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「鉄道ICカード利用動向に関する調査」調査結果

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東京圏、京阪神圏で浸透、今後は、鉄道利用への影響と活用範囲の見極めが課題

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報道発表資料 平成18年8月1日

gooリサーチ結果 (No.127)

「鉄道ICカード利用動向に関する調査」調査結果

~東京圏、京阪神圏で浸透、今後は、鉄道利用への影響と活用範囲の見極めが課題~

国内最大級のインターネットアンケート・サービス「gooリサーチ」(*1)を共同で提供するNTTレゾナント株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:和才 博美)と株式会社三菱総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:田中 將介)は、「gooリサーチ」登録モニターおよびgooユーザを対象に「鉄道ICカード利用動向に関する調査」を実施しました。

総括

東京圏、京阪神圏を中心に、鉄道ICカードのサービスが開始され、数年が経過しました。今回の調査により、東京圏、京阪神圏では、鉄道ICカードの認知度は共に9割に達し、また、鉄道ICカードの保有率は、東京圏で6割、京阪神圏で4割となっており、認知度、普及率いずれも高い割合を示していることが分かりました。

鉄道ICカードに関して、今後さらに利用者を増加させるためには、料金割引対象・範囲の拡大、定期券としての利用のしやすさなど、より一層のサービス拡充が課題であるといえます。また、鉄道ICカードは鉄道乗降のみならず、駅の中の売店や、タクシー・バスなどの他の交通機関、自販機、駅周辺のコンビニやレストランなどにおいて、電子マネーとして利用できるなど活用範囲が拡大されることについても期待が寄せられています。

鉄道ICカードの共通化、電子マネーをはじめとした多機能化が進むにつれ、今後、鉄道各社間で、連携と競争のいずれにおいても多様な展開が予想されますが、サービスの拡充によって鉄道ICカードの利便性が増すことにより、鉄道ICカードの利用条件に応じた鉄道の使い分けなど、鉄道利用のあり方そのものにも少なからず変化をおよぼすことも予想されます。また、料金設定やポイント設定とあわせて、どのような機能をカードに付加するか、活用範囲をどの用途に広げるかなど、顧客ニーズの把握が今後の戦略として重要な位置づけを担うこととなりそうです。

調査結果のポイント

(1) 鉄道ICカードの認知と利用状況

鉄道ICカードの認知については、東京圏、京阪神圏での認知率が、それぞれ9割を超えている。一方、所有については、東京圏では6割、京阪神圏で4割が所有している。中京圏での所有率は、10%弱とまだこれからである。

(2) 鉄道ICカードの利用者と満足度

現在利用している鉄道ICカードの満足度については、総合評価として「満足している」が29.1%、「やや満足している」が49.4%と、概ね満足している人が8割である。しかし、料金・割引率については6割弱の人が不満を有しており、更なる割引ができるかどうかが利用者増のポイントとなりそうである。

また、鉄道ICカードを使わない理由に関しては、ほぼ毎日鉄道を利用している人の中では、「連絡定期券・切符として使えないから」が24.1%と上位になっており、各社のカード間での連携が普及の更なるポイントとなりそうである。

一方、鉄道ICカードの共通化が実現した場合、「これまでどおり、現在使っている鉄道を利用する」とした人は、48.9%と約半分で、「目的によって鉄道を使い分けることが増える」20.2%、「ポイント付与の仕方によりお得な路線を選ぶ」18.5%といったように、鉄道利用のあり方自体が変わる可能性があるとした人も相当な割合で存在する。ICカードの共通化を目前に控え、今後鉄道各社のサービス競争はますます激化することが予想される。

(3) 鉄道ICカードの付加機能・今後のサービス拡充への期待

鉄道ICカードを電子マネーとして使いたい場所・サービスとして、「駅の中の売店等)」が52.1%、「タクシーやバスなどの他の交通機関」が42.3%、「自販機(駅の外)」が40.3%、「駅に近いお店(レストラン、コンビニ、ブティック、書店等)」39.3%となっている。鉄道の周辺における消費活動を中心に、活用される範囲はまだまだ広がりをみせそうである。

また、電子マネー以外の活用方法については、「病院の診察券」が40.6%、「社員証・学生証などの身分証明書」が39.1%、「印鑑証明や住民票発行時に使える行政カード」が34.0%となっており、普段、持ち歩いているカードの枚数を減らしたいといった意向も見受けられる。

