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地球は本当に危機なのか

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 米国のブッシュ政権が京都議定書を離脱した理由は、温暖化がCO2のせいとは言い切れないというものだった。こうした立場を取る人々を「懐疑派」という。
 「懐疑派」はブッシュ政権以外にも、温暖化など存在しないという意見から地球寒冷化論、CO2が増加することによって植物の生育が早まることのメリットを主張する立場まで、様々なスタンスがある。主張しているのはいずれも著名な学者たちだ。

 こうした「懐疑派」との論争に終止符を打ったとされるのが、2007年にパリで採択されたIPCC第4次報告書の第1作業部会報告書で、「20世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇は、人為起源の温室効果ガスの増加による可能性がかなり高い」と結論づけている。「かなり高い」の原文は"very likely"で、科学論文で使われる場合は「疑念の余地がない」というニュアンスを持つ。

 その根拠は、わが国の「地球シミュレータ」をはじめとする世界中の研究機関のスーパーコンピュータがシミュレーションに参加した結果、シミュレーションモデルが格段に増え、その多くのモデルで人為的活動を織り込んだ場合のシミュレーション結果のほうがリアルの観測データ値に合致したというところから来ている。

図1 地球規模の人為起源の温室効果ガス排出量のグラフ

 だが、データを分析して1906年から2005年までの過去100年間の世界の平均気温が0.74度上昇したといわれても、それは観測の誤差の範囲ではないかとの疑問も湧く。それよりもっと現実的な視点から、CO2の削減は資源エネルギー問題の解決に役立つのだから進めるべきと訴えた方が、どんな考え方の層にも説得力がある。

図2 気温、海面水位及び北半球の積雪面積の変化のグラフ

京都議定書遵守はCDM頼み

 原点となるのは1997年に採択された京都議定書だ。京都議定書の内容についてはいまだに産業界から不平等条約という声が上がっている。日本の削減義務は基準年である1990年実績の6%となっているが、1990年当時でも、日本の省エネルギーはほぼ行き着くところまで行っていた。そこからの6%削減、は乾き切った雑巾をさらに搾るような努力が必要だ。これに対して欧州の国々には、旧東ドイツと統合したドイツなど、CO2を削減する余裕のある国が多かった。そのあたりの状況を見極めずに、ホスト国としてのプレッシャーや政治的決着を求めることによって協定を締結しまったことが、産業界の反発の根源となっている。

 実績としても、2006年度の温室効果ガスの総排出量は13億4000万トンCO2で、基準年の12億6100万トンCO2より6.2%増えてしまっている。この状況では国内での目標達成は難しく、京都メカニズムで認められたCDM(クリーン開発メカニズム)に大きく頼らざるを得ない。

図3 温室効果ガスの総排出量のグラフ

 CDMとは、排出削減義務を持つ先進国(投資国)が義務を負わない途上国(ホスト国)と共同で排出削減プロジェクトを実施し、その削減分を「排出権(CER)」としてホスト国の数値にカウントできる制度だ。日本は実施年度である2008〜2012年度までの5年間で1億トンを調達する計画だが、07年度までに購入できたのはまだ約2300万トン前後に留まっている。

 プロジェクトがCERとして認められるまでには多くのプロセスを経なければならない。投資国とホスト国の双方が承認したうえで国連が認証する機関の審査を受け、最終的には国連の承認を得て工事に着手する。竣工して事業が始まっても、確かに削減効果が出ているかを認定機関が検証した後、初めて排出権が発行される。現在、日本は政府が承認したプロジェクトのホスト国別プロジェクト件数だけではまったく足りず、英国をはじめとする外国が保有するCERを買わざるを得ない状況だ。

産業革命以前、が非現実的ならば

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 京都議定書関連だけでも実現が厳しい状況となっているが、世界はすでにポスト京都へと向かっている。次の2020年の中期目標設定をどうするか、ということで、09年にデンマークでの開催が予定されているCOP15に焦点が当たっている。
 EUは2050年までに地球全体でのCO2排出を半減させることを謳い、日本も「福田ビジョン」を掲げて歩調を合わせたが、現実には先進国が排出量そのものをゼロにしたとしても半減は無理という説が有力だ。同ビジョンでいうような低炭素社会を実現するには排出を産業革命以前のレベルまで戻さなければならない。が、それはあまりに非現実的すぎる。

 現在の社会水準をある程度まで維持しながらCO2排出を減らすには、まったく新しいエネルギー生産技術の開発を進めるとともに、従来の省エネ、CO2の回収、貯留、非化石燃料エネルギーの活用などを合わせた、多角的なエネルギー革命に取り組む必要がある。

 現行のエネルギーシステムでCO2削減策として注目されているのが、次世代コークス炉。国内CO2排出量の10%以上を占める製鉄で、原料のコークス製造時に排出されるCO2を大幅に削減することが出来る。またさらなる削減に向け、製造方式自体を根本的に変えようと鉄鋼大手、NEDOらが手がける新プロジェクト「COURSE50」も2008年から立ち上がった。

 さらに革命的な方法として考えられているものに、宇宙航空研究開発機構が2030年までの実用化を目指して研究を進めている、宇宙太陽光発電がある。宇宙空間で太陽光発電を行って地上に送る方法で、地上と太陽光発電の効率を比較した場合、宇宙空間は地上の約10倍程度、有利だという。実用化すれば、ほぼ24時間365日にわたって太陽光発電が可能となる。

 そしてグローバル規模で考えれば、すでに持っている日本の省エネ、CO2削減技術を国際展開して、地球全体で年間13億tのCO2を減らすことも出来る。

 百家総鳴の温暖化論争はさておき、今の段階では技術革新と京都議定書の遂行、この両輪でCO2削減を進めていくことが、低炭素社会実現への初めの第一歩となる。

図4 日本のセクター別技術のCO2削減ポテンシャルのグラフ

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