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「結婚」に求めるものが変わっている

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結婚しない男女が増え続けている

未婚率が上がり続けている。「国勢調査」と「人口統計資料集」をベースに作成された「年齢別未婚率の推移」を見ると、25〜29歳の男性の未婚率は遂に70%ラインを超えて71.4%。20代ならば、そんなものだろうと感じてしまうが、30年前の1975年にはまだ50%に届いていなかったのだ(図1)。

30代になっても未婚率は高く、30〜34歳で47.1%と、半分が結婚していない。これも1975年を見ると、なんと14.3%。当時は"30にもなれば"、7人のうち6人が世帯を持っていたのである。当然、女性の未婚率も上昇している。25〜29歳で59.0%。これも30年前はまだ20.9%だった。30〜34歳でも32.0%で、3人に1人が結婚していない。1975年は実に7.7%で、ほぼ13人に1人だ。あらためて数字を見ると、この30年の変化はすごい。

さすがに、いわゆる生涯未婚率とされる50歳時の未婚率となると、男女ともぐんと下がる。それぞれ15.4%と6.8%だ。とはいえ、いずれも上昇基調にあるのは変わらないし、上がり続ける一方の単身世帯数の推移を考え合わせると、今後、生涯未婚率もさらに目立った数字になると見たほうが自然だ。というのも、厚生労働省の「人口動態統計」によれば、2004年の平均初婚年齢は夫が29.6歳で妻が27.8歳。確かにこれも上がってはいるものの、24年前の1980年と比べても妻の上昇分はわずかに1.8歳にすぎない。つまり、晩婚率が上がって年齢別未婚率が上がり続けているのではなく、結婚しない男女が増えているということになる。

図1 年代別未婚率の推移

結婚していない理由は何か

なぜ、結婚という人生の選択肢は軽くなったのだろうか。

国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」によれば、結婚するつもりがないわけではないらしい。2002年の「結婚への意向の割合」を見ると、「いずれ結婚するつもり」と回答した比率は男女とも90%台の半ばに近い。一方、「一生結婚するつもりはない」と答えた男女は、それぞれ6.1%と5.7%。目立った上昇を示していないどころか、1997年と比べるとむしろ下がっている(図2)。

図2 結婚への意向の割合

ならば、「結婚していない理由は何か」。この設問に対しては、若年独身男性(20〜32歳)、継続独身男性(33〜49歳)、若年独身女性(20〜30歳)、継続独身女性(31〜49歳)の別なく、「適当な相手にめぐり会わないから」が他を大きく引き離してトップの回答である。それでは「適当な相手」というのは、どういう相手なのか、ということになる。で、「結婚相手を決めるときに重視すること」という調査項目の回答を見る(図3)。

アンサーの中には「相手の収入などの経済力」がある。こういう時代だから、女性の回答のトップはまずこれだろうと予想すると、大きく外してしまう。実に91.0%と圧倒的な回答数を獲得したのは「相手の人柄」だ。これは男性でも74.9%を集めて断然トップに立っている。では、次が経済力か、というと、再び外すことになる。2位は「家事・育児に対する理解と協力」、さらに3位も「自分の仕事に対する理解と協力」で、いずれも50%台。「相手の収入などの経済力」は4位に顔を出して、34.3%だ。未婚率が上昇し続ける本質的な原因は、どうやら、この順位にあるらしい。

図3 結婚相手を決めるときに重視すること

今日における結婚のメリット

当り前だけれど、結婚前の女性はほとんどが仕事を持っている。総務省の「就業構造基本調査」から、25〜29歳女性の労働力率の推移を見ると、2002年で独身者の93.3%が仕事をしていて、これは1987年からほとんど変わらない。その働く女性の多くが、結婚後も働き続ける。子供のいない既婚者の74.9%が仕事をしているのは、まあ納得としても、末子年齢3〜5歳の既婚者も60.3%が働いている。結婚しても仕事を続けるのが当り前になったのだ(図4)。

図4 25〜29歳女性の労働力率の推移

男女の賃金格差はまだまだあるが、縮まってはいる。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」(2004年)によれば、一般労働者の平均所定内給与額は男性を100とすると、女性は1990年が60.2で、2004年は67.6。また、総務省の「家計調査」(2003年)にある34歳以下の勤労者単身世帯の実収入を見ると、男性が30万3978円であるのに対して女性は27万8301円で、91.6%にまでなっている。もはや、かつての結婚の経済原理だった「男性が外で所得収入を得ることが家計にとって最も効率がいい」という常識が通用しにくくなっているのである。女性にとってみれば、結婚の経済的メリットが稀薄になっているということだ。

となれば、女性が結婚の対象として「適当な相手」を選ぶとき、何よりもまず「相手の人柄」を見て、次に、「家事・育児に対する理解と協力」と「自分の仕事に対する理解と協力」が期待できるかをチェックするのは当然のことだ。結婚後も仕事を続けるのが社会的常識になりつつあるとはいえ、それでも長く続けていれば、女性だから受けなければならない負荷に遭遇することもあるだろう。そういうとき、何よりも必要となるのは、身近にいる"味方"だ。要求が切実であるだけに、本当に味方になりうる相手かをチェックする目は厳しくなるだろう。今日における結婚のメリットは、ごく単純な経済的メリットではなく、極めて複雑な精神的メリットであり、まあまあ、では済まないのである。

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