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日本の大学の国際競争力

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テーマ「学ぶ」

100位以内に入った日本の大学は4校だけ

2008年のノーベル物理学賞と化学賞を4人の日本人が受賞したことで、日本の多くの大学関係者が「日本の大学の優秀さが改めて証明された」と快哉を叫んだ。

ところが、その直後に『英タイムズ紙』別冊高等教育版(The Times Higher Education Supplement、以下THES)が発表した「世界トップ200大学」では、日本の大学は100位以内にわずか4校しか入っていなかった〔図1〕。1位は米ハーバード、2位は米エール、3位は英ケンブリッジ......と15位までアメリカとイギリスが占め、16位にオーストラリア国立大学、日本の大学に至っては東大がアジアでトップではあるものの、全体では19位という順位が最高だった(ほかに100位に入った日本の大学は、25位京都大学、44位大阪大学、61位東京工業大学の各大学)。

図1 世界の大学ランキング20位以内の大学と日本、アジアの200位以内の主要な大学のグラフ

THESのランキングは、研究者による評価、論文の引用数、教育力、企業からの評価などに基づく総合評価が基準になっているが、はじめて発表された2004年当時から、「論文の発表は英語が基本になっているため、語学という壁がある非英語圏の大学の評価が総じて低くなっているのではないか」という声が挙がっていた。

こうした指摘を踏まえてか、2007年発表分からランキングを算出するための論文の条件が変更され、タイムズは「米国偏重が少なくなった、より多くの大学のデータが収集できている、英語以外の言語の論文も広くカバーしている」と発表した。いまや英語圏の大学ではないからという言い訳は通用しない。

あまりに低い日本の教育投資

政府の教育再生会議は2007年6月の第二次報告で、10年以内に国際ランキングで日本の大学が上位30校に少なくとも5校入ることを目標にしているとしたが、現実的にはなかなか厳しい。

理由のひとつとして挙げられるのは、教育費の公的支出の少なさだ。日本の公財政教育支出の対GDP比3.4%は、データが存在するOECD加盟国28カ国中、最下位である〔図2〕。教育段階別に見ると、初等中等教育は2.6%で27位、高等教育に関してはわずか0.5%で最下位という低水準である。公共事業費や軍事費の規模と比較すると教育支出は極めて少ない。

図2 教育機関への公財政支出のタイGDP比のグラフ

そのうえ、アメリカの大学は寄付を集める施策を戦略的に打ち出し、有名大学になると日本では信じられないほどの額の寄付金も集めているという現状がある。大学経営の基盤となる基金はハーバード大学の場合、数兆円規模といわれ(2007年度349億ドル)、その相当部分を寄付金が占めている。2007年1年間の寄付金は6億1399万ドルであった。

そうした基金の多寡は、研究環境の差となって跳ね返ってくる。アメリカの大学では研究助成費にアシスタントや秘書などの人件費まで入っている。間接費の予算もつく。しかも人件費を大学に入れると、研究者は教育の義務を免除され研究に専念できる。こうしたことが頭脳流出の一因にもなっているのだ。

厳しさを増す大学の生き残り競争

頭脳流出の逆のパターンとして、日本に来る留学生の数はどうか。この1、2年、やや減少しているものの、長期的に見れば増加傾向にはある〔図3〕。しかし、留学生の出身地域は限られ、2006年5月1日現在、中国60.2%(前年比2.8%減)、韓国の14.6%(前年比1.1%増)と台湾の4.0%(前年比0.4%増)の3カ国・地域だけで78.8%とほぼ8割を占め、アジアの近隣諸国・地域を含めると実に93%という数字になる〔図4〕。日本が積極的にアジアからの留学生を受け入れていることや、地理的に近いことが要因となっていると思われるが、欧米各国からは日本の大学があまり高く評価されていないという側面もあるのではないか。

図3 教育機関への留学生数の推移のグラフ

図4 教育機関への出身国別留学生数のグラフ

では米国への留学生数の推移を見てみよう。米国際教育協会(IIE)は昨年11月17日、2007年度に米国の大学に通う留学生数が約62万4000人(前年比7%増)と過去最高になったと発表した。留学生数の国別増加率では1位インド(前年比約13%増)、2位は中国(同約20%増)、3位は韓国(同約11%増)。日本は4位だが同約4%減。このほかベトナムが同約45%増となっている。

反対に、中国へのアメリカ人留学生数が2007年に25%増えていることも注目される(国際教育協会の最新の研究報告)。アメリカの学生の人気の留学先はイギリス、イタリア、スペイン、フランスだが、中国を選ぶ学生も急増し、今では中国はアメリカ人留学生に最も好まれる留学先ランキングの第5位にある。

少子化で今後、18歳人口は確実に減少していく。一方、文部科学省の認可基準緩和によって大学の数は10年前に比べると150校以上も増えている。国内だけでも入学者獲得で生き残りが厳しい。加えて、これから日本の大学は学生の就職などで海外の大学とも競争していかなければならない。実際、最近は大手企業を中心に外国人を積極的に採用する企業が増えている。たとえばある大手IT企業の場合、国内だけで約250人の外国人社員がいる。かつては日本の大学に留学している学生を採用する程度だったが、現在は海外の大学での採用活動も行っている。採用もグローバル時代なのだ。

大学は研究機関であると同時に教育機関でもある。優秀な人材を輩出することが大学の使命だ。しかし、ただ勉強ができるだけの人材では、国際社会では通用しない。海外の大学も視野に入れながら厳しい大学間競争を勝ち抜いていくには、社会の求める能力を備え、異文化にも対応できる柔軟性を持ち、なおかつ個性のある学生を育てることがこれからの大学には必要である。

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