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環境報告書を公開する企業および読者の意識調査結果(2003年)

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企業の環境コミュニケーションは、報告から対話へ

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gooリサーチ結果 (No.55)

環境報告書を公開する企業および読者の意識調査結果

~企業の環境コミュニケーションは、報告から対話へ~

国内最大のインターネットリサーチ・サービス「gooリサーチ」(*1)を共同提供する株式会社NTT-X(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:中嶋 孝夫)と 株式会社三菱総合研究所(本社:東京都千代田区、取締役社長:谷野 剛、以下 三菱総研)は、一般消費者、および企業の環境報告書発行担当者に対する「環境報告書に関する意識調査」を実施しました。有効回答者数は企業調査が168社、読者調査が3,127名でした。

「gooリサーチ」における「環境報告書に関する意識調査」結果は、一昨年に引き続き4回目の公開となります。なお、本調査にあたっては「gooリサーチ」に加え環境情報ポータルサイト「環境goo」(http://eco.goo.ne.jp/)(*2)も連動し、会員へのアンケート、設問設定を行い、調査結果詳細内容の掲載も行います。

調査結果のポイント

企業の「環境報告書担当者」、および「環境goo」会員、「gooリサーチ・モニター」を含むユーザを対象に、環境報告書に関する意識調査を実施した。

企業の環境報告書発行率は企業規模によって大きな開きがあり、従業員1,000人未満の企業では約8割が「発行の予定なし」と回答した。

回答企業の環境報告書は、半数以上が 雇用の維持や弱者保護、消費者の安全、企業倫理などの「企業の持続可能性を報告するという考え方」に基づき、社会的活動と成果等の情報を取り入れ、環境報告書を多様なコミュニケーションツールとして活用している。

環境コミュニケーションの方法は、企業・消費者ともに、地域密着型の活動や対話型のコミュニケーション活動を重要視する割合が増加した。

読者である消費者において「企業が環境への取組みを伝える手段として環境報告書が有効な手段である」と感じている人の割合が昨年と比べ増加し、環境報告書を読むことで企業に対する信頼感、商品やサービスに対する信頼が高まるとする回答と共に半数を超えた。

《本調査およびシンポジウムに関するお問合せ先》

NTT-X 広報室:(Tel) 03-5224-5500、(E-mail) pr@nttx.co.jp
NTT-X goo編成本部 サービス部
山澤:(Tel) 03-5224-5290、(E-mail) info@ecomail.goo.ne.jp

《gooリサーチに関するお問合せ先》

NTT-X リサーチグループ:(Tel) 03-5224-5380、(FAX) 03-5224-5203

《gooリサーチに関するお問合せ先》

株式会社三菱総合研究所 産業・市場戦略研究本部
E-リサーチ事業推進室
石川、吉原:(Tel) 03-3277-0719、(Fax) 03-3277-0523
株式会社三菱総合研究所 広報部広報グループ:(Tel) 03-3277-0003

調査概要

調査企画・協力:後藤敏彦氏 (環境監査研究会、NER:環境報告書ネットワーク代表幹事)(*4)
川北秀人氏 (IIHOE:人と組織と地球のための国際研究所代表)(*5)
環境情報ポータルサイト「環境goo」

<企業(発行者)向け調査>

1. 調査方法 環境情報ポータルサイト「環境goo」上のインターネット・アンケート画面で回答
2. 調査対象 1)「環境goo」にアクセスするユーザ
2)「環境goo」企業会員(1,800社)
3)「gooリサーチ」モニター

※2)3)はメールでアンケート協力を依頼し、「環境goo」上のインターネット・アンケート画面で回答
3. 調査期間 平成15年10月2日(木)〜11月7日(金)
4. 総回答者数 168人(回答者の属性:図1参照)

<消費者(読者)向け調査>

1. 調査方法 「環境goo」上のインターネット・アンケート画面での回答
2. 調査対象 1)「環境goo」にアクセスする一般ユーザ 
2)「環境goo」個人会員
3)「gooリサーチ」モニター

※2)3)はメールでアンケート協力を依頼し、「環境goo」上のインターネット・アンケート画面で回答
3. 調査期間 平成15年10月2日(木)〜11月7日(金)
4. 総回答者数 3,127名(回答者の属性:図2参照)