《 補足 》

(*1)【 gooリサーチ 】 http://research.goo.ne.jp/
ポータルサイト「goo」を運営するNTTレゾナントと、日本のリーディングシンクタンクである三菱総研の調査企画力、コンサルティング力が融合した、高品質で付加価値の高いインターネットリサーチ・サービスです。携帯電話でアンケートに答える 「gooリサーチ・モバイル」モニター(5.5万人)、キーパーソンのビジネスマンを中心とする「gooリサーチ・ビジネス」モニター(3.4万人)、団塊世代・シニア層、ならびに若年層を中心とした郵送調査手法で回答する「郵送調査専属モニター」(3.1万人)を含め、83万人の登録モニターを擁し、消費者向け調査から、法人向け調査、グループインタビューまで、様々な市場調査ニーズに対応しています。(モニターの人数はいずれもH18年7月現在)

<gooリサーチに関するお問合せ先>

株式会社三菱総合研究所 関西研究センター
(Tel) 06-6310-7195、(Fax) 06-6310-7199、(E-mail) mri-er@mri.co.jp

株式会社三菱総合研究所 Eリサーチグループ
(Tel) 03-3277-0719、(Fax) 03-3277-0523、(E-mail) e-res@mri.co.jp

株式会社三菱総合研究所 広報部広報グループ
(Tel)03-3277-0003、 (Fax)03-3277-3490、(E-mail) ccd-mg@mri.co.jp

<本調査およびgooリサーチに関するお問合せ先>

NTTレゾナント株式会社 ポータル事業本部 リサーチグループ
(Tel) 03-5224-5380、(FAX) 03-5224-5201、(E-mail)research@goo.ne.jp

NTTレゾナント株式会社 ポータル事業本部 広報グループ
(Tel) 03-5224-5500、(E-mail) pr@nttr.co.jp

調査概要

1. 調査対象 「gooリサーチ」登録モニターおよびgooユーザ
2. 調査方法 公開型インターネットアンケート
3. 調査期間 平成18年6月26日(月)〜平成18年7月3日(土)
4. 有効回答者数 35,925名
5. 回答者の属性 【男女内訳】
男性46.7% 女性53.3%

【年代別構成】
10代2.3%、20代22.3%、30代39.6%、40代24.0%、50代8.7%、60代2.3%、70代0.6%、不明0.2%

【内、東京圏・中京圏・京阪神圏】(*)
東京圏 30.6%、中京圏 7.4%、京阪神圏 16.6%

(*) 東京圏:埼玉、千葉、東京、神奈川、京阪神圏:京都、大阪、兵庫、中京圏:岐阜、愛知、三重の各都府県

調査結果データ

「鉄道ICカード」とは、カードの内部にアンテナがあり、自動改札に備え付けられた端末が発信する弱い電波を利用して運賃データなどを送受信するICカードを指します。現在、東京圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)では、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)の「Suica(スイカ)」、京阪神圏(大阪・京都・兵庫)では、西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)の「ICOCA(イコカ)」、株式会社スルッとKANSAIの「PiTaPa」などが導入されていますが、本調査では、「鉄道ICカード」全般について質問しています。

1. 鉄道ICカードの認知と利用状況

(1) 鉄道ICカードの認知は、かなり浸透している。

鉄道ICカードについて、全体として59.5%が「知っている」、23.7%が「なんとなく知っている」としており、認知はかなり広がっている。東京圏、京阪神圏での認知率は、それぞれ9割を超えている。一方、中京圏では、認知率は他の地域と比較して低くなっている。これは、鉄道ICカードが利用できる路線が一部に留まっていることが理由と考えられる。

図1 鉄道ICカードに関する認知(N=35,925)

図1 鉄道ICカードに関する認知のグラフ

図2 鉄道ICカードに関する認知(地域別)

図2 鉄道ICカードに関する認知(地域別)のグラフ

*東京圏:埼玉、千葉、東京、神奈川、京阪神圏:京都、大阪、兵庫、中京圏:岐阜、愛知、三重の各都府県

(2) 知っている人の4割以上が鉄道ICカードを所有。東京圏では約6割だが、中京圏での普及は、これから。

鉄道ICカードの所有については、知っている人の42.8%が「持っている」としている。地域別には、東京圏では63.6%と6割以上が所有し、京阪神圏でも39.5%が所有しているのに対して、中京圏では「持っている」とした人が9.6%であり、今後、東海旅客鉄道株式会社(JR東海)による「TOICA」などが開始された後の普及状況が注目される。

図3 鉄道ICカードの所有率(N=29,884)

図3 鉄道ICカードの所有率のグラフ

*ICカードを「知っている」、「なんとなく知っている」の回答者を対象

図4 鉄道ICカードの所有率(地域別)

