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睡眠障害の社会的インパクト

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2007年1月31日付の日本経済新聞によれば、フランス政府が「安眠推進行動計画」を策定したらしい。睡眠の科学的な研究を促進するとともに、睡眠に関する相談窓口も開設。2007年だけで11億円強の予算を計上するというから本格的だ。フランス保健連帯省によれば、フランス人の3分の1が睡眠に障害を抱えているとのこと。研究の結果、業務効率改善などの効果が実証されれば、勤務時間中の「仮眠」の推進も検討するという。いかにも、人間の暮らしを単なる市場メカニズムに委ねないフランスらしい行政である。

睡眠障害のインパクトを経済への影響という視点から捉えようとする研究は日本でも行われていて、睡眠障害のための総合情報サイト「睡眠.info」では、日本大学医学部の内山真教授の研究結果を紹介している。それによれば、睡眠の問題がもたらす生産性の低下や交通事故などが経済に及ぼす損失は、健康被害の損失分を入れなくても、およそ3兆5000億円にも達するという。確かに、睡眠時無呼吸症候群やナルコレプシーなど、不眠症以外にも深刻な睡眠障害があることが日本でもクローズアップされたのは、痛ましい交通事故を通じてだった。

誰にも言えない

フランスでは国民の3分の1が睡眠に障害を抱えているようだが、日本ではどうか...。横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長である山本晴義医師を会長とする「セルフメディケーションによる睡眠改善を考える会」が、サービス業、金融業、製造業に勤務する20〜59歳の男性サラリーマン1000人をサンプルとして、2003年末に実施した調査によれば、49.8%が不眠層らしい。不眠層とは、寝つけないとか、眠りが浅いといった症状を、「ほとんど毎日感じている」「ここ数カ月よくある」「ここ数カ月たまにある」の3つを合わせた層。このうち、どのくらいが深刻な睡眠障害と重なるのかを、この調査結果からは判断するのは難しいが、たとえば、「仕事が苦痛である」という設問に対してイエスと回答した人の割合は、非不眠者が27.5%であるのに対して、不眠者では44.2%に達する(図1)。つまり、睡眠に問題を抱えていて、なおかつ仕事が苦痛である人が、ほぼ4人に1人いるわけだ。そういう目で、オフィスを見渡してみると、けっこう怖いことだと思われる。

図1 現在の生活の中であてはまるもの

また、男性だけでなく男女合計2158名を対象に実施した別の調査では、不眠層の約10%が「病院で医師の診察を受けた」と答えている。単なる寝不足で不調を訴えているわけではないことが伝わってくる。一方で、不眠の悩みを誰かに相談したことがないと答えた人は62.0%に上る(図2)。こういう時代だから、誰にも弱みを見せられずに一人で問題を抱え込むことは十分に想像できる。なんとかしようとは思いながらも、対応が遅れてますます障害を悪化させるパターンが思い浮かんでしまう。

図2 不眠に関して誰かに相談したか

働く独身女性の睡眠は

まだ、心療内科があまり知られていなかった頃、その先頭を切っていた医師に話を聞く機会があった。「もしも、患者さんの周りに、悩みを聞いてくれる人が2〜3人いたら、僕は失業しますよ」と、その医師は笑みを浮かべながら語った。「でも、今は、『誰かに大変なんだ』と言うと、『俺も大変なんだ』と返されてしまう。誰も話を聞いてくれないから、僕が繁盛するわけです」。思い返すと、いい時代だったなと思う。今は、聞いてもらえないどころか、「大変なんだ」と言い出すことさえできない。
そういう仕事環境が伝わってくるもう一つの調査が、「仕事を持つ独身女性の不眠実態・意識調査」だ。全国の仕事を持つ20〜44歳の独身女性1575人をサンプルに、2003年の秋に実施した調査では、不眠層が実に62.6%に達した。しかも、その内訳は、睡眠の不調が「ほとんど毎日」が21.3%。「ここ数カ月よくある」が31.1%。合わせて、52.4%にも上っている(図3)。

図3 仕事を持つ独身女性の不眠レベルの年齢層別傾向

サンプルの年収分布をみると、年収400万円未満の人が80%以上を占めており、そうした女性の多くが不眠に悩んでいることが推測される(図4)。

図4 仕事を持つ独身女性の年収

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職場で感じる3大ストレスは「人・給料・温度」。「職場での人間関係」と「給料の安さ」を不眠層のほぼ半数が挙げている点から、職場での人間関係はもとより給与面での不満や不安が不眠に少なからぬ影響を与えていることが伺える。次いで、28.3%もの人が「適切な温度調整がされていない」を挙げており、身体面でのストレスとして室内温度の影響が大きい点も興味深い。
その「職場環境の実態」を尋ねたところ、「職場で仕事以外の話題で談笑することがある」職場や、「職場の仲間でおやつを食べることがある」職場では、非不眠層が不眠層を上回っている(図5)。反対に、不眠層が非不眠層を上回るのは、「多少具合が悪い程度では休めない」「有給休暇を取りづらい雰囲気のある」「勤務時間中に病院に行きづらい雰囲気のある」職場だ。圧迫感のある職場環境が不眠に影響していることがわかる。

同調査によると、さほど経済的余裕がないと思われる暮らしの中で、41.5%もの女性がペットを飼っている。勤務先からの帰宅途中、不眠層の57.2%がドラッグストアに立ち寄るのは、ペットフードを買うためか、それとも、他の理由があるのか。この時代に、爽快な睡眠を手に入れるのは、本当に難しい。

図5 仕事を持つ独身女性の職場環境と不眠の関係

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