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深層断面/新会社法・本社アンケート「利点あり」が2割止まり

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gooリサーチ と 日刊工業新聞 による共同企画調査

gooリサーチと日刊工業新聞社による共同企画調査<第25弾>

新会社法に関するアンケート

~深層断面/新会社法・本社アンケート「利点あり」が2割止まり~

日刊工業新聞社は1日施行の「新会社法」について、NTTレゾナントと共同で、gooリサーチを活用して社会人および経営者対象のネットアンケートを実施した。

深層断面/新会社法・本社アンケート「利点あり」が2割止まり

それによれば、回答者のおよそ6割が会社法の内容をある程度知っており、そのうち経営にとって「メリットがある」と感じている層は34%、全体では2割ちょっとにとどまった。

【図1】「新会社法」の内容は知っていますか。のグラフ

【詳しく理解 まだ少数】

アンケート調査は、実施時期は5月で、540人から回答を得た。ただ、留意しなくてはならないのは、全回答者のうち93%に当たる501人の所属する会社・団体が、従業員1人以上100人未満であること。会社の年間売上高も5000万円未満が49%を占め、中小企業経営者および従事者の声を反映した内容となっている。

まず、新会社法の内容を知っているかどうか尋ねたところ、「詳しく知っている」は11%だった。これに「詳しくはないが、なんとなく知っている」を加えれば、62%がある程度知っていることになる。

規模別で見ると、「あまりよく知らない」「ほとんど知らない」の割合は、従業員一人企業で合計52%ともっとも高い。

【「どちらともいえない」 6割 】

新会社法を知っていると答えた334人のうち、「大きなメリットあり」というのは6%(20人)、「ややメリットあり」が29%(97人)。方や「ややデメリット」「大きなデメリット」は合計で6%(21人)と少ないものの、「どちらとも言えない」は58%(193人)もあった。

【大企業メリットなし】

会社規模別では「大きなメリット」について、従業員一人企業が13%で一番高く、規模が大きくなるに従ってこの比率は減少。1001人以上はゼロだった。84%が新法の内容を「知っている」という101―1000人規模では、逆に「ややデメリットあり」が18%と突出する。

まだなじみの薄い新会社法が、自社にとってプラスなのかマイナスなのか、全体的には静観を決め込むところが多い様子。とりわけ小規模企業の理解度はまだ高いとは言えないが、この層では新法を前向きにとらえるところが多いのも、特徴となっている。

【図2】どんなメリットがありますか。のグラフ

【容易な子会社設立 魅力】

さらにメリットがあると答えた合計117人の具体的な中身(複数回答)を見てみると、「会社が設立しやすくなる」が8割を超え、断トツのトップ。【図2】それに「取締役の責任軽減」「資金調達が容易に」「組織再編や合併・買収(M&A)がしやすい」が続く。従業員一人企業の回答者は13人全員が「会社設立」を挙げ、企業規模が小さいほど、その部分に意義を見いだしているようだ。ただ、この点では「既存の会社より新設の会社にメリットがある」との自由回答もある。これが101人以上、1001人以上と企業規模が大きくなると、順位は2番目ながら、「取締役の責任軽減」を重視する見方が増えてくる。

新会社法の内容を知っていると答えた334人のうち、組織再編およびM&Aについて、有効と思われる点(複数回答)を挙げたのが【図3】。「株式買取請求制度など対価の柔軟化」「簡易組織再編行為の要件緩和」がほぼ並び、「株式交換・移転の場合の会社債権者保護手続き新設」の順となっている。

【図3】組織再編・M&Aに有効なのは。のグラフ

これも企業規模によって違いが見られ、1人企業では株式交換・移転の場合の債権者保護手続きを挙げたのが約半数。大企業に所属する回答者ほど、株式買取請求制度の比率が高くなり、1001人以上では7割にのぼった。