調査結果について

【 企業(発行者)向け調査結果について 】

(1) 従業員が多い企業ほど報告書発行の割合が高い

回答企業全体の報告書発行率は21.4%で、「発行の予定なし」という企業が全体の6割以上を占める。発行率は企業規模によって大きな開きがあり、従業員5千人以上の企業では7割以上がすでに発行しているのに対し、1千人〜5千人未満の企業では35%、1千人未満の企業では発行率は7.5%にとどまっている。(図3)

図3. 環境報告書発行状況と従業員規模の関係(単位 %)

図3. 環境報告書発行状況と従業員規模の関係

(2) 多くの企業が報告書に社会性を盛り込んでいる

発行企業のうち8割近くが「印刷物とインターネットの併用」であり、「印刷物のみ」という企業は13.9%にとどまる。

発行企業および発行予定企業の報告書の内容としては「環境に特化したもの」は35%であり、「環境に一部社会性を入れたもの」が55%と半数以上を占めており、多くが環境だけでなく、雇用の維持や弱者保護、消費者の安全、企業倫理などの「企業の持続可能性報告という考え方」に関する社会的項目を取り入れていることがわかる。(図4)

図4. 報告書の内容(タイプ)

図4. 報告書の内容(タイプ)

(3) これから発行する企業では社内活動活性化をねらう意図が強い

報告書発行の目的としては「アカウンタビリティ(社会的説明責任)」とする企業が最も多く、続いて「企業イメージの向上(広報・宣伝)」である。

発行済みの企業と予定企業の考え方を比較すると、発行済企業では発行の目的に関するほとんどの項目で回答率が高く多方面への対応姿勢がうかがえる。発行予定企業では「内部の環境活動の改善」のウェイトが相対的に高く、特に従業員数1,000人未満の企業を中心にこれから発行しようとする企業では企業内部の活動の"テコ入れ効果"がねらいとしてあるものと考えられる。(図5)

図5. 環境報告書の発行目的(単位 %)【複数回答】

図5. 環境報告書の発行目的

(4) 地域密着型の双方向コミュニケーションへの指向が見られる

すべての企業で"意識して実行している環境コミュニケーション活動"として多くあげられたのは「地域での社会貢献活動」と「自社社員への環境教育・研修」で、いずれも全体の4割程度があげており、これらの活動は"今後力を入れて取り組みたい"ものとしても上位にあげられている。

ただし"実行している"割合に比べて"今後力を入れたい"割合が相対的に高いものとしては「自社ホームページでの情報発信」「サステナビリティ・レポートの発行」など社会性を含むより詳細な情報発信や、「地域の学校などでの環境教育支援」「一般向け工場見学会」「事業所単位の環境活動報告(サイトレポート)」など地域密着型の双方向コミュニケーション活動などであった。(図6)

図6. 環境コミュニケーション活動への取組み(単位 %)【複数回答】

図6. 環境コミュニケーション活動への取組み

(5) 環境情報提供に積極的な企業は、ステークホルダー・ダイアログ(利害関係者との対等な立場での対話)に関心が高い

ステークホルダー・ダイアログを「すでに実施している」または「実施を検討している」という企業はいずれも全体の3.8%にとどまるが、「今後実施を考えたい」とする企業は26.2%であった。

報告書発行企業や予定企業では「検討中」「考えたい」を併せると半数以上に達し、環境情報の開示に積極的な企業ではステークホルダー・ダイアログへの関心が高いことが分かった。(図7)

図7. ステークホルダー・ダイアログへの対応と報告書発行状況の関係(単位 %)

図7. ステークホルダー・ダイアログへの対応と報告書発行状況の関係

【消費者(読者)向け調査結果について 】

(1) 環境報告書の有効性に対する認識は高まっている

環境情報を知らせる媒体としての環境報告書の有効性については、「ある程度有効」との回答が、環境goo会員55.6%、gooリサーチモニターでも54.9%と高く、特にgooリサーチモニターでは「ある程度有効」の割合が昨年から8ポイント以上増加し、環境報告書の有効性への認識が高まっている。(図8)

図8. 企業の環境情報伝達方法としての環境報告書の有効性について(単位 %)

図8. 企業の環境情報伝達方法としての環境報告書の有効性について

(2) 環境報告書は相互理解、信頼感の向上に一定の寄与を果たしている

環境報告書を読んでコミュニケーション(相互理解)が「かなり深まった」は16〜18%、「やや深まった」は55%前後に達し、これらは昨年に比べて増加していることなどから、環境報告書が企業と読者の相互理解に寄与しているといえる。

