り組みがまだ整備されていない
内部統制以前のITガバナンスへの取り組みが、上場企業であっても、まだ整備されていないということがわかった。例えば、「CIOという立場の人間はいない」という回答が49.2%と半数を占めている。
(4) 内部統制向けの専用アプリケーションを導入している企業は全体の約3割
内部統制の取り組み状況で、「未だ取り組んでいない」、「わからない」を除いた、743名に、財務報告に係る内部統制の文書化を行うにあたって、どのようなアプリケーション(ソフトウェア)を導入しているかを尋ねた。
約半数の410名(全体の55.2%)が「ワード、エクセル、パワーポイント、VISIO等、汎用性の高いOAアプリケーションで作業している」と回答している。内部統制向けの専用のアプリケーション(文書化又は評価作業で用いるアプリケーション)を導入している企業は全体の約3割となっている。
注:「ワード」「エクセル」「パワーポイント」「VISIO」は、米国および他の国々で登録されたマイクロソフト社の商標です。その他、記載されている商品名は、各社の商標および登録商標です。
《 補足 》
(*1)【 gooリサーチ 】 http://research.goo.ne.jp/
ポータルサイト「goo」を運営するNTTレゾナントと、日本のリーディングシンクタンクである三菱総研の調査企画力、コンサルティング力が融合した、高品質で付加価値の高いインターネットリサーチ・サービスです。携帯電話でアンケートに答える 「gooリサーチ・モバイル」モニター(6.7万人)、キーパーソンのビジネスマンを中心とする「gooリサーチ・ビジネス」モニター(4.3万人)、団塊世代・シニア層、ならびに若年層を中心とした郵送調査手法で回答する「郵送調査専属モニター」(3.5万人)を含め、149万人の登録モニターを擁し、消費者向け調査から、法人向け調査、グループインタビューまで、様々な市場調査ニーズに対応しています。(モニターの人数はいずれも2007年7月現在)
<gooリサーチに関するお問合せ先>
NTTレゾナント株式会社 ポータル事業本部 リサーチグループ
(Tel) 03-5224-5380、(FAX) 03-5224-5201、(E-mail)research@goo.ne.jp
NTTレゾナント株式会社 ポータル事業本部 広報グループ
(Tel) 03-5224-5500、(E-mail) pr@nttr.co.jp
<本調査に関するお問合せ先>
株式会社三菱総合研究所 社会情報通信研究本部
(Tel) 03-3277-0791、(Fax) 03-3277-3473、(E-mail) info-icd@mri.co.jp
株式会社三菱総合研究所 経営企画部・広報グループ
(Tel) 03-3277-0003、(Fax) 03-3277-3490、(E-mail) ccd-mg@mri.co.jp
本件は、財政研究会(財務省記者クラブ)、情報通信記者会、総務省記者クラブ、NTTコーポレートニューズルームに配布しております。
調査概要
1. 調査対象 | gooリサーチ登録ビジネスモニターのうち、上場企業勤務の係長以上 |
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2. 調査方法 | gooリサーチを利用したインターネットアンケート |
3. 調査期間 | 平成19年4月26日(木)〜平成19年4月28日(土) |
4. 有効回答者数 | 1,100名 |
5. 回答者の属性 | 【男女内訳】 男性95% 女性5% 【年代別構成】 20代 1%、30代27%、40代49%、50代22%、60代 2% |
調査結果データ
経営上の重要キーワード
経営施策として重要と思われるキーワードを聞いたところ、「コンプライアンス」「社会的責任CSR」が、以前と比較すると浸透している結果となっている。【表1】
【表1】今後の企業経営上の施策として重要と思われるキーワードをお選びください。
各種スキル標準の認知度
IT関連のスキル標準に関しては、全体で見ると10〜20%程度の認知度(「導入している」+「導入していないがよく知っている」)しかないが、それぞれのスキルに関連する業種に限ってみれば、ITSS(IT Skill Standard:ITに関連する能力を体系化した経済産業省による指標)は55.3%、ETSS(Embedded Technology Skill Standards:産業用機器や家電製品、携帯電話などに組み込むソフトウェアの開発スキルに関する経済産業省による指標)は12.0%の認知(よく知っている以上)があり、UISS(Users' Information Systems Skill Standards:ITを活用して業務を行うユーザー企業の側のITスキルを測定するための経済産業省による指標)ではIT組織に所属している人では34.9%の認知がある。【表2】
