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新設住宅着工戸数は少ないのか、多いのか

 国土交通省の発表によれば、2007年の新設住宅着工戸数は前年比17.8%の減少で、110万戸を下回った〔図1〕。マイナス17.8%という前年比は、バブルが弾けた1991年の19.7%に匹敵する落ち込みであり、110万戸を下回ったのは実に40年ぶりのことだ。

図1 新設住宅(戸数・前年比)のグラフ

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 総務省の「住宅・土地統計調査」によれば、2003年時点の全国の住宅ストック数は5389万戸。これに対して世帯数は4726万世帯で、実に660万戸以上が余っていたことになる。しかも、初めてストック数が世帯数を上回ったのは1968年だから、少なくとも数字の上では40年間ずっと余り続けている。なぜストックは十分なのに毎年100万戸超の住宅が新設されるのか。

 答えは、中古住宅流通のシェアが極端に低いからだ。図2のように、2003年の中古流通シェアが、イギリス88.8%、米国77.6%、フランス66.4%であるのに対し、日本は実に13.1%。新築住宅の着工戸数116万戸に対して、中古住宅が売れた戸数はわずかに18万戸しかない。これではいくらストックがあっても、新築の勢いが衰えるはずがない。

図2 既存住宅流通シェアの国際比較のグラフ

 これについて、日本人は新しもの好きだからという説は、住宅については必ずしも当てはまらない。国土交通省の住宅需要実態調査における「住まいに関する意向」〔図3〕を見ると、新築住宅に住みたいと答えた世帯は53.7%でやはり過半を占めるが、中古住宅あるいは"特にこだわらない"と答えた世帯も32.5%に上る。この意向のとおりなら、中古住宅は44万戸近く売れてよいはずだ。

図3 住まいに関する意向のグラフ

 もうひとつ、よくいわれる説明が、不動産流通市場の未整備である。特に情報の透明性が十分ではないことが指摘されてきた。しかしながら2006年4月から国土交通省のホームページ上で取引価格情報、地価公示価格、都道府県地価調査価格が手軽に検索できる「土地総合情報システム」が公開されている。また2007年11月からは不動産業界が立ち上げたコンピュータネットワーク「レインズ(Real Estate Information Network System)」(財団法人東日本不動産流通機構、社団法人中部圏不動産流通機構、社団法人近畿圏不動産流通機構、社団法人西日本不動産流通機構で組織されている) によって不動産取引価格など情報交換が可能になり、すでに米国と同等の仕組みが整っているといえる状態にある。要するに、日本人の嗜好や市場の未整備といった理由では、低過ぎる中古住宅のシェアを語れないのだ。

中古住宅の取引が少ない理由

 日本の中古住宅の取引はなぜ低いのか。欧米では適切な修繕さえしていれば住宅の価値が上がり財産として積み上げられていくのに比べ、日本ではいくらおカネをかけて修繕しても建物の時価が築15年程度で消滅してしまう。建物、内装ともに、つねに手を入れた気持ちのよい家で、最新の冷暖房やユーティリティ、システムキッチンを使いこなしながら快適に住まい、なおかつそれが資産として価値を増していく欧米の国々。どんなにきれいにしても15年で住宅としての価値がゼロになる日本。中古住宅に関する意識が根本から違うといってよいだろう。日本では建物におカネをかけられない別の理由もある。

 まず、建築規制により床面積の供給が狭くなった分、地価が高騰したため、建物にコストをかけることができなかった。また、住宅は耐久消費財であり、平均利用年数は約30年と短いため、建て替え資金を必要とする。それには手元に現預金として持っていなければならないので、修繕費用は最低限に抑える傾向がある。 世界同時不況の真っ只中、今後日本でも住宅の資産化に向けた動きが求められていくことだろう。

理屈抜きに魅力を放つ家

 欧米で住宅流通の主役が中古住宅になっているのは、たとえ中古でも魅力を放つ住宅が多いということだろう。家に投資をすると、それ相応の見返りがあるからだ。図4の日米独3カ国の1世帯当たり年間消費支出を見ると、日本はドイツ、アメリカに比べて教育費が圧倒的に高く、住居・光熱・修繕そして家具の比率が著しく低い。2008年11月に発表された日本政策金融公庫のアンケート調査によると、高校入学から大学卒業までにかかる費用は、子ども1人当たり1000万円を超え、住宅ローンと教育費の合計が世帯年収の46%にも及んでいる。食費とか教育費とか、どうしても支出せざるをえないもので精一杯で、住宅にまで手が回らないという実情がある。

図4 日米独3カ国の1世帯当たり年間消費支出のグラフ

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 ストックは十分あるのだから、家の広さとか部屋数などの住まいとしての機能だけで選ぶならば、中古住宅のシェアはもっと高くなるはずだ。けれど、家は住めればよいというものではない。まして中古住宅では、古さを補って余りある外観の味や風格、建材などの質感、あるいは中古なのにドイツ製の最新のシステムキッチンにリモデルされているとか、そういう強く訴えかけてくるものがないと、わざわざ中古住宅を選ぶ意味がない。
 しかも、住宅が魅力を放つためには周辺の街並みも魅力を備えている必要がある。欧米の国々が歴史を通して独自の住宅の様式を生み街並みを育ててきたのに対し、戦後の日本は各個人が生活の洋風化を取り込んできた。日本の住宅とは何か、というテーマから手をつけなければならないのかもしれない。

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