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企業のユーザ参加型商品開発への参加経験と阻害要因

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gooリサーチ と 早稲田大学 による共同企画調査

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お知らせ 平成21年10月15日

早稲田大学マーケティング・コミュニケーション研究所
NTTレゾナント株式会社

【早稲田大学・gooリサーチ共同調査】

商品開発に関する調査

~企業のユーザ参加型商品開発への参加経験と阻害要因~

早稲田大学マーケティング・コミュニケーション研究所(東京都新宿区、所長:商学学術院教授 恩蔵 直人)とインターネットアンケート・サービス「gooリサーチ」を提供するNTTレゾナント株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:中嶋 孝夫)は、全国のgooリサーチ登録モニターを対象に「商品開発に関する調査」として、企業のユーザー参加型商品開発における参加経験と阻害要因について調査しました。

総括

多くの業界において成熟化が進み、それまで売れてきた商品の部分的な改善だけではなかなかヒットがつくりにくい状況にある中で、ユーザーに対して革新的な提供価値を創造することが求められています。それでは、そのような革新的な提供価値を創造するために、企業は商品開発をどのように強化すればよいのでしょうか。

企業の商品開発の代表例として、商品開発者が消費者ニーズの洞察力やその解決方法の構想力を高めることにより、ユーザーや競合他社が予想もしなかったユニークな提供価値を創造しようという「イノベーション力の強化」が挙げられますが、多くの業界において、自社内ではなく、ユーザーの声から新しい発見が生まれてくるケースが多いのも事実です。

このような背景から、従来は被験者と実際に会って、直接「対話」することでアイデアのヒントを得てきましたが、今日では、インターネットを活用した消費者との「対話的なやりとり」によるユーザー参加型の商品開発が注目されています。

そこで、ユーザー参加型商品開発で、現在、主に用いられる以下の代表的な5つの参加手法について、その参加経験と阻害要因について調査を実施しました。

調査において取り扱ったユーザー参加型商品開発手法

  • 企業が自社の会員向けに依頼するアンケート調査への回答(以後「会員向けのアンケート調査」)
  • 企業が自社の会員向けに提供する掲示板やブログ、SNSにおける書き込み(以後「会員向けの掲示板・ブログ・SNS」)
  • 必要なパーツを選んで購入できるパソコンのカスタマイズ生産のような、商品の仕様を選び、その設定に沿った機能やデザインで作り、届けてくれる機能の利用(以後「カスタマイズ(ツールキット)」)
  • 既にある商品を利用していて気がついた意見や要望を受け付ける機能における書き込み(以後「利用して気づいた意見・要望の受付機能」)
  • 新商品のアイディアを受け付ける機能における書き込み(以後「新商品のアイディアの受付機能」)

調査結果のポイント

(1) 全体の約2割が企業の会員向けアンケートに参加したことがある

調査の結果、「会員向けアンケート」では、募集情報に接触したことがある人が19.0%で、参加経験のある人は18.4%でした。また、「利用して気づいた意見・要望の受付機能」でも募集情報に接触したことがある人は29.5%、参加経験がある人は13.2%で、この2つの手法がユーザーの参加経験が比較的高い手法であるといえます。

また、「会員向けの掲示板・ブログ・SNS」や「カスタマイズ(ツールキット)」、「新商品のアイディア受付機能」といった手法については、参加経験のあるユーザーはそれぞれ2.0%、6.0%、4.7%となり、参加したことがある人が少ないことがわかりました。

(2) 募集情報に接触したことがある人のアンケートへの参加率は97.1%

参加率が低い手法ではそもそも募集情報への未接触者が多い傾向があり、募集情報に接触したことがある人に限定して参加率を比較すると、「会員向けアンケート」(97.1%)、「会員向け掲示板・ブログ・SNS」(47.8%)、「カスタマイズ(ツールキット)」(38.7%)、「利用して気づいた意見・要望の受付機能」(44.8%)、「新商品のアイデア受付機能」(27.6%)となり、5つの手法すべてにおいて接触者の参加率は決して低くはないことから、今後、企業がこれらの手法をより多く取り入れていくことにより、募集情報に接触する機会も増え、手法の有効性も高まると考えられます。

