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テーマ「学ぶ」

学習人口3000万人超、広がる生涯教育

生涯学習とは、通常の学校教育を終えた後も趣味や教養を高めるため、キャリアアップのため、充実した人生のために生涯にわたって一人一人が行う自発的な学習のこと。特に中心的なのが社会人学習だが、かつてはカルチャーセンターや通信講座など限られた機会しかなく、仕事との両立ができないなど、忙しい現代人には敷居が高かった。しかし、少子高齢化が進み、激しい国際競争の中で仕事に直結した知識や資格の獲得したり、心身の健康や生きがいを得ることは、いまや不可欠になっている。最近では、社会人を受け入れる大学の増加や講座・施設の充実など、社会人の"学び"が急速に身近になってきた。

文部科学省がまとめた「学習人口の現状」をみると、義務教育からお稽古事まで日本人の学習スタイルが、あらゆるライフステージに広がっているのがわかる(図1)。

図1 学習人口の現状

このうち、教育委員会や公民館、地方自治体など公共機関が行っている講座の受講者数を「生涯学習人口」とすると、生涯学習人口は1989年に延べ約2200万人だったものが、2001年には延べ3000万人を突破するなど増加傾向にある(図2)。これに図1にある民間のカルチャーセンターなどや大学の公開講座、通信教育などを含めると、その人口は延べ4000万人近くに上ることから、生涯学習の裾野が確実に広がっていることが実感できる。

図2 生涯学習人口の推移

また、なぜ学習をするのかという問いに対しては、世代や性別を問わず、「人生を豊かにできるから」(54.5%)、「知識や技術を高められるから」(53.5%)といった自己啓発的な回答が多い(図3)。年代別の中で特に目立つのが、団塊世代(56〜58歳)。「人生を豊かにできるから」(69.0%)、「知識や技術を高められるから」(72.4%)はいずれも平均を大きく上回っており、自己啓発意識が高いことがわかる。団塊世代が大量退職する2007年。リタイア後に学習を始めようという人も多いのではないだろうか。

図3 学習を行う理由

社会人大学院生が4万人を突破

生涯教育の一環として、最近、特に注目されているのが社会人の大学・大学院生の急増だ。かつて、大学の社会人入試は限られた学校しかなく、しかも昼間部が圧倒的で仕事との両立は非常に困難だった。それが社会のグローバル化や終身雇用の崩壊などで、キャリアアップのために資格を必要とするようになり、講座を受講する社会人が増加。それと同時に閉鎖的だった大学が、少子化によってより開かれた大学へと変化し、夜間部を新設したり、通学しやすい都心部にサテライトキャンパスを設置したりするなど、大学が社会人を受け入れる体制が広がっていった。従来の筆記試験ではなく、小論文と面接による「社会人特別選抜」が導入されたことで、ハードルがグッと低くなったことも大きな要因といえそうだ。

特に近年、急速に増えているのが大学院だ。2000年には大学院入学者数は2万4897人だったものが、2005年には約4万5000人と倍増。そのうち約2割を社会人が占めている (図4)。

図4 社会人学生数(大学院)の推移

さらにアカウンティングスクールの会計大学院など、特定分野のプロフェッショナル育成を目的に2003年に制度化された「専門職大学院」などの専門職学位過程(法科大学院を除く)に在籍する社会人は全体の58.9%と高い比率になっている(図5)。企業研修の一環として社員を大学に派遣するケースもあり、「会社に行きながら大学へ通う」のも当たり前の時代になるのかもしれない。

図5 年齢別入学状況

通信講座、eラーニング...学習スタイルはより身近に

しかし、学びたい気持ちはあるものの、自己負担で忙しい時間を割いて通学するのは簡単なことではない。厚生労働省の「能力開発基本調査」をみても、学習の制約要因について「忙しくて自己啓発の余裕がない」と答えた人が約半数、「費用がかかりすぎる」が3割を占めている。継続的に続けることが前提の生涯学習では、やはり「近距離で安価」が一つのキーワードになりそうだ。

社会人向けの教育サービスでは、資格取得学校やカルチャーセンターが堅調なのに加えて、ここ数年は通信教育やeラーニングが増加傾向にある。通信教育については、さまざまな講座が開講されているが、2006年のgooランキングでは「習ってみたい通信教育の趣味・実用講座ランキング」は1位がペン字、2位が語学、3位が料理。「習ってみたい通信教育の資格講座」についてはTOEIC、ファイナンシャルプランナー、行政書士、医療事務となっている。

また、インターネットの普及とともに、eラーニングは企業研修や社会人の自己啓発のツールとして今後拡大していきそうだ。gooリサーチの「『大学の講義の公開』に関する調査」によると、「大学の講義内容を見られるwebサイトを利用したい」と答えた人は83.5%と大半を占めた(図6)。利用目的については「趣味や教養のため」が7割となっているが、受講したい講義は、「資格取得に直接結びつくような講義」という実用的な内容を求める声が5割以上と最も多かった。趣味と実用の両面で、自宅学習のコンテンツをインターネットに求める人は、今後も増えていきそうだ。

図6 大学の講義内容が見られるWebサイトの利用意向

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