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インキュベーション施設に関する調査

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地域経済の活性化の取り組み・インキュベーション施設:「初めて聞く施設である」との回答が約70%

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gooリサーチ と 日刊工業新聞 による共同企画調査

日刊工業新聞 2004年12月7日

gooリサーチと日刊工業新聞による共同企画調査<第7弾>

インキュベーション施設に関する調査

~地域経済の活性化の取り組み・
インキュベーション施設:「初めて聞く施設である」との回答が約70%~

地域にマッチした産業振興策の条件

東京都内でも有数の産業集積地である城北エリアだが、構造改革の波にのまれ、企業数の減少に歯止めがかからないなど厳しい状況に置かれている。一方で第2の創業支援や新産業の育成に向けた官民一体の取り組みが本格化し、新たな成長軌道に乗せるための模索も始まった。試行錯誤が続く中で、これを本物にするためには何が必要なのか。

日刊工業新聞社北東京支局は、NTTレゾナントと共同で、その基盤となる地域のイメージと創業支援のキーとなるインキュベーション施設の認識度調査を実施。地域特性に合致した産業振興策のあり方を探った。

調査結果について

■アピール不足を克服する

地域経済の活性化とともに、新産業の創出・育成に向け期待される取り組みのひとつが、ベンチャー企業の創業支援としての役割を果たすインキュベーション施設。

国内では官民合わせ約270に上る同施設があるとされ、城北エリアでも板橋区が、02年に「スタートアップ・オフィス」を開設。北区は05年度をめどに開設準備を進めており、練馬区も具体的な検討に入っている。

一方で利用者側と運営者側の意識のズレなどの問題が噴き出し、必ずしも満足するような成果が出ていないと指摘する関係者も少なくない。こうした問題が起こる背景には、同施設の役割や機能を、利用者側が正確に把握していないことがあるといえる。

実際に入居対象となるベンチャー企業(全国、年商10億円以下企業の経営者層)の意識調査(有効回答数1332人)を実施したところ、約70%(同910人)が同施設そのものを知らないと回答。創業支援のカギを握ると期待されている割には、当事者であるベンチャー企業に認知されていないことが明らかになった。

また知っていると回答した約30%(同422人)の企業でも、共同利用オフィスや異業種交流施設と回答する比率が比較的高いなど、同施設に抱くイメージにズレがあることが分かった。運営者側が意図する同施設の役割が、必ずしもベンチャー企業に伝わっていないことがうかがえる。

「インキュベーション施設」という言葉を聞いたことがありますか。

■立地に配慮した施設配置を

ではベンチャー企業から求められる同施設とは、どのような条件が必要になるのか。同施設が必要と回答した企業(同303人)に聞いたところ、通信インフラが整備されている、立地周辺相場よりも家賃が安い、税制面での優遇措置を受けられる、交通の便のよい立地が上位を占めた。現行の施設において、通信インフラなどの設備的な面や家賃面での優遇措置は、ほとんど対応しているといってよく、求められる条件は満たされているといえる。

問題は立地的な条件だ。特に自治体が手掛ける同施設は、どちらかというと遊休施設を再活用するケースが少なくない。これらの施設はたいがい、交通の便が悪い立地にある。都心であればある程度許容範囲にあるだろうが、周辺区になるとマイナスに働くのは否めない。

事実、同施設を利用するとすれば東京23区およびその周辺のどの地域がよいかとの設問(同422人)で、上位を占めたのは千代田、港、新宿などの都心区だった。周辺区が地域イメージで不利に働く面を補うには、少なくとも都心に出やすい立地で駅前周辺に施設を置くことが望ましいといえる。

「インキュベーション施設」を利用する条件には、どのようなものがあるとお考えですか。

■運営は多様な選択肢で柔軟に

物理的な条件がマッチングしたとしても、入居した企業に対する運営者側の対応が十分でなければ、創業支援・育成といった役割を果たすことができない。そこで同施設の運営主体をどこが担えばいいかと聞いたところ、有効回答数303人中、自治体という回答がほぼ半数を占めた。

地域に密着し、かつ公的支援や安定感を求めているためと推測される。だが、自治体が主体となって運営する施設の多くが、十分な効果を発揮できていないのが現状なだけに、皮肉な結果ともいえる。

一方で最近、増加傾向にある民間主体の運営に対してはどうなのか。前出の設問では、20%強が民間が望ましいと回答。その理由として、施設利用の自由度が高まる、設備などの更新が弾力的に行われる、支援サービスを受けやすいことを挙げた。安定性に不安はあるものの、制約の多い自治体主体の運営にはない機動性の高さへの期待がうかがえる。

同施設の運営に関しては官主体、民主体とも一長一短あるが、例えば千代田区のように民間資金活用の社会資本整備(PFI)的な手法を活用して同施設の運営を始めたケースもある。

同区の地域特性を踏まえ、プランナーやマーケティング系のナレッジワーカー(知識労働者)を中心としたベンチャー企業に着目。これらの企業を支援しているエージェント的な機関とセットにして誘致し、より確度の高いビジネスマッチングが行える仕掛けを取り入れている。

同区のケースは、あくまでも一例にすぎないが、官と民の役割分担を明確にし、それぞれノウハウをうまく活用していくことがポイントになってくるのは確か。入居する企業は、業種・業態にとらわれないという前提も大事だが、むしろ地域特性に合致した企業に特化した施設といった選択肢があってもよいのではなかろうか。

<調査概要>

  • 実施期間: 2004/11/17~2004/11/20
  • 有効回答数: 1,332

NTTコム リサーチは、平成24年10月1日にエヌ・ティ・ティ レゾナント株式会社からNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社へ事業譲渡され、平成25年12月9日にgooリサーチより名称変更いたしました。gooリサーチの調査結果(共同調査含む)等についてはこちらまでお問合せください。

この調査結果の単純集計を無料にて提供しています。

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