(3) 参加を妨げる要因は「システム的な障害」

募集情報に接触した経験があるにもかかわらず、参加したことがない人に、その理由を尋ねたところ、参加にあたって回答・書き込みを行うページが使いにくい、読み込みに時間がかかる、自分の使っているパソコンのソフトに対応していないなどの「システム的な問題があったから」が最も高く、「カスタマイズ(ツールキット)」では41.7%、「利用して気づいた意見・要望の受付機能」では38.3%、「新商品のアイディアの受付機能」では29.9%となりました。今後、分かりやすく操作性の高い安定したシステムを提供することにより、阻害要因が解消されて参加者が増えていくことが期待できます。

調査結果について

1. 調査対象 gooリサーチ・消費者モニター
2. 調査方法 非公開型インターネットアンケート
3. 調査期間 2009年4月16日(木)~20日(月)
4. 有効回答者数 1,076名
5. 回答者の属性 【男女比】
男性 52.1%(561名)、女性 47.9%(515名)

【年代比】
10代16.4%(177名)、20代16.9%(182名)、30代16.4%(177名)、40代16.7%(180名)、 50代16.6%(179名)、60代以上16.8%(181名)

《 補足 》

(*1)【 gooリサーチ 】 http://research.goo.ne.jp/
ポータルサイト「goo」を運営するNTTレゾナントと、日本のリーディングシンクタンクである三菱総研の調査企画力、コンサルティング力が融合した、高品質で付加価値の高いインターネットリサーチ・サービスです。
メインパネルの「gooリサーチ・消費者」モニター(58.6万人)、携帯電話でアンケートに答える 「gooリサーチ・モバイル」モニター(11.4万人)、キーパーソンのビジネスマンを中心とする「gooリサーチ・ビジネス」モニター(7.5万人)、団 塊世代・シニア層、ならびに若年層を中心とした郵送調査手法で回答する「郵送調査専属モニター」(3.5万人)を含め、379万人の登録モニターを擁し、 消費者向け調査から、法人向け調査、グループインタビューまで、様々な市場調査ニーズに対応しています。 (モニターの人数はいずれも2009年7月現在)

<本件に関するお問合せ先>

NTTレゾナント株式会社 企画部 広報担当
(Tel) 03-6703-6250、(E-mail) pr@nttr.co.jp
早稲田大学 広報室 広報課 内田善太
(Tel) 03-3202-5454、(E-mail) koho@list.waseda.jp

<gooリサーチに関するお問合せ先>

NTTレゾナント株式会社 リサーチ部門
(Tel)03-6703-6660、(FAX)03-5476-2582、(E-mail)research@goo.ne.jp

調査結果データ

(1) ユーザー参加型商品開発への参加経験と募集情報への接触

「会員向けアンケート」「会員向けの掲示板・ブログ・SNS」「カスタマイズ(ツールキット)」「利用して気づいた意見・要望の受付機能」「新商品のアイディアの受付機能」の5つの手法について、それぞれ「参加を案内・募集する情報を見たことがあるもの」(以後「募集情報接触」)と、その中で「実際に参加したことがあるもの(参加しようとしたが途中で止めたものを除く)」(以後「参加」)について質問をしました。

その結果、「会員向けアンケート」は全体の約2割(19.0%)の人々が募集情報に接触した経験があり、実際の参加経験者は全体の18.4%で、募集情報に接触したことがある人のうち97.1%がアンケートに参加していることがわかりました(図1)。

「会員向けの掲示板・ブログ・SNS」では、全体の4.3%が募集情報に接触した経験があり、実際の参加経験者は2.0%で、募集情報に接触した人のうち47.8%が実際に参加していました(図2)。

「カスタマイズ(ツールキット)」では全体の15.6%が募集情報に接触した経験があり、実際の参加経験者は6.0%、募集情報に接触したことがある人のうち38.7%が実際に参加していました(図3)。

「利用して気づいた意見・要望の受付機能」では全体の29.5%が募集情報に接触した経験があり、実際の参加経験者は13.2%で、募集情報に接触した人のうち44.8%が実際に参加していました(図4)。

「新商品のアイディアの受付機能」では全体の17.2%が募集情報に接触した経験があり、実際の参加経験者は4.7%で、募集情報に接触した人のうち27.6%が参加していることが明らかになりました(図5)。

