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人民元切り上げ、4分の3が「影響なし」

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gooリサーチ と 日刊工業新聞 による共同企画調査

日刊工業新聞2005年7月20日 最終面より

日刊工業新聞との共同企画調査<第15弾>

中国に関するアンケート

~人民元切り上げ、4分の3が「影響なし」~

【深層断面/中国アンケート 人民元切り上げ、4分の3が「影響なし」】

日刊工業新聞社が中国に関して実施した調査。今回はNTTレゾナントと共同で「gooリサーチ」を活用したビジネスマン対象のネットアンケートの集計結果(回答者540人)を採り上げ、中国の今後の経済動向や日本との関係改善策などについて、日本のビジネスマンがどういう見解を持っているのか、探ってみた。(編集委員・藤元正)

回答者の職業

調査結果について

【素材・衣料は「影響ある」】

中国の経済、産業に影響を及ぼしそうなのが、近々実施がうわさされている人民元の切り上げ。それでも、回答のうち、73.5%とほぼ4人に3人までが、自社のビジネスに影響が及ばないと見ている。

人民元切り上げが実施に移された場合、自社のビジネスに影響が及ぶと思いますか。

ちなみに回答者のうち、69.8%(377人)の会社が中国に進出済み。10.0%(54人)の会社が進出計画を持つという。

反対に、影響があるとしたのは26.5%(143人)。回答者の所属する業種で見ると、同一業種内で「影響あり」の比率が高いのは、(1)素材(2)衣料品(2)航空宇宙(同率)(4)精密機器(5)産業機械(6)繊維。全体平均の26.5%を上回る60―40%の範囲に入った。

また、影響があると答えたうち85人(回答者全体の15.5%)が、具体的な影響について、「コスト・人件費の上昇、為替面で影響が出る」と記述している。

この結果、「中国生産の見直し」(家電)、「メリットがなくなる」(電子部品、非鉄、通信機)、「他地域や国内シフトの可能性あり」(産業機械、ソフト)、「投資に慎重になる」(繊維)との意見もあった。

【高度成長、08年五輪まで】

中国の今のペースの高度成長がいつまで続くかを聞いたところ、42.4%と4割強が、08年の北京五輪までは大丈夫と予想。あと5年、あるいは10年続くと見る人はそれぞれ4人に一人の割合となった。やはり今後20―30年もの長期にわたって、高度成長が続くと見る人は極めて少数派のようだ。

今のペースで、中国の高度成長はいつごろまで続くと思いますか。

【中国の成長産業予想、トップは衣料品】

中国で今後、世界のトップレベルに躍り出る、あるいはトップレベルを維持すると予想される成長産業(農業を除く)のベスト5(複数回答)には、(1)衣料品(37%)(2)家電(30%)(3)繊維(29%)(4)電子部品(20%)(5)ソフト開発(19%)が入った。

中国の個別産業のうち、今後世界トップレベルに躍り出ると思われる分野は何でしょう。

反対に競争力が劣り、世界トップレベル入りが当面難しいと思われる分野は(1)自動車(34%)(2)サービス(33%)(3)金融(31%)(4)医薬(29%)(5)半導体(26%)の順。わずかの差でこれにソフト開発、航空宇宙が続いた。

競争力が劣り、トップ入りが当面難しいと思われる分野を全てお選びください。

【2国間FTAを重視】

国同士で貿易関税を撤廃したりする自由貿易協定(FTA)についての設問では、64.4%(348人)と、ほぼ3分の2が中国とのFTA締結に賛成。

その理由についての自由記述では、「公正で対等な貿易関係の構築」「経済活性化のため」といったポジティブな要因が大半を占める。一方で、「あれだけの土地と人口を持つ大国なので、黙っていては日本がつぶされてしまう」「信用できないため」「協定がないと野放しになる」といった、中国に対する不安・不信・脅威を背景とした、後ろ向きのFTA推進論も13件あった。

