報道発表資料 2014年8月21日
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社
NTTコム リサーチ結果 (No.222)
「Twitterを利用した防災・減災情報」に関する調査結果
~Twitterを利用した防災・減災情報の活用について、
Twitter利用者の75.6%が「役に立つ」と回答~
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:塚本良江)が運営するインターネットアンケートサービス「NTTコム リサーチ」(※)は、「NTTコム リサーチ」登録モニターを対象に、「Twitterを利用した防災・減災情報」に関する調査を実施しました(有効回答者数1,074名)。
■調査の背景と目的
2014年7月、国土交通省は、災害の前兆現象をとらえるために、Twitter情報を活用する官民共同研究を始めると発表しました。Twitter情報をリアルタイムで分析し、災害の危険が高まっている地域を絞り込み、防災・減災に役立てる技術を確立する試みです。
また、2014年5月には、内閣に設置されている新戦略推進専門調査会の防災・減災分科会から「防災・減災におけるSNS等の民間情報の活用等に関する検討の素材」が提示され、防災・減災への民間情報の活用の必要性が様々な活用例とともにうたわれています。
このように、Twitter等のSNS上の情報を防災・減災に役立てようという取り組みは具体的な広がりを見せています。これを受け、NTTコム リサーチでは、Twitter利用者を対象とした「Twitterを利用した防災・減災情報に関する調査」を実施し、Twitter利用者自身は、防災・減災に対するTwitter情報の活用を有意義なものと捉えているのかについて調査を行うとともに、防災・減災情報に関するTwitter等のSNS利用実態を探りました。
その結果、Twitterを利用した防災・減災に関する民間情報の活用について、Twitter利用者の75.6%が役に立つと考えていることがわかりました。また、Twitterを1日5回以上利用するヘビーユーザー層では、「防災・減災情報について、Twitterでツイートしたことがある」と回答した人が65.5%にものぼり、Twitterのヘビーユーザー層は、防災・減災情報について自ら情報を発信する割合が6割以上となることが明らかになりました。
なお、本調査では「『災害』とは自然災害のみとし、交通事故等の人的災害は含まない」ものとしています。また、「『防災情報』とは「災害による被害を出さないことを目指す総合的な取り組みに関する情報のこと」、「『減災情報』とは災害時に被害を最小化させるための取組に関する情報のこと」としています。
調査概要
1. 調査対象 | 「NTTコム リサーチ」登録モニターのうち、 現在Twitterを利用していると回答した10代~60代以上の男女 (Twitterにユーザー登録のみしており利用はしていない人を除く) |
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2. 調査方法 | 非公開型インターネットアンケート |
3. 調査期間 | 2014年7月22日(火)~2014年7月31日(木) |
4. 有効回答者数 | 1,074名 |
5. 回答者の属性 | 【性別】 男性:542名、女性:532名 【年代】 20代以下:219名、30代:210名、40代:217名、50代:212名、60代以上:216名 【Twitter利用頻度】 ヘビーユーザー:148名、ミドルユーザー:290名、ライトユーザー:636名 ※Twitter利用頻度は、Twitterへのツイート、リプライ、リツイートを行う頻度で区分けを行った。ヘビーユーザーは「1日に5回以上」、ミドルユーザーは「1日に1~4回」、ライトユーザーは「1日1回未満」、ツイート、リプライまたはリツイートを行っている者である。 |
総括
(1) 防災・減災情報について、Twitterで情報を発信した経験があるのは42.3%
回答者全体の42.3%が、防災・減災情報について、ツイート、リツイート、リプライいずれかを行ったことがあると回答した。年代が若くなるにつれ、ツイートを行った経験がある人の割合が上がる傾向にあり、若い年代ほど防災・減災情報について自ら情報を発信していることがうかがえる。
(2) Twitterで発信したことのある防災・減災情報の種別は「地震」「台風」が半数以上
Twitterで防災・減災情報を発信した経験があると回答した人を対象に、発信した防災・減災情報の種別を聞いたところ、全体でみると「地震」が76.9%で最も高く、続いて「台風」(50.0%)、「大雨」(43.8%)と続く。
(3) ヘビーユーザーは平常時にも55.9%が防災・減災情報を発信している