【図表1】「会員向けアンケート」の募集接触および参加の経験(%)(n=1,076)
【図表2】「会員向けの掲示板・ブログ・SNS」の募集接触および参加の経験(%)(n=1,076)
【図表3】「カスタマイズ(ツールキット)」の募集情報接触および参加の経験(%)(n=1,076)
【図表4】「利用して気づいた意見・要望の受付機能」の募集情報接触および参加の経験(%)(n=1,076)
【図表5】「新商品のアイディアの受付機能」の募集情報接触および参加の経験(%)(n=1,076)

これら5つの手法を参加率で比較してみると、「会員向けアンケート」(18.4%)、「利用して気づいた意見・要望の受付機能」(13.2%)が高く、実際にユーザーの参加が期待できる手法であることが明らかになりました(図6)

【図表6】企業=ユーザー間インタラクションの各手法ごとの募集情報接触および参加の経験(%)(n=1,076)

一方で、「会員向けの掲示板・ブログ・SNS」(2.0%)、「カスタマイズ(ツールキット)」(6.0%)、「新商品のアイディア受付機能」(4.7%)といった手法では、参加率は低い結果となりましたが、募集情報に対して接触した経験がある人における参加率を見てみると、それぞれ「会員向けの掲示板・ブログ・SNS」(47.8%)、「カスタマイズ(ツールキット)」(38.7%)、「新商品のアイディア受付機能」(27.6%)となっており、参加が期待できる手法である「利用して気づいた意見・要望の受付機能」の参加率(44.8%)と比べてもそれほど大きな乖離がないことがわかりました。このことから、今後、企業がこれらの手法をより多く取り入れていくことにより、募集情報に接触する機会も増え、手法の有効性も高まると考えられます。

(2) 参加を妨げる要因

「会員向けアンケート」「会員向けの掲示板・ブログ・SNS」「カスタマイズ(ツールキット)」「利用して気づいた意見・要望の受付機能」「新商品のアイディアの受付機能」の5手法について、それぞれ募集情報に接触したのにもかかわらず、参加したことがないと回答した人に対して、参加の阻害要因として、以下に挙げた4項目がそれぞれどれくらいあてはまるかについて質問をしました。

  • 参加する方法がわからなかったから、もしくは、参加方法が面倒そうだったから(以後「参加方法がわからない・面倒」)
  • 参加の際に回答や書き込みの内容を考えることが面倒そうだったから(以後「回答内容を考えるのが面倒)
  • 参加にあたって求められる条件の中に、回答したくない質問や、回答内容をどう使われるかが不安であるなど、応じにくいものがあったから(以後「応じにくい参加条件あり」)
  • 回答・書き込みを行うページが使いにくい、読み込みに時間がかかる、自分の使っているパソコンのソフトに対応していないなど、参加にあたってシステム的な問題があったから(以後「システム的な問題あり」)

その結果、「強くそう思う」「どちらかというとそう思う」の合計で見ると、「システム的な障害」が最も高い阻害要因で、「カスタマイズ(ツールキット)」では41.7%(図9)、「利用して気づいた意見・要望の受付機能」では38.3%(図10)、「新商品のアイディアの受付機能」では29.9%(図11)となりました。

なお、「会員向けアンケート」、「会員向けの掲示板・ブログ・SNS」については、サンプル数が十分ではなかったため参考値となりますが、いずれも「システム的な問題あり」が阻害要因になっていることがうかがえます。(「会員向けアンケート」33.3%(図7)、「会員向けの掲示板・ブログ・SNS」37.5%(図8))

「システム的な問題」についてはより詳しい分解が今後の調査で求められますが、その多くを占めていると思われる提供者側のシステムが安定してくることにより、今後阻害要因が解消されることが期待できるといえるでしょう。

【図表7】「会員向けアンケート」の阻害要因(%)(n=6)
【図表8】「会員向け掲示板・ブログ・SNS」の阻害要因(%)(n=24)

※サンプル数が少ないため参考値とする。

【図表9】「カスタマイズ(ツールキット)」の阻害要因(%)(n=103)
【図表10】「利用して気づいた意見・要望の受付機能」の阻害要因(%)(n=175)
【図表11】「新商品のアイディアの受付機能」の阻害要因(%)(n=134)

NTTコム リサーチは、平成24年10月1日にエヌ・ティ・ティ レゾナント株式会社からNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社へ事業譲渡され、平成25年12月9日にgooリサーチより名称変更いたしました。gooリサーチの調査結果(共同調査含む)等についてはこちらまでお問合せください。

この調査結果の単純集計を無料にて提供しています。

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