FTA反対派(35.6%、192人)では、この後ろ向き度合いが加速する。「今のままで良い」「利点がない」から、農業を含め「国内で打撃を受ける分野が多くなる」と、"日中FTA悪玉論"を唱える回答は22件。「インドとの交流を」(IT)、「商習慣などの改善が先」(流通)との意見もあった。

【国内回帰も強く】

中国以外の進出先として選ぶならどこがいいかを聞いた。近隣のアジア諸国を挙げる例が46.9%(253人)と半数近くもあり、地理的にアジアに近い点と将来成長を見越してか、ロシア支持派も欧州派とほぼ同数を占める。これ以上に目を引くのが、「日本に戻す」と答えた国内回帰派が全体の23.3%(126人)も存在することだ。

4月に猛威をふるった反日デモ、人民元切り上げ観測、国内産業の空洞化懸念といったマイナス要因のほか、一部企業の国内工場の躍進、国内産業のコストダウン対応力の向上などが、国内回帰の機運ないしは願望の背景にあるのかもしれない。

国内回帰派を所属する業種で見ると、実数とともに業種内での比率が比較的高いのは、サービス19、産業機械12、電子部品11、ソフト9、化学8という結果だった。

一方、アジアの中で、どこの国がいいか記入してもらったところ、総数323(複数回答)のうち、(1)インド82(25%)(2)ベトナム1(19%)(3)タイ57(18%)(4)インドネシア30(9%)(5)韓国22(7%)―の順。

複数回答のため単純比較はできないが、インド、ベトナム、タイは、欧州50、北米27、中南米35、ロシア49をも上回っている。

中国以外の海外進出先が必要だとしたら、どこがよいと思いますか。

業種別で見てみると、自動車、家電、サービス業種でインドが目立ち、ソフトではベトナムがもっとも多い。ロシアを挙げた中では自動車の比率が最大。その他でも建設・食品・通信でロシアが目立つ。

【靖国問題の解決、関係改善に必要】

ぎくしゃくしている両国の政治・外交関係。経済以外で良好な関係を保つ必要があるかどうか聞いたところ、「必要」は279人で51.7%。かろうじて過半数に達した。それに対し、「必要ない」は64人の11.9%。全体のほぼ3分の1は「分からない」と答えている。

さらに、「必要」と答えた人に関係改善の方策を自由回答で尋ねたところ、首相が靖国神社参拝をやめるなど「靖国問題の解決」が60件を数え、トップに。靖国問題が、中国側で態度を硬化させる直接要因ともなっていることから、早急な対応策として挙げたものと見られる。

それ以外の方策では「毅然(きぜん)とした態度を示す」(38件)、「戦争責任・歴史問題に決着を付ける」(26件)、「文化・人的交流の促進」(20件)、「歴史認識をはっきりさせる」(6件)、「政府開発援助(ODA)はじめ日本の対中援助について、中国国民に知らしめる」(5件)などが続いた。

両国の歴史認識を共有するため、民間人や有識者、専門家による新たな協議機関や制度の創設を求める声もあった。

一方、政治面での関係改善「必要なし」では、中国の国そのものに対する不信や反発、嫌悪感に根付いたものが目立つ。こちらでも「毅然とした態度を貫くべき」との見方は多く、「経済の関係だけで良い」も6件を数えた。

日本と中国、経済以外で、国同士で良好な関係を保つ必要はあるでしょうか。

総じてみれば、「政治面での関係改善必要」が全体の半数にとどまっていることも含め、当然ながらビジネスマンの間では、経済が最大の関心事になっている。

その半面、「政冷経熱」と呼ばれる2国間の特殊な関係を、抜本的に変えようという意識は決して高いとは言えないようだ。

<調査概要>

  • 実施期間: 2005/06/27~2005/06/27
  • 有効回答数: 540

NTTコム リサーチは、平成24年10月1日にエヌ・ティ・ティ レゾナント株式会社からNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社へ事業譲渡され、平成25年12月9日にgooリサーチより名称変更いたしました。gooリサーチの調査結果(共同調査含む)等についてはこちらまでお問合せください。

この調査結果の単純集計を無料にて提供しています。

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