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原子力へ回帰しようとする欧州

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テーマ「守る」

世界規模での資源獲得競争

まだ記憶に新しい2006年の原油価格の高騰。7月には、実にWTI価格で1バレル77.03ドルにまで跳ね上がった。そのわずか2年前には、1バレル30ドル弱で価格上昇が懸念されていたのだから、いかに桁違いだったかが分かる。にもかかわらず、1973年の第一次オイルショックの時のような社会的混乱はまったく起きず、むしろ、電気料金は2年前よりも下がっていた。なぜか......。省エネルギーが進展し、そして、非石油を軸としてエネルギー源が多様化していたからだ。

発電電力量シェアを見ると、1973年に73%を占めていた石油火力は2004年には7分の1の10%へ。代わりに、LNGや石炭火力、そして原子力発電がほぼ肩を並べてシェアを上げている(図1)。これにより、例のない高騰のショックを和らげることができたわけだが、この図式が今後も通用するかとなると、はなはだ心もとない。石炭火力は1kwhの電気を作るのにLNG火力の約6割増しのCO2を排出する。京都議定書を遵守する上では、問題のある電源だ。そのLNG火力は、どこの国もCO2を抑えて電力を確保したい事情は同じだから、世界規模での獲得競争が熾烈になっている。なによりも、エネルギー自給率の低さという脆弱性は基本的に変わっていない。原子力を国産エネルギーとしてカウントしなければ、わずかに4%。主要先進国とされる国の中で最も低い(図2)。

図1 日本の発電電力量構成比の推移

図2 主要国のエネルギー自給率(2004年)

エネルギー自給率の低さはここへきて特にクリティカルな問題になっている。世界規模での資源獲得競争が始まっているからだ。その引き金になったのは、やはり、中国。既に1990年代の前半に中国は石油の純輸出国から輸入国へと転換したのだが、その後の需要の伸びは爆発的だ。1年間の電力需要の増加量だけを見ても驚異的で、なんと東京電力の総発電電力量を上回ってしまう(図3)。

図3 中国における総発電電力量の増加

そのエネルギーをがぶ飲みする中国の石油輸入依存度が、2030年頃にはおよそ80%にも達する。世界規模の資源獲得競争が起きないわけがない。米国が「包括エネルギー法案」を成立させ、EUが「グリーンペーパー」戦略を構築して省エネルギーの取組みを強化しているのは、こうした事情による。

原子力発電の復権

これに伴って、世界的に再び注目を集めているのが原子力発電である。脱原子力が基本的な流れになっていた欧州と米国で見直しの機運が生まれたのは、元はと言えば温室効果ガス削減のため。なにしろ、原子力の発電量当たりのCO2排出量は、火力では最も少ないLNGコンバインドサイクル発電と比べても20分の1以下。再生可能エネルギーの代表である太陽光発電や風力発電よりも少ない。それに加えて、世界規模での資源獲得競争。となれば、核燃料サイクルを軌道に乗せれば準国産エネルギーにもなる原子力発電を拒絶し続けるわけにはいかない。

かくて、1979年のスリーマイル事故以降新規立地のなかった米国が、2010年までに新規原子力発電所の建設・運転開始を目指す「原子力2010プログラム」を発表。英国は20年振りに、フィンランドは9年振りに新規建設促進へ方向転換した。脱原子力の象徴だったドイツでも、キリスト教民主連盟のメルケル首相の登場で風向きが変わろうとしている。もっとも、ドイツは実態としては原子力の発電電力量シェアが日本を上回っているから、あるいは本格的に脱原子力に踏み出す前に戻ることになるのかもしれない。

そして、我が日本だが、実は、今年3月、「原子力立国計画」を「エネルギー基本計画」の主要部分として位置づけることを閣議決定している。これによれば、2030年以後も総発電電力量の30〜40%以上の供給割合を原子力発電が担う。2030年とはつまり、既設の原子力発電の代替が始まる時期。その時点でも30〜40%以上という数字を保てるように、今から用意をしていこうということだ。その意味からすると、一連の原子力発電所における事故隠蔽は原子力発電推進側にとっても痛手だったのではないか。gooリサーチの「原子力発電に関するアンケート」を見ると、「原子力発電について最も自分の考え方に近いものを選んでください」という問いに対して、原発立地地域でも非立地地域でも「安全性に不安はあるが利用を推進していくべきだ」というアンサーが最大回答であるように極めて理性的な受け止めかたをしているのだから、とにかく透明性を最優先するべきだろう(図4)。

図4 原子力発電について、最も自分の考えと近いものを選んでください

原子力も、新エネルギーも

同じアンケートの「今後増やすほうがよいと考える電源」については、ほぼ8割の人が新エネルギーを挙げている。資源エネルギー庁によれば、風力発電や太陽光発電に代表される新エネルギーの割合は2010年度目標で7%程度。最も現実的な風力発電の計画は2010年で300万kwだ。欧州を見ると、世界1位のドイツは2005年末で1842万kw、2位のスペインが1002万kw。それぞれ昨年だけで約180万kwの新規開発をしている。日本の全風力発電設備よりも60万kwも多い。いかに、日本が少ないかが分かる(表)。

表 世界の風力発電能力(2005年末)

日本の風況は欧州に比して思わしくないという説明をよく聞くが、果たして理由はそれだけか。欧州の固定価格制に対して日本は固定枠制を取るなど、風力発電に取り組む基本姿勢がそもそも消極的という声も伝わる。変動が大きいため電力系統に組み入れにくいという欠点にしても、欧州では信頼性を犠牲にしないで電力供給量の20〜40%を風力でまかなえることが実証されているらしい。「原子力も、新エネルギーも」は確か国の基本方針。その通りに、どちらにも等しく力を入れてもらいたいものだ。

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