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日本のモノづくりに関するアンケート

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モノづくり「日本が世界一」−74%

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gooリサーチ と 日刊工業新聞 による共同企画調査

日刊工業新聞 2005年6月20日~8月1日(5回連載)

日刊工業新聞との共同企画調査<第17弾>

日本のモノづくりに関するアンケート

~モノづくり「日本が世界一」−74%~

4人中3人が「日本のモノづくりは世界一」と思っている―。日刊工業新聞社がNTTレゾナントと共同で「gooリサーチ」を利用して実施した「日本のモノづくりに関するアンケート」で、自国の製造業を高く評価していることが分かった。今後、日本の核となる産業についても、3人に2人がモノづくり産業と答えている。しかし、技術者育成問題や中国の台頭などから日本の製造業は"安泰"ではなく、国を挙げてのモノづくり強化が必要なことが浮き彫りとなった。アンケート結果の詳細を5回掲載する。

モノづくりアンケート(1)2005年6月20日掲載

■モノづくり「日本が世界一」−74%

製造業は見直されている。バブル期には理工系学生の製造業離れが見受けられたが、バブル崩壊を経て05年3月期は過去最高の収益となったメーカーが続出。復権を果たした。多くの人が日本のモノづくりは世界一と思うことはうなずける。

【「コスト」より「品質」】

では、なぜ世界一なのか。その理由は「品質が高い」が実に94.8%に上る。「開発力に優れる」「納期が正確」も半数を超えている。ただ「コストが安い」は5.8%にすぎない。

一方、日本が世界一ではないと思う人に、どの国が世界一なのかと問うと、ドイツ、中国、米国の順となった。同じくその理由は「品質が高い」がトップで38.8%、次いで「コストが安い」が30.4%。ただ、ドイツと答えた人が「品質」を、中国と答えた人が「コスト」を挙げるケースが多かった。

ここから読みとれるのは、日本人はいいモノとは品質が高いモノととらえていることだ。安いモノをつくるのは新興国にはかなわないともとらえている。

【高品質維持に懸念も】

しかし、高い品質を今後も維持していけるのかと、懸念する声は少なくない。交通機関の事故多発、工場の爆発・火災など"管理"の弱体化を示す例が増えている。「雇用が不安定なのが問題」(東京都・30代・男性)「子供のころからの教育が必要」(北海道・20代・男性)と指摘する。

いずれにしても、個々の努力だけでは限界がある。日本が今後も高品質のモノづくりを維持していこうと考えるなら、国を挙げての施策が必要となる。

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モノづくりアンケート(2)2005年6月27日掲載

■必要なのは総合的な競争力

【車・家電が群を抜く】

日本のモノづくりは世界一と思う人が4人中3人の割合。では、何が優れているのか。業種別で尋ねたところ、自動車が87.3%、家電が76.9%と群を抜いた回答があった。自動車は今、日本のモノづくりをけん引している産業であることは疑いのないところ。家電とともに、一般消費財で身近に感じることも高率の回答につながったものと考えられる。

しかし、自動車にしても家電にしても、ただそれだけで高い評価となったわけではないようだ。生産量では、自動車は米系メーカーが日系メーカーを上回る。家電の場合、普段使っている製品をあらためて確認すると、アジアで生産されたものが増えている。

【高品質を適正価格で】

では、実際には何が評価されているのか。それは総合的な競争力だ。日本がモノづくり世界一と答えた理由は「品質」が圧倒的で「コストが安い」はほとんどなかった。しかし、今後日本がモノづくりで競争力を保っていくのに必要なことは、の設問では「新製品・新技術開発力」が72.6%「品質」が67.4%「コスト競争力」が50.9%となった。

この違いは「日本のモノづくりは品質が高くて世界一」というのは、あくまでも多くの日本人が持っている"イメージ"ということを示している。新しいモノを高品質で、適正な値段で提供しなければ競争に勝てない。今はこれができているから「モノづくり世界一」と言える、ということだ。

