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「進化する日本力」アンケート・ビジネスマン編

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先端技術の中に息づく匠の精神。匠の技の継承が今後の課題に

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gooリサーチ と 日刊工業新聞 による共同企画調査

goo日刊工業新聞2004年3月25日40面より

gooリサーチと日刊工業新聞による共同企画調査<第1弾>

「進化する日本力」アンケート

~ビジネスマン編~

日刊工業新聞社はエヌ・ティ・ティ エックス(NTT-X)と共同で、ビジネスマンを対象に「進化する日本力(にっぽんぶらんど)」に関する企業アンケートを実施した。回答者数は1160人で、日本力として思い浮かべるもの(3項目を選択)は「匠の技」が49.1%と最も多かった。「自動車」の47.3%をわずかながら上回っており、地味ながら高機能・高品質製品の生産を下支えしている技能に強い信頼感を抱いている実態が明らかになった。3、4位は「アニメーション」、「生産技術」。回答者を勤務先企業の売上高別に分析しても、上位4項目は同じだった。

調査結果について

ビジネスマン1160人が選んだ日本力は「匠の技術」「自動車」に、「アニメーション」が41.1%で続いた。

自動車産業がグローバル競争で検討していることや、アニメが海外で"ジャパニメーション"といわれるほど日本のオリジナル文化として認識されていることに日本力を認識しているようだ。4位は「生産技術」で35.0%。「日本力アンケート、企業編」では全回答者の66.1%で首位だったのと比べれば、比率は低かった。以下「家電」23.5%のほか、「ナノ、バイオなどの先端テクノロジー」「清潔・勤勉・誠実・忍耐力など」の順となった。

【図1】ビジネスマンが選んだ日本力

回答者を勤務先企業の規模別で分析したところ、上位4項目は変わらなかった。売上高が1億円未満の企業に勤めるビジネスマンで(回答者の23.1%)は「匠の技」が50.8%でトップ。以下、「アニメ」42.2%、「自動車」 41.0%、「生産技術」36.2%となった。(【図2】)

これに対し、売上高が500億円以上の大企業勤務者(同31.4%)の場合、1位は「自動車」で50.0%、次いで「匠の技」が45.6%で、1億円未満の中小企業のサラリーマンとは僅差ながら逆転した。3、4位は「アニメ」「生産技術」だった。(【図3】)

【図2】勤務先規模別の分析(売上高1億円未満)

【図3】勤務先規模別の分析(売上高500億円以上)

1位:匠の技

◆先端技術の中に息づく匠の精神◆〜匠の技の継承が今後の課題に〜

今回のアンケートでは選択した三つの項目の中から特に1項目を選んで、それについて考えを記述してもらった。全ビジネスマンではここでも「匠の技」を選択した人が21.0%で2位の「自動車」の17.3%を引き離した。書き込みでは、「日本独自の『匠の技』とその精神性みたいなものは、現在の日本力といえる先端テクノロジーやアニメなどにも引き継がれているように思う」、「職人の細かい技は他の国の人々にはできないと思っている」など、日本人ならではの技能を評価するものが目立った。

半面、「効率化重視で職人の技やモノづくりの現場をないがしろにし過ぎ。機械を盲信しすぎ。その結果、力のない技術者ばかりが育ち、日本の工業力も落ちてしまっている」、「職人の技術でしか製作できないものがあり、それが先端技術を支えていると考えると誇りに思うが、その技術継承が行われているのかどうか。技術の応用の研究がされているか聞くことは少なく、不安に感じることも多い」など、現状を憂う声や、「先人たちの技術、伝統を残していってほしい」など、伝承を求める意見も目立った。

2位:自動車

◆細部にまで配慮かつ低価格販売◆〜代表格は「トヨタ」〜

書き込みで「匠の技」に次いだのが「自動車」。ここでは「世界一品質が高く、世界に誇れる技術を持っている」「ハイブリッド車をはじめとする環境に配慮した車について、日本車メーカーが世界をリードしているようだが、そのことに日本人として誇りを感じる」など、技術力への信頼が大きいようだ。

また、「細部にまで顧客の使い勝手とか気持ちを考えて、なおかつ大量に安く販売できる会社はないと思う。日本人だからこそできたことだと思う」と、日本の企業としての総合力を評価する見方も。また、「トヨタは世界一になると思う」など、目下快進撃中のトヨタ自動車そのものを日本力の代表格にあげた書き込みは20件以上あった。

