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どちらが人気?海外旅行と国内旅行

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好調な海外旅行

国土交通省の「平成18年度版観光白書」によると、日本人の3割以上が今後の生活で最も重点を置きたいことは「レジャー・余暇生活」だと答えた。その内容について、1位が「海外旅行」、2位が「国内旅行」と多くの人が旅行を挙げ、活動的に余暇を過ごす現代人の姿が浮き彫りになっている。

特に好調なのが海外旅行だ。「観光白書」によると、海外渡航が自由化された1964年には13万人だった海外旅行者数は、1990年に1000万人台を突破し、2000年には1782万人と過去最高を記録(図1)。

図1 海外旅行者数の推移

その後起こった米国同時多発テロや新型肺炎(SARS)、イラク戦争の影響で一時は渡航者数が激減したものの、2004年に大幅に回復し、2005年には1740万人と史上2位の数字をマークした。海外渡航は政情不安から減ったり、円高で増えたりと景気や国際情勢によって左右される分野だが、日本人の海外旅行に対する潜在的な需要は依然高い。「外国旅行者数国際ランキング」によると日本は世界15位、アジアではマレーシア、中国に続き3位にランクインしており、世界的に見ても日本は海外旅行好きな国だということがわかる(図2)。

図2 外国旅行者数国際ランキング(2003年)

では、渡航者はどの国を旅しているのだろうか。(財)アジア太平洋観光交流センターの「世界観光統計資料集」をみると、2000年に526万人いたヨーロッパへの渡航者は年々減少し、2005年には324万人まで落ち込んでいる(図3)。また、北アメリカは同時多発テロやイラク戦争の影響で渡航者が激減していたが、近年は急速に回復しており、根強い人気。しかし最も大きな動きと言えば、アジア・太平洋地域への旅行者の増加だ。特に中国、台湾、韓国などの東アジア方面が急増しており、日程も費用も必要なヨーロッパ方面よりも、手頃な値段や短期間で行ける近距離エリアへの旅行が主流となっている。

図3 日本人の目的地別海外旅行者数の推移

国内旅行のテーマは「癒し」

一方、国内旅行はどうだろうか。前出の「観光白書」をみると、1965年に5100万人だった国内宿泊観光旅行者数は、大阪万博が開催された1970年に1億人、バブル最盛期だった1991年に2億人を突破。しかし、その後の景気低迷と海外旅行人気の打撃で国内旅行はジリ貧が続き、2004年には1億5100万人まで落ち込んでいる。とはいえ、数の上では海外旅行者の約10倍の人が国内旅行を楽しんでいる計算になり、国内の人気が失われたわけではない。2005年の「国内観光旅行の回数および宿泊数」をみても、国内旅行に出かける回数は年平均約2回、宿泊数は約2泊となり、むしろ増加傾向にある。

最近の国内旅行のキーワードは「癒し」。gooリサーチの「観光振興に関する意識調査」によると、国内旅行では「温泉やクア施設でゆっくり癒されたい」と考えている人が9割以上にのぼっている(図4)。海外と国内を比較してみても、海外では「世界遺産などの大自然を堪能したい」という人が圧倒的なのに対し、国内では「温泉でゆっくりしたい」という人がダントツで多い。海外はアクティブに、国内はのんびりと、という目的に応じた棲み分けが進んでいるようだ。

図4 観光旅行の目的

温泉地別にみると、有名温泉地が今も昔も変わらない人気。旅行雑誌「じゃらん」の調べによると、「もう一度行ってみたい温泉地」のナンバー1に箱根温泉、「行ったことはないが、一度は行ってみたい憧れの温泉地」に由布院・湯平温泉が選ばれている。

20代は旅控え、シニア世代は遠出

最近の旅行業界では手頃な値段で近場へ短期間出かける、いわゆる「安・近・短」スタイルが定番となっている。gooリサーチの「長期休暇での旅行」に関する調査でも、旅行日程について半数の人が「3日以内」と答えており、「4〜6日」と答えた人を合わせると8割以上の人が1週間未満の旅行を検討している。旅行予定先についても78.5%が「国内」、9.5%が「アジア」と回答。1人当たりの年間旅行費用は「5万円以下」が44.8%で、10万円以下の人が7割を占めた。

しかし、年代別の旅行費用では大きな違いが表れてくる。20代は半数が「5万円以下」と答えたのに対し、40代では「5万円超〜10万円以下」、50代では「10万円超〜15万円以下」の割合が高くなり、年齢とともに費用が高額になっている。これは個人旅行が多い10代〜20代から、40代は子連れで国内を家族旅行、50代以降は夫婦だけで海外旅行に行くといった風に、世代とともに旅行のスタイルが変わるのが理由だろう。

2007年に団塊世代が一斉に退職するのを受け、今後はシニア世代の旅行者が増えると予想されている。大手旅行会社JTBの調査によると、定年退職を迎える人の50.2%が「退職記念旅行を予定している」と回答。行きたい旅行地は1位が「ヨーロッパ」、2位が「北海道」で、旅行期間は1週間〜10日間、1人当たりの平均予算は29万6000円となっている。これまで行けなかった、比較的遠距離の場所へ夫婦でゆっくりと旅したい、というのがシニア旅行の特徴と言そうだ。

また、年齢・性別で海外旅行者を分類すると、最も海外旅行に出かけているのは30代。男性では30代が22.4%と最も多いが、40代、50代ともに20%台で、60代以上でも15.5%と世代が変わっても大きな変化はない(図5)。

図5 日本人海外旅行者の性別・年齢階層別構成比

ただし、20代だけは12.1%と他の年代に比べると極端に低く、しかも5年前より減少している。一方の女性は20代が24.9%を占めて最も多く、以降30代、40代と減少した後に50代から再び増加に転じる。結婚前にアクティブに旅行した後、子育てが一段落してから再び旅に出る女性の姿が浮かび上がる。しかし、20代女性の旅行者数も5年前より減少しており、全体的に20代の旅行離れが目立っている。進む少子高齢化社会の中で、今後もこの傾向は強まっていきそうだ。

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