Twitterで防災・減災情報を発信した経験があると回答した人を対象に、防災・減災情報を発信した時期を聞いたところ、全体では「災害発生直後」が68.9%で最も高くなっている。Twitter利用頻度別にみると、ヘビーユーザーは平常時にも55.9%が情報を発信している。
(4) 回答者全体の75.6%が、Twitterを利用した防災・減災に関する情報の活用は「役に立つ」
Twitterを利用した防災・減災情報の活用について、回答者全体の75.6%が「役に立つ」と回答した(「大変役に立つ」と「まあ役に立つ」の計)。Twitter利用頻度別にみると、利用頻度が高いほど「役に立つ」と考える割合も高くなっている。
(5) 「役に立つ」と考える理由は「他のメディアやツールより早く情報を流すことができるから」
Twitterを利用した防災・減災情報の活用について「役に立つ」と回答した人を対象に、役に立つと考える理由としてもっともあてはまるものを聞いたところ、「他のメディアやツールより早く情報を流すことができるから」が57.4%と圧倒的に高くなった。続く「他のメディアやツールより、情報を多くの人に広めることができるから」(15.0%)を42.4ポイント上回っている。
(6) 「役に立たない」と考える理由は「誤った情報・デマが流されるかもしれないから」
Twitterを利用した防災・減災情報の活用について「役に立たない」と回答した人(「あまり役に立たない」と「全く役に立たない」の計)を対象に、役に立たないと考える理由としてもっともあてはまるものを聞いたところ、「誤った情報・デマが流されるかもしれないから」が41.0%と最も高くなった。
<本件に関するお問い合わせ先>
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社
ビジネスインテリジェンス本部
URL: http://www.nttcoms.com/
メールアドレス:research-info@nttcoms.com
《 補足 》
■「NTTコム リサーチ(旧gooリサーチ)」 http://research.nttcoms.com/
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(http://www.nttcoms.com/)が提供する高品質で付加価値の高いインターネットリサーチ・サービスです。
自社保有パネルとしては国内最大級のモニター基盤(2014年8月現在 217万会員)を保有するとともに、「モニターの品質」「調査票の品質」「アンケートシステムの品質」「回答結果の品質」の4つを柱とした「クオリティポリシー」に基づく徹底した品質確保を行い、信頼性の高い調査結果を提供するインターネットリサーチとして、多くの企業・団体に利用されています。
なお、2013年12月9日に、モニター基盤の拡大を機にサービス名称を「gooリサーチ」から「NTTコム リサーチ」と名称を変更し、サービスを提供しています。
調査結果データ
(1) Twitterを利用した防災・減災情報発信経験
回答者全体の42.3%が、 防災・減災情報について、ツイート、リツイート、リプライいずれかを行った経験があると回答した。【図1-1】
年代別にみると、20代以下では「情報をツイートしたことがある」の割合が32.9%と他の年代と比べて高くなっている。また、年代が若くなるにつれ情報をツイートした経験が高くなる傾向にある。このことより、若い年代ほど防災・減災情報について自らが情報の発信源となっていることがうかがえる。【図1-2】
Twitter利用頻度別にみると、ヘビーユーザーでは「情報をツイートしたことがある」が65.5%と、全体を37.1ポイント上回った。【図1-3】
【図1-1】 Twitterを利用した防災・減災情報発信経験(複数回答)
【図1-2】 Twitterを利用した防災・減災情報発信経験[年代別](複数回答)
【図1-3】 Twitterを利用した防災・減災情報発信経験[Twitter利用頻度別](複数回答)
(2) 情報を発信した経験のある災害の種別
防災・減災情報について、Twitterで情報発信経験のある人たちは、どのような災害についてTwitterを利用しているのだろうか。
全体でみると「地震」が最も高く、76.9%となった。また、いずれの年代、利用頻度においても、「地震」が最も高くなっている。他の災害の種別では、「台風」についても全体の50.0%が情報を発信した経験があると回答した。【図2-1】【図2-2】
【図2-1】 Twitterで情報を発信した経験のある災害の種別[年代別](複数回答)
【図2-2】 Twitterで情報を発信した経験のある災害の種別[Twitter利用頻度別](複数回答)
(3) 情報を発信した経験のある時期
どのような時期に防災・減災情報は発信されているのだろうか。防災・減災情報が多く発信される時期がわかれば、どのような災害フェーズでTwitterを利用した防災・減災情報の活用が可能かのヒントになるだろう。