また、読後、その企業に対する信頼感が「ある程度高まった」という回答が、gooリサーチモニターで35%程度あり、4割を超える「多少は高まった」という回答と併せ、環境報告書が企業に対する信頼感の向上にも一定の貢献を果たしているといえる。

さらにその企業の商品やサービスの魅力が高まったかどうかについて「非常に高まった」と「ある程度高まった」という回答を併せると回答者の4割近くに達し、報告書が商品やサービスに対しても信頼を高める効果が確認された。(図9)

図9. 報告書のコミュニケーション効果について(単位 %)

図9. 報告書のコミュニケーション効果について

(3) 企業の顔の見える活動への重視傾向

企業の環境情報を知るために効果的なメディアとしては「企業の自社ホームページでの情報発信」が最も高く支持されているが、そのほかの項目については、環境goo会員とgooリサーチモニターとで大きな差が見られる。より一般消費者の立場に近いgooリサーチモニターでは「マスメディアによる企業PR」や「マスメディアによる環境商品広告」が2番目、3番目にあげられ、マスメディアの影響力の強さを示している。

ただし全体としてマスメディアをあげる割合は昨年に比べ減少しており、gooリサーチモニターにおいても「マスメディアによる環境商品広告」の割合は昨年48.9%で選択肢中トップであったものが、今年は8ポイント低下して第3位となっている。

代わって上昇しているのは「自社ホームページでの情報発信」「環境報告書の発行」などといった、より具体的な解説型のメディアと、「地域での社会貢献活動」「自然保護活動」「学校などでの環境教育支援活動」「一般向け工場見学会」など、地域密着型あるいは対話型のコミュニケーションチャネルで、全体として、"企業の顔の見える"情報発信活動が重要視される傾向が現れている。(図10)

図10. 企業の環境活動を知るために有効な方法(単位 %)【複数回答】

図10. 企業の環境活動を知るために有効な方法

環境報告書シンポジウムについて

本調査結果をもとに、環境報告書に関するシンポジウムを開催します。シンポジウムでの討議内容については、平成16年2月下旬に「環境goo」上で公開する予定です。

名称 環境報告書シンポジウム2003
テーマ 「CSRコミュニケーションの深め方・つなぎ方」
日時 平成16年1月28日(水) 14:00〜16:30
コーディネーター 川北 秀人氏(IIHOE 人と組織と地球のための国際研究所代表)
パネリスト 出石 忠彦氏(富士写真フイルム株式会社 環境・製品安全推進部)
伊藤 利彦氏(株式会社イトーヨーカ堂 企業行動委員会事務局)
大竹 裕之氏(凸版印刷株式会社 商印事業部)
後藤 敏彦氏(環境監査研究会)
西条 江利子氏(環境gooユーザ代表)
主催 NTT-X (環境goo)
後援 環境報告書ネットワーク (NER)
協賛 NTTジーピー・エコ株式会社
株式会社中央青山サステナビリティ認証機構(中央青山監査法人グループ)
凸版印刷株式会社
場所 トッパン小石川ビル2F PLAZA21

※なお、参加につきましては既に募集を締め切らせていただいています。

調査結果データ

回答者属性

図1. 回答者属性(企業/発行者)

図1. 回答者属性(企業/発行者)

図2. 回答者属性(消費者/読者)(単位 %)

図2. 回答者属性(消費者/読者)

《 補足 》

(*1)【 gooリサーチ 】 http://research.goo.ne.jp/
ポータルサイト「goo」を運営するNTT-Xと、日本のリーディングシンクタンクである三菱総研の調査企画力、コンサルティング力が融合した、高品質で付加価値の高いeリサーチ・サービスです。携帯電話でアンケートに答える「gooリサーチ・モバイル」モニター(3.6万人)、キーパーソンのビジネスマンを中心とする「gooリサーチ・ビジネス」モニター(1.7万人)を含め、約21.2万人の登録モニターを擁し、消費者向け調査から、法人向け調査、海外調査まで、様々な市場調査ニーズに対応しています。(モニターの人数はいずれも平成16年1月現在)

(*2)【 環境goo 】 http://eco.goo.ne.jp/
NTT-Xが運営する日本国内最大の"環境情報ポータルサイト"。企業からコンシューマまであらゆるユーザの環境情報ニーズに対応しています。

NTTコム リサーチは、平成24年10月1日にエヌ・ティ・ティ レゾナント株式会社からNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社へ事業譲渡され、平成25年12月9日にgooリサーチより名称変更いたしました。gooリサーチの調査結果(共同調査含む)等についてはこちらまでお問合せください。

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