図4 鉄道ICカードの所有率(地域別)のグラフ

*ICカードを「知っている」、「なんとなく知っている」の回答者を対象

(3) 鉄道ICカード使う理由は、改札通過や乗り越し清算が楽だから。

鉄道ICカードを使っている理由は、「改札の通行が楽になる」が89.9%、「乗り越し清算が楽になる」が55.5%、「小銭を持たなくて済む」が30.6%となっている。つまり、鉄道ICカード導入前のような、鉄道利用に伴うわずらわしさや面倒なことから開放されるといった目的で利用している人が多い。一方、割引サービスへの期待やポイントがたまるといった金銭的な割引サービスに関しては、現状ではあまり割合は多くない。

図5 鉄道ICカードを使っている理由(N=10,963 複数回答)

図5 鉄道ICカードを使っている理由のグラフ

*電子マネーに「興味はない」の回答者を除く

2. 鉄道ICカード利用者の満足度

(1) 現在の鉄道ICカードには、おおむね満足している。

現在利用している鉄道ICカードの満足度をたずねると、「満足」が29.1%、「やや満足」が49.4%となっており、総合評価としては不満の声は少ない。しかし、料金体系や割引率については、「不満」が32.1%、「やや不満」が25.5%となっており、何らかの不満がある人が6割近くを占めている。現状では、定期券や回数券の購入時と比べて、あまりお得感が感じられないとみられ、サービス利用者の増加には、割引の拡充も視野に入れる必要も考えられる。また、各社間のシステムの連携が実現していないことが背景と考えられるが、「鉄道の乗車利便性」についても、満足度が低くなっている。

図6 現在利用している鉄道ICカードに満足していますか。(N=10,963)

図6 現在利用している鉄道ICカードに満足していますか。のグラフ

(2) 支払い方法は、ポストペイ方式をやや評価。

支払い方法に関する満足度について、プリペイド型(Suica,ICOCA)のサービスを利用している利用者と、指定の金融機関口座から自動引落しされる後払い方式のポストペイ型サービス(PiTaPa)を利用している利用者のそれぞれに分けて分析したところ、ポストペイ型であるPiTaPaのほうが評価されている。

図7 支払い方法、課金方法(ポストペイ・プリペイド)に満足していますか。

図7 支払い方法、課金方法(ポストペイ・プリペイド)に満足していますか。のグラフ

(3) 鉄道ICカードの共通化により、鉄道の使い分けなど、鉄道利用に変化がおこる可能性も。

鉄道ICカードのサービスは、現在はJR・私鉄間、私鉄各社間において「一枚のカードで、どの鉄道でも乗ることができる」といった十分な互換性がなく、システムの共通化が待たれるところである。将来的に鉄道ICカードの共通化が実現した場合、「これまでどおり、現在使っている鉄道を利用する」とした人は、48.9%と約半数であり、逆に「目的によって使い分ける」20.2%、「ポイントの付与の仕方によりお得な路線を選ぶ」8.5%、というように、他の鉄道へ切り替える可能性がある人も、一定割合で存在している。

図8 鉄道各社のICカードが共通化され、相互に利用が可能となった場合、鉄道利用に変化はありそうですか。(N=17,004 複数回答)

図8 鉄道各社のICカードが共通化され、相互に利用が可能となった場合、鉄道利用に変化はありそうですか。のグラフ

3. 鉄道ICカードの付加機能・今後のサービス拡充への期待

(1) 駅の売店や自販機、タクシーやバスをはじめ、あらゆるところで使いたい。

鉄道ICカードを電子マネーとして使いたい場所やサービスについては、「駅の中の売店等」が52.1%と最も多い。ついで「タクシーやバスなどの他の交通機関」が42.3%、「自販機(駅の外)」が40.5%、「駅に近い街中のお店(レストラン、コンビニ、ブティック、書店等)」39.3%となっている。鉄道ICカードの電子マネー利用は、駅を中心として活用範囲を拡大することが期待されている。

図9 鉄道ICカードを電子マネーとして使いたい場所、サービスは?(N=34,089複数回答)

図9 鉄道ICカードを電子マネーとして使いたい場所、サービスは?のグラフ

(2) 病院の診察券や社員証・学生証、行政カードなどの活用用途に期待。

鉄道ICカードが、電子マネーとしての決済機能にとどまらず、個人を認証するIDカードとして最も期待されている用途としては、「病院の診察券」が40.6%とトップ。ついで「社員証・学生証などの身分証明書」が39.1%、「印鑑証明や住民票発行時に使える行政カード」が34.0%となっている。

図10 電子マネー決済以外で、どんなサービスに期待するか?(N=28,532 複数回答)

図10 電子マネー決済以外で、どんなサービスに期待するか?のグラフ

NTTコム リサーチは、平成24年10月1日にエヌ・ティ・ティ レゾナント株式会社からNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社へ事業譲渡され、平成25年12月9日にgooリサーチより名称変更いたしました。gooリサーチの調査結果(共同調査含む)等についてはこちらまでお問合せください。

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