防災・減災情報について、Twitterで情報発信経験のある人を対象に、どのような時期に防災・減災情報を発信したか聞いたところ、全体では「災害発生直後」が68.9%で最も高くなっている。Twitter利用頻度別にみると、ヘビーユーザーは平常時にも55.9%が情報を発信している。ヘビーユーザーのうち防災・減災情報を発信した経験のある人の半数以上は、災害の有無にかかわらず、普段から防災情報をTwitterに発信していることがわかった。【図3】
【図3】 情報を発信した経験のある時期[Twitter利用頻度別](複数回答)
(4) Twitterを利用した防災・減災情報の活用は役に立つと考えるか
官公庁や自治体などでは、Twitterを利用した防災・減災における民間情報の活用に関する取り組みが進められているが、Twitter利用者自身は、Twitterを利用した防災・減災情報の活用についてどう考えているのだろうか。
なお、具体的な活用事例としては以下のようなものが挙げられる。
◆活用事例その1:長野県佐久市における活用
2014年2月の大雪の際、長野県の柳田佐久市長は、Twitterを使って市民から情報を収集し、対策に活用した。
◆活用事例その2:国土交通省の研究
2014年7月、国土交通省は、災害の前兆現象をとらえるために、Twitter情報を活用する官民共同研究を始めると発表した。Twitter情報をリアルタイムで分析し、災害の危険の高い地域を絞り込み、防災・減災に役立てる技術を確立する試み。
上記のような活用事例を提示し、Twitterを利用した防災・減災情報の活用は役に立つと考えるか聞いたところ、全体の75.6%が「役に立つ」と回答した(「大変役に立つ」と「まあ役に立つ」の計)。Twitter利用頻度別にみると、利用頻度が高いほど「役に立つ」と考える割合が高くなっている。【図4】
【図4】 Twitterを利用した防災・減災情報の活用は役に立つと考えるか[Twitter利用頻度別]
(5) 役に立つと考える理由
それでは、Twitterを利用した防災・減災情報の活用が役に立つと考える理由は何だろうか。「Twitterを利用した防災・減災情報の活用は役に立つ」と回答した人(「大変役に立つ」と「まあ役に立つ」の計)を対象に、役に立つと考える理由として最もあてはまるものを聞いたところ、「他のメディアやツールより早く情報を流すことができるから」が57.4%と圧倒的に高くなった。続く「他のメディアやツールより、情報を多くの人に広めることができるから」(15.0%)を42.4ポイントも上回っている。Twitter利用者にとって、Twitterの強み・役に立つポイントは「即時性」であると考えられているといえる。【図5】
【図5】 Twitterを利用した防災・減災に関する情報の活用が役に立つと考える理由(単一回答)
(6) 役に立たないと考える理由
「役に立たない」と回答した人の理由は何であろうか。「Twitterを利用した防災・減災情報の活用は役に立たない」と回答した人(「あまり役に立たない」と「全く役に立たない」の計)を対象に、役に立たないと考える理由として最もあてはまるものを聞いたところ、「誤った情報・デマが流されるかもしれないから」が41.0%と最も高くなった。一方、「「やばい」「すごい」などのつぶやぎ程度で、有意義な情報が集まるとは思えないから」は10.3%と1割にとどまった。この結果より、「役に立たない」と回答した人は、「無意味・無益な情報が多くなる」ことよりも、「誤った情報・デマ」に対する不安や懸念が大きいことがうかがえる。【図6】
【図6】 Twitterを利用した防災・減災に関する情報の活用が役に立たないと考える理由(単一回答)
それでは、誤った情報・デマへの対応はどうすればよいのだろうか。2014年5月に、内閣に設置されている新戦略推進専門調査会の防災・減災分科会から提示された「防災・減災におけるSNS等の民間情報の活用等に関する検討の素材」には、デマへの対応について判断の目安が記載されている。
具体的には、「つぶやきが同一内容の再送、コピーばかりであるとき(例:「暴動発生した」「Re:暴動発生した」「Re:暴動発生した」等ばかり)や、関連情報が「~らしい」など伝聞調ばかりのときは、デマの可能性が高いという。実際に大事故等が起こった場合は、複数人が目撃しているので、複数の表現が混じった情報になるからだ。技術的には、解析ツールを利用すれば、再送のツイートを削除することも可能である。
実際に情報発信源となるTwitter利用者自身は、Twitter上の防災・減災情報の活用に対しては概ね肯定的である。官公庁や自治体等が、Twitter上の情報を防災・減災に活用する際は、利用者から懸念されている「誤った情報・デマ」について、対応方針を明確に打ち出し、正確な情報を収集する技術を活用していることを、Twitter利用者に理解してもらうことがポイントとなるといえよう。