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ラジオを聴く中高年

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中高年のメディアと化しつつあるラジオ

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 かつてラジオは夕食後のちゃぶ台の上に据えられ、一家で揃って聴いたりするものだった。1950年代に、ラジオはその地位をテレビに奪われると、今度は10代前半の子どもを含む若者向けのメディアになった。それが今では中高年に最も好まれるメディアと化しつつある。

 〔図1〕は年齢別の、「週に5分以上ラジオを聴いた人の割合」である。年齢が高くなるほど増え、60代男性ではついに90%を超える。〔図2〕は同じく年齢別の、「1週間にラジオを聴いた時間の合計」である。ここでも60代男性のみ200分を超えていた。1日にならせば30分ほどの短い時間でしかないが、10代が週50分にも達していないことに比べると、中高年は驚くほどよくラジオを聴いていることがわかる。なかでも、運送業に属する人や営業マンが車の中で聴くことが多いためか、男性の割合が高く、総じてラジオは「中高年の」というより「中高年男性の」メディアと言えるのかもしれない。

図1 年齢別・1週間に5分以上ラジオを聴いた人の割合のグラフ

図2 年齢別・1週間にラジオを聴いた時間の合計のグラフ

 ラジオを聴く人がかくも高齢化してきた理由は大きく二つ考えられる。その一つは、「かつて深夜放送を聴いて育ってきた"団塊の世代"が高齢化してきたから」という説である。ニッポン放送『オールナイトニッポン』などの深夜放送が始まり、中学生や高校生を魅了し始めたのは1960年代後半以降のこと。従って実際には"団塊の世代"というよりその少し後の世代だが、その彼らにして2000年には40代半ばから後半という堂々たる中年にさしかかっていたわけだから、まったく的を外した説とも思えない。

 もう一つは、視聴率競争の結果、テレビは10代から30代半ばまでをターゲットにした、にぎやかで派手な内容の番組ばかりが目立つようになり、その結果、高齢者にはそれが耐え難く、また流行にそれほど敏感に反応する必要を持たないので、ラジオに移行した、という説である。1989年に開始されたNHKの『ラジオ深夜便』は、高齢者層の強い支持を受け、すでに90年代の半ば頃から一種の社会現象として話題になっていた。なお、民放AMの番組が2時間ないし3時間を1人の司会者が仕切り、中に短いコーナーを設ける「ワイド編成」になって久しいが、その「早朝・朝ワイド」「午前ワイド」「昼ワイド」などはテレビより明確に中高年層にシフトしたターゲット設定になっているので、寂しさなどを与えないのかもしれない。

ラジオという情報インフラの将来

 中高年によく聴かれているとはいっても、テレビの視聴率に相当する聴取率は、よく聴かれている番組や時間帯でも1%台とか2%台ということがほとんどである。テレビ視聴率なら「*」印で示され、制作者がガックリ肩を落とすレベルのものでしかない。この傾向はもう何10年も変わらず、そのため特にメディアが多様化してきた90年代以降、広告収入という意味でのラジオの媒体価値の減少には深刻なものがあった。

 電通の発表によれば、2007年度のラジオ広告費は1671億円。これに対してテレビは1兆9981億円、新聞9462億円、雑誌が4585億円である。ここまでを「マスコミ4媒体」といい、その他折り込みチラシやDM、看板広告などと区別されてきた歴史があるが、インターネットが普及した90年代後半以降、「ネット広告」という新ジャンルが登場して急成長し、2007年にはついに6003億円もの巨額に達している。ラジオはすでに3年ほど前にキャッチアップされていた。その上、毎年その絶対額を下げ続けており、いつまで「マスコミ」という地位を保ち続けられるかという懸念すら生まれている。

 ラジオの凋落傾向は、そのハードウェアの売れ行きにもはっきりと現れている〔図3〕。

 ここではラジオ受信機単体だけでなく、ラジオ機能も組み込まれていることがはっきりしている装置4つの合計数の、ここ10年ほどの推移を辿ってみた。ラジオ組み込みの装置はこのほかにも多種類あると考えられるが、ひとつの目安として見てもらいたい。さて、今そういう「ラジオ」の売れ行きは年間400万台を割り込む寸前にまで落ち込んでいる。地上デジタルへの移行途中でこの数年1000万台を超えて売れているテレビ(受像器)とは対称的なのである。

図3 「ラジオ」の国内出荷台数の推移(1997年~2007年)のグラフ

災害時には強い味方

 あまりモノを買わない高齢者を中心に聴かれるようになっているラジオは、このままフェイドアウトへの道を辿っていくのだろうか。そんなことはない、という根拠のひとつが、地震発生後にどんなメディアにアクセスしたかという、〔図4〕に示したデータだ。

図4-1 地震体験とラジオ(10月23日の地震発生後、あなたが最初に接触したメディア)のグラフ

図4-2 地震体験とラジオ(10月23日から1週間ほどの間に地震関連の情報を収集するために接触したメディア)のグラフ

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 2004年10月の新潟県中越地震の発生直後、被災した人々の70%以上がラジオから情報を得ようとし、その後1週間ほどの期間で見ても90%の人がラジオに接触していた。ふだんであれば60代男性以外にはあり得ない高い割合だった。携帯型、ラジカセ型、カーラジオなど、停電時でも電池で長時間稼働するハードウェアが幅広く普及し、放送であるため携帯電話やインターネットのように集中して混み合うと繋がらないという心配もないラジオは、災害時セーフティネットとして不可欠のメディアだったのである。
 地上アナログ放送は2011年7月24日に消滅するが、現在、実用化試験放送中のデジタルラジオが本放送になったとしても、現在のところ今のアナログのAMやFMのラジオ放送が廃止される予定はない。日本でラジオの放送が開始されたのは1925年。現在最も普及し安定的な「情報インフラ」メディアとして、確実に100周年を迎えられそうな情勢である。

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