【人材も時間も必要】

実際、日本の製品は中国製品などと比べると高い。品質が高いといっても、ドイツ車のような高級品ばかりをつくっているわけではない。しかし、特徴のない中級レベルの製品ではない。品質は申し分なく、それに比して価格は高くない。サービス体制も整っており、ブランドの名も通っている。これが消費のボリュームゾーンにマッチし、売れている。

しかし、この総合的な競争力を維持するのは容易ではない。特に自動車、家電は海外生産を拡大している。今の強い日本式モノづくりを海外に植え付けるには、人材も時間も必要だ。一方で、自動車に匹敵するような次代の稼ぎ頭は、一朝一夕にできるものではない。難しい問題だ。

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モノづくりアンケート(3)2005年7月4日掲載

■中国とどうかかわるか

【中国が世界の工場に】

日本のモノづくりが世界一だと思わないのは4人に1人。うち中国が世界一だと思う人はドイツに次ぎ、米国を上回った。今や"世界の工場"の称号を得た中国。そのモノづくりは日本にとって脅威となるか。答えは日本がどのように中国のモノづくりとかかわっていくか、それ次第となる。

アンケートでは「現時点で、使おうと考える中国製品は何ですか」という質問を設けた。高率の回答を得たのは衣料品の77.6%。実際に普及しており、日常の利用に問題は感じていないようだ。そのほかはほぼ10%前後で、自動車に至っては1%にも満たない。

【品質ではなく価格】

ここで興味深いのは「その他」の答え。127人中75人が「使おうと考える製品はない」、20人が「使いたくない」と書き込んでいる。品目を書き込んだのは「日用雑貨」が16人。ほかはオモチャ、自転車などが1、2人だった。ただ品名を挙げた人も「品質を問わないものであれば」(岩手県・30代・女性)「安ければ」(兵庫県・50代・女性)というただし書きがついていた。

衣料品という回答が高率だったことと合わせ、ここで日本人が中国製品に求める傾向が浮かび上がってくる。それは品質ではなく価格、耐久消費財ではなく消耗品。これをそのまま受け取れば、日本は高品質のモノづくりを、中国は低コストのモノづくりをすれば、すみ分けができることになる。

【以前より着実に向上】

しかし、話はそれほど単純ではないだろう。低率の回答だった家電は、すでにさまざまな品目で「中国製」が日本で流通している。パソコンはIBMが中国企業に事業を売却した。自動車は日本の各社が合弁生産を本格化している。中国のモノづくりは、以前より着実に品質は上がっている。

求められるのは単純なすみ分けではなく、一部同化だろう。需要があり、つくる技術はあるが、日本での生産ではコスト面で見合わない製品は、中国にまかせる。しかし、ただまかせるのではなくパートナーとして関与する。かかわり続ければ十分とは言えなくても利益が得られる。市場、基本的な生産技術を保持できる。それなしで高品質の高級品だけをつくるのは無理だろう。

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モノづくりアンケート(4)2005年7月25日掲載

■技能伝承"急がば回れ"

【立ちはだかる07年問題】

日本のモノづくりは世界をリードする立場にある。しかし、世界経済の変動の中で、将来もその立場が維持できる保証はない。立ちはだかる目前のハードルとして、団塊の世代が大量に定年となる07年問題がある。

アンケートでは団塊の世代の定年で予想される技能者不足への対策について尋ねた。その答えで最も多かったのは定年の延長だった。実際、日本経済をけん引する自動車業界をはじめ、さまざまな業界で定年延長の検討が具体化している。

とはいえ定年の延長は、問題の先送りである。ただ定年を延ばすだけでは、3年延長なら3年後、5年延長なら5年後に技能者不足の問題が再燃することになる。つまり、その間に技能の維持・発展のために対策を打たなければならないということだ。

【短・中期的な対症療法】

そこで出てくるのは、2番目以下の答えとなる。ここで製造のロボット化・IT化が、製造のアウトソーシングや外国人労働者の受け入れを上回ったことに、日本人の心理傾向が浮かび上がる。

