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メディアの主役はインターネットへ

トレンド 流行る廃る

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テーマ「流行る廃る」

中高年にも実用ツールとして定着

20世紀末から急速に普及し、情報入手の主要ツールとなったインターネット。しかし、現在では単なる情報入手ツールにとどまらず、コミュニケーション・ツールとして不可欠の存在になっている。しかも、必要な時に必要な情報を取り出せるという意味では、既存の活字や放送より利便性が高いため、メディアの世界においても主役といっていい存在になっている。

総務省の「通信利用動向調査」によると、2005年末の日本におけるインターネット利用者数は8529万人で、人口普及率は66.8%に達する(図1)。97年末に比べ利用者数および人口普及率は、ともに7倍を超える水準に拡大している。当初はパソコンからのアクセスがメーンだったが、携帯電話などからもアクセスできるようになり、自宅や会社以外のどこからでもアクセスできるようになった。パソコンや携帯電話などを併用する人が最も多く、TPOを使い分けているという状況だが、携帯電話などの端末からのみアクセスする人も1921万人、全体の22.5%も存在する。どこからでも利用できるメディアとして、インターネットが重視されていることを示しているとも考えられる。

図1 インターネット利用者数及び人口普及率の推移

同じく総務省の「家計消費状況調査(IT関連項目)2006年平均」によって、インターネットの使われ方をみてみると、情報収集が全世帯の43.2%(インターネット利用者のいる世帯では86.1%)でトップ、次いで電子メールが29.4%(同58.6%)、インターネットショッピングが17.8%(同35.5%)となっている。注目すべきは、インターネットショッピングで、インターネット利用者世帯では3世帯に1世帯が経験している。単なる情報のやり取りだけでなく、メディアとして活用し、そこを通じて商取引が成り立っているわけだ。

家庭のパソコンからインターネットを利用している人の年齢構成の推移を調査しているネットレイティングスによると、最近は年齢構成に大きな変化が現れているという。20%を超えていた20歳代の利用が12%程度まで落ち込む一方で、40歳代以上の中高年の利用が着実に増加している(図2)。特に50歳代以上では、株式のオンライントレードなどに利用している比率が高いほか、新聞社などのメディアにアクセスしている比率が高いとしており、中高年層にも実用ツールとして定着してきている。20歳代の場合、携帯電話の機能向上で、よりカジュアルに利用されているとも考えられる。

図2 ウェブ利用者全体の年齢構成比の推移

拡大する市場規模、一方で安全対策も不可欠に

野村総合研究所が2006年12月に発表した11年までの国内IT主要市場の規模とトレンドについてのレポートによると、消費者向けのEC(電子商取引)の市場規模は、2006年度の3兆8200億円が11年度には6兆4300億円に拡大すると予測している。また、インターネット広告(この項目については暦年)は、2006年の3554億円が2011年には7417億円に達するものと予測している。

前出の総務省「家計消費状況調査(IT関連項目)2006年平均」でも、商品やサービスを購入するためにインターネットを利用した割合が、年々増加の傾向を示しており、生活の中での選択肢の1つとなってきていることを示している(図3)。

図3 商品・サービスの購入のためのインターネットの利用状況

また、gooリサーチとインターネットコムが2007年1月に共同で行った調査によると、インターネット広告について、テレビCMなどで「○○を検索してください」と検索キーワードを呼びかけるクロスメディア広告を見たことがある人は60.9%おり、そのうちの32.2%が実際に検索しているとの結果が出ている。同じく2月に行った「ネット上のチラシサイト」に関する調査では、現時点でチラシサイトを利用したことがあるとの回答は17.9%にとどまったものの、「インターネット上で自分の住む地域などの折込チラシを見られるサイトを今後利用したいか」との問いには約58.4%が「利用したい」と回答している。信頼性と利便性向上による消費者向けEC市場の拡大や新たなクロスメディア手法によるインターネット広告市場の拡大は、時代の趨勢であり、インターネットがメディアの中核になっていくことは否定できない。

ただし、光があれば影ができるのも事実。影をいかに抑制するかによって、光の輝きにも違いが生じてくる。インターネットの影といえば、コンピュータ・ウイルスや不正請求や詐欺などのサイバー犯罪などということになる。

独立行政法人・情報処理推進機構によると、コンピュータ・ウイルスの検出数は2005年第4四半期をピークに減少傾向にあり(図4)、届出件数も減少傾向にある。

図4 ウィルス検出数の推移(2005年10月〜2007年3月)

メール機能を悪用したウイルスへの対策がとられ、蔓延する状況が減少してきたためとみている。一方で、同機構によると、2007年第1四半期の不正アクセスの届出は、届出件数が68件に対し、被害があった件数が45件あり、2006年第4四半期に比べ被害率が悪化している。

警察庁が2007年2月に発表した「2006年のサイバー犯罪の検挙及び相談状況について」においても、不正アクセス禁止法違反での検挙件数は前年を426件上回る703件と急増している。また、ネットワーク利用犯罪も782件増の3593件と増加傾向が続いている(図5)。かつては海外からの不正アクセスが多かったものの、最近は国内からのものが増え、高度なコンピュータ技術を悪用したものが急増したとしている。ネットワーク利用犯罪では、インターネット・オークション詐欺が多発し、こちらも犯行の組織化・高度化がみられるとしている。

図5 サイバー犯罪の検挙件数の推移

安全性が確保されてこそ、インターネット関連の市場規模は拡大するのは論をまたない。セキュリティ啓発機関やサイバー犯罪取締り当局の活動はもちろん、利用者自身もセキュアな環境を整備したうえで利便性を享受するという姿勢が求められる。

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