高速インターネットが急速に普及するベトナム
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アジア各国のICT事情について連載しているが、今回はアジアのインターネット普及率(Internet Penetration)と経済的な豊かさの関係を見てみたい。ネット普及率は、総じて国の経済的な豊かさと比例している。2012年時点でネット普及率が50%未満のアジア新興国をピックアップし、一人当たり名目GDP(Nominal GDP Per Capita)と比較してみた。
図1.各国のインターネット普及率と一人当たり名目GDP(2012)
ここで、気になるのはベトナムである。2012年のベトナムの国民一人当たり名目GDPは、1,528ドル(約132,500円)とインドと同水準にも関わらず、インターネット普及率は、はるかに高く30%を超えている。
また、2000年から2012年のインターネット人口の増加率は、155倍と驚異的な伸びを示している。起点となる2000年が同国のネット黎明期であることを勘案しても、この増加率は突出している。
図2.インターネット人口の増加率(2000-2012)
これは、政府主導の情報インフラ施策に起因している。ベトナム政府は2020年までにICT産業を180億ドルに拡大させる目標を掲げている。その実現のために、同年までに技術者を100万人に増やす計画もある。
さらに、国有の通信会社のブロードバンドを利用して近隣諸国よりも格安でインターネットが利用できる環境を整備し、2009年からは認可事業者による3Gモバイルサービスも始まっている。
この結果、2010年から2011年にかけての「100名あたりのブロードバンドインターネット契約数」は4倍に増加、そのうち「100名あたりの3Gモバイルの契約数」も2倍以上に伸びていることから、今後もモバイルでのブロードバンド利用が急速に普及していくものと思われる。
図3.100名あたりブロードバンドインターネット/3Gモバイル契約数
経済成長に先行して、ブロードバンド普及が急速に進むベトナム。PCでのブロードバンド利用が先行した日本とは異なり、モバイルで高速インターネットとつながっていく彼らが、どのようにICT産業を発展させていくのか、今後に注目したい。
(Unique LOOPER)
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