自由回答でも、「組織を変えやすくなる」(2件)、「事業部制を取らずに新会社での対応が容易」(2件)、「最低資本金制度の撤廃」(2件)、「1円企業の発起で広く株主を集めることができる」といった意見。「デューデリジェンス(事業や資産の適正評価)の簡素化」というものもあった。

【M&A検討 1割】

ズバリM&Aについてはどう考えているのだろうか。540人の回答者全員に聞いたところ、否定的な感想が目立った。83%(449人)もの圧倒的多数が「M&Aの活用は考えていない」とする。「過去に何度も実践し経営手法に採り入れている」(7人)、「数回実践したことがあり今後も積極的に取り組む」(12人)という積極派は少数。それでも「まだ実践していないが、今後積極的に採り入れようと検討中」なのは10%(54社)にのぼった。

日本のビジネスの土壌ではまだまだM&Aは一般的ではないが、新会社法の導入を機に、事例が少しずつ増えていくことも予想される。当然ながらか、従業員一人企業の場合、「M&A想定外派」が94%と高いのに対し、従業員101人以上1000人未満となると、「今後積極的に検討」が34%。ほぼ3人に1人の割合となり、これは「M&Aを考えていない」と同率だ。

村上ファンドによる阪神電鉄など、世間を騒がせる敵対的買収についてはどうか。うまく成功した例がまれなためか、「敵対的買収のおそれを感じたことはない」との回答は84%と非常に高い。これに「おそれを感じたことはあまりない」(10%)を合わせれば、9割以上が「ウチは安心」と考えている様子。反対に「常におそれを感じている」は1%、「感じるときもある」は3%にすぎなかった。

【中小で薄い現実感】

中小になればなるほど「当社のような零細には関係ない」「そこまで考える余裕がない」(自由回答)といったスタンスのよう。

1001人以上1万人未満の規模では回答者の絶対数が7人と少ないものの、敵対的買収のおそれを「感じたことはない」を挙げたのは2人。これは「常におそれを感じる」「感じるときもある」とそれぞれ同数だった。

【敵対的買収・相談相手は経営者】

では、敵対的買収の標的になった場合、頼りになるのはだれか(複数回答、【図4】)。

【図4】敵対的買収の対応策の相談相手は。のグラフ

対応策を相談するのが「経営トップのみ」という答えは過半数。以下、取締役か執行役、金融機関、提携先、大株主の順となっている。ただし、101人以上、1001人以上の企業では、「取締役か執行役」がもっとも頼れる相談相手だ。

その他の回答では税理士6、弁護士5、ほかの経営者4、友人・知人3、公認会計士2、経営コンサルタント2、身内2。「相談せず自分で解決する」も3件あった。
すでに買収防衛策をとっている企業に勤めるのは、540人の2%に当たる13人【図5】。買収防衛策を「検討中」は1%(7人)だった。

【図5】敵対的買収に対する防護策は。のグラフ

【大手、防衛策に前向き】

反対に「将来を含めて買収防衛策を検討することはない」が全体では69%もあるが、これは調査対象の所属に小規模企業が多いためと見られる。図で示したように、企業規模が大きいほど、買収防衛策に対して前向きな傾向にある。ちなみに買収防衛策としては、新株予約権をあらかじめ発行しておき、買収後に発行株式数を増やして買収側の持ち株比率を下げる毒薬条項(ポイズン・ピル)や、提携先との株式の持ち合い強化が目立った。

回答者

回答者の所属先

回答者の所属企業・団体

<調査概要>

  • 実施期間: 2006/05/09~2006/05/10
  • 有効回答数: 540

NTTコム リサーチは、平成24年10月1日にエヌ・ティ・ティ レゾナント株式会社からNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社へ事業譲渡され、平成25年12月9日にgooリサーチより名称変更いたしました。gooリサーチの調査結果(共同調査含む)等についてはこちらまでお問合せください。

この調査結果の単純集計を無料にて提供しています。

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