「日本は自動車を中心に回っていくのではないか」など、将来的にもリーディング産業であり続けるとする記述も目立った。もっとも「日本の製造業の中で自動車会社のみが多大な利益をあげることができるのか。また、家賃などと比較してなぜ自動車は価格破壊が進まないのか、少し不思議」と、率直な疑問も。

3位:アニメーション

◆世界で評価「アニメ」健闘◆〜産業として国は補助を〜

企業編では全回答者が三択で3.4%しか選ばなかった「アニメーション」が、ビジネスマンでは41.1%と大きな支持を集めた。記述では、「日本のアニメは世界中で評価され受け入れられていると思う。大抵どの国でも放映されている」といった評価が多いうえ、「世界でこれだけはオンリーワンで、映像産業や芸術界などの創作物に多大な影響を及ぼしている」「ジャパニメーション、ゲームなどは今後の日本を代表する文化・産業になるものと信じている」など、創造的文化として世界に発信していることに胸を張る声が多い。

ただ、「アニメは世界に負けない輸出産業だと思うが、低賃金でアニメーターが少なくなっており、国は産業として補助していくべき」といった提言も寄せられた。

4位:生産技術

◆「創意工夫の蓄積」力に◆〜海外拠点への技術流出懸念〜

三択で4位の「生産技術」については、「生産技術に関する創意工夫の蓄積が日本の力。継続が最も重要」「QC運動、カンバン方式など、知恵の部分は日本ブランドだと思う」など、高品質な製品を効率よく生産するために「カイゼン」などで進化してきたことを評価するものが多かった。

その一方で、海外への生産拠点シフトへの懸念を示す声も多い。「技術の流出、技術者の流出で『コア技術』のドーナツ化現象が起きつつあると感じる」や「日本の生産技術は日本人でなければ維持できない。人件費の高さだけで海外に生産拠点を流出させるのは最終的には日本の地盤沈下を招く」といった考えも示された。また、「教育システムが生産技術を支える優良な技術者を生み出すようになっていない」と、教育のあり方を問題視する記述もあった。

5位以下

◆「ナノテク」にも期待◆〜日本再生のカギ握る〜

三択で23.5%と5位だったのが「家電」。自由記述では「家電という世界中の一般庶民に普及するモノに対するブランド力こそがニッポンブランドでないか」と、世界に製品が浸透していることを評価する意見のほかに、「情報家電はこれから立ち上がってくる市場で、日本のIT・家電双方の技術を活用し得るおもしろい市場」など、情報家電をはじめ、薄型TVやデジカメなど新三種の神器の今後に期待する声が多かった。

23.0%で6位の「ナノ、バイオなどの先端テクノロジー」では「バイオでは米国にかなり後れをとったが、ナノテク分野では日本力がかなり発揮されていると思う」、「ナノテクが日本再生のカギ」といった記述が目立ったが、「最先端の技術は日本が一番だと思うが、それを企業や行政はうまく使い切れていない」などの指摘もあった。

20.1%で7位の「清潔・勤勉・誠実・忍耐力など」では「日本が国際社会で強い生産技術を持ち得たのは、日本人が基本的な教えとしてきた清潔、勤勉、誠実、忍耐力などの価値観がある」との認識が多い。ただ「日本人は勤勉すぎる」、「特にサービス行などでみられるが、最近はサービスの本質の向上より無駄な過剰サービスなど、変な方向に生かされてしまっているような気がする」と、マイナス面とする見方もあった。

一方、企業編では全回答者が三択で29.0%選び3位だった「中小企業」は、ビジネスマン編では13.3%にすぎず10位。書き込みでは、「中小企業の技術力の努力で大手メーカーの技術力も維持できている」、「技と頭脳の両面を生かした小回りのきく小企業がクローズアップされる時代になる」など、その実力を評価する見方が目立つ。半面「真実、日本を支えているのは中小。大手のコストダウンなどのしわ寄せがそちらに向かうのは長期的に自分の首を締めているのも同然」など、社会の現状に警鐘を鳴らす意見もあった。

<調査概要>

  • 実施期間: 2004/02/19~2004/02/19
  • 有効回答数: 1,160

NTTコム リサーチは、平成24年10月1日にエヌ・ティ・ティ レゾナント株式会社からNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社へ事業譲渡され、平成25年12月9日にgooリサーチより名称変更いたしました。gooリサーチの調査結果(共同調査含む)等についてはこちらまでお問合せください。

この調査結果の単純集計を無料にて提供しています。

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