【表2】経済産業省を中心にIT関連のスキル標準が整備・提唱されていますが、
あなたは、このことをご存じですか。
IT組織のモチベーション
IT組織のモチベーションをIT系従業員に聞いたところ、やる気が高まっている32.7%は、やる気が下がっている16.5%の2倍となり、全体的に士気は低くない。【表3】
【表3】貴社のIT組織の要員のモチベーション(やる気)は最近いかがですか。
※「社内のIT整備について推進する立場(システム部門に勤務)」と
「社内のIT整備について提案・助言する立場(事業部門に勤務)」の人364名が回答
ITガバナンスの認識
「有効にITガバナンスが機能している」という回答は13.2%であるものの、「特に必要と感じていない」11.3%や「取り組み方がわからない」31.3%といったように4割以上がITガバナンスに対して未着手である。【表4】
【表4】ITガバナンスの認識についてお聞かせください。
※ITガバナンス:企業が競争優位性の構築を目的に、IT戦略の策定・実行をコントロールし、
あるべき方向へ導く組織能力(経済産業省の定義)
CIO設置の実態
「IT投資やIT管理をCIOが行っている」は15.9%にとどまり、「CIOという立場の人間はいない」49.2%、「よくわからない、知らない」25.1%とCIOの設置は依然として低いレベルの状況となっている。【表5】
【表5】CIO(最高情報責任者)の設置の実態についてお聞かせください。
※「社内のIT整備について推進する立場(システム部門に勤務)」と
「社内のIT整備について提案・助言する立場(事業部門に勤務)」の人364名が回答
システム化計画の承認権限
情報システムの導入や変更について、経営層の承認を得ているという企業は半数未満。残りの過半数は現場主導で計画が立案されている可能性がある。【表6】
【表6】貴社では、情報システムの導入や変更に関する中期(3〜5年程度)や短期(年次)の計画を、
経営層の承認のもとで立案し遂行していますか。
※「社内のIT整備について推進する立場(システム部門に勤務)」と
「社内のIT整備について提案・助言する立場(事業部門に勤務)」の人364名が回答
社内システムに関する規程
全ての情報システムについて規程類が揃っている企業は約3分の一、一部のシステムについて規程類のある企業が3分の一弱。残りは統一的な基準はない模様である。【表7】
【表7】貴社では、社内の情報システムの開発・変更・保守、運用・管理等の進め方
について規程類(社内規則等)を定めていますか。
内部統制の取り組み状況
内部統制に関して、具体的に着手している企業は49.8%に達しているものの、「未だ取り組んでいない」企業も8.3%ある。【表8】
【表8】内部統制の取組状況についてお聞かせください。
IT統制の整備状況
何らかの形で具体的にIT統制に着手した企業(「IT統制整備を実行している段階である」+「改善策に基づき実行計画を策定している段階である」+「改善策を検討している段階である」)は43.6%に達する。一方、「特に整備計画はない」という企業も8.7%存在する。【表9】
【表9】内部統制対応にともなうIT統制(内部統制の中で情報システムに係る統制活動)の整備状況
についてお聞かせください。
内部統制文書化アプリケーション
内部統制の文書化を行うアプリケーションを聞いたところ、過半数が汎用性の高いOAアプリケーションを使っていることがわかった。(選択肢では併せて、評価作業に用いるアプリケーションにとついても同時に聞いている)【表10】
【表10】あなたの職場では、財務報告に係る内部統制の文書化を行うにあたって、
どのようなアプリケーション(ソフトウェア)を導入していますか。当てはまる項目をお選びください。
内部統制文書化の専用ツール未導入の理由
内部統制の専用ツールを利用しなかった理由としては、機能的に十分というものが過半数。既存のアプリケーションを利用、専用アプリケーションは高価格といった項目が続く。【表11】
【表11】内部統制の文書化を実施するための専用ツールを導入しなかった理由
として当てはまる項目をお選びください。
NTTコム リサーチは、平成24年10月1日にエヌ・ティ・ティ レゾナント株式会社からNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社へ事業譲渡され、平成25年12月9日にgooリサーチより名称変更いたしました。gooリサーチの調査結果(共同調査含む)等についてはこちらまでお問合せください。