まずは定年の延長により、自分たちで対処する。しかし、それでも時間の限りがあるから、ロボットやITで補う。アウトソーシング化や外国人労働者の受け入れは、技能の伝承という点では心配がある。いよいよという際、限定的であれば他者の活用を考えるといった傾向だ。

【厳しくても将来見据え】

ただこれらは短・中期的な"対症療法"。しかも定年の延長は、年金制度ともかかわってくるだけに、簡単ではない。アウトソーシング化や外国人労働者の受け入れも法律が絡む。やはり基本は、厳しくても将来を見据えて若い人に技能を伝承していくこと。その他の回答には、その思いが書き込まれている。

「企業での育成」「学校での教育」という直接的な技能伝承。その前提として「正社員の採用」「雇用の安定」が多数挙がっている。さらに具体的には「高卒の受け入れ」(大阪府・50代・男性)「女性の活用」(東京都・30代・女性)という意見があった。一方で「技能の伝承は手遅れ」(福島県・20代・男性)という指摘もある。対症療法を施しつつ、育成を続けなくてはならない。

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モノづくりアンケート(5)2005年8月1日掲載

■競争力持ち続け"モノづくり立国"へ

【欠かせない3項目】

日本のモノづくりは強い。この強さを今後も維持していくにはどうすべきか。モノづくりに関するアンケートでは、今後、日本がモノづくりで競争力を保っていくのに必要なことは何かを尋ねた。答えは新製品・新技術開発力、品質、コスト競争力とも半数を超えた。つまり、3項目とも欠かせないということだ。

では具体的にとるべき手法はと問うと、新製品・新技術開発力、品質においては「開発者、技術者の待遇向上」が88.6%となった。「海外技術者の招へい」は30.2%「研究開発拠点の海外展開」は25.8%。また、コスト競争力においては「生産のロボット化、IT化による合理化」が70.0%「人件費の抑制」が37.8%「生産の海外シフト」が31.0%「外国人労働者の受け入れ」が26.4%となった。

【競争力強化への思い】

"日本"のモノづくりの競争力強化の手法はという設問だけに、海外に頼るという回答が下位となるのはうなずけるところ。しかし「開発者、技術者の待遇向上」「生産のロボット化、IT化による合理化」はかなりの高率となった。それだけ、日本人は自ら何とかしなければという思いが強いことが分かる。

フリー回答では「文化としてモノづくりを育成」(京都府・60代・男性)「国策として技術を強化」(千葉県・40代・女性)「政府のモノづくり教育」(東京都・20代・男性)が必要との意見があった。日本は競争力を持ち続け"モノづくり立国"を目指さなくてはならない、という思いがにじみ出る。

【日本が進むべき方向】

モノづくりに関するアンケートでは最後の設問で、今後、世界での競争に勝ち残っていけると思う企業を、自由に3社挙げてもらった。1092人の回答中、トヨタ自動車を挙げた人は920人、ソニーは373人、松下電器産業は248人。以下、ホンダ133人、キヤノン94人、シャープ81人、日産自動車52人などとなった。

今、日本の産業をけん引する自動車、電機の有力企業が並んだ。一方で「中小企業」(栃木県・30代・女性)「部品メーカー」(北海道・30代・女性)という回答があった。日本が今後も、モノづくりで生きていかなければならないことは明らか。その中で進むべき方向を示唆しているようだ。(おわり)

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【回答者の構成】

1092人の回答中、会社経営28人(2.5%)、会社員366人(33.5%)、主婦274人(25.0%)、自由業59人(5.4%)、農業5人(0.4%)、学生153人(14.0%)、無職85人(7.7%)、その他122人(11.1%)

<調査概要>

  • 実施期間: 2005/06/06~2005/06/08
  • 有効回答数: 1,092

NTTコム リサーチは、平成24年10月1日にエヌ・ティ・ティ レゾナント株式会社からNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社へ事業譲渡され、平成25年12月9日にgooリサーチより名称変更いたしました。gooリサーチの調査結果(共同調査含む)等についてはこちらまでお問合せください。

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