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病院淘汰が始まった

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テーマ「病む」

消えた1000軒の病院

病院が減り続けている。厚生労働省の医療施設調査(2005年)によれば、1990年には全国で1万96軒あった病院が、2005年には9026軒になっている(図1)。15年間で1000軒以上の病院がなくなっているのだ。これは20床以上の入院施設を持つ病院に限ったことで、入院施設が20床未満か入院施設がない一般診療所や歯科診療所は逆に増えている。

図1 全国の病院数

帝国データバンクの調査によれば、1990年から2004年までに発生した医療機関の倒産は522件。一般の企業に比べれば少ないが、医療機関の倒産も毎年発生しているのである。年ごとの倒産件数にそれほど大きな増減はない。とくに倒産が増えているというわけでもなさそうだ(図2)。ただ倒産の原因には明らかな変化が見られる。かつては最も多かった放漫経営による倒産が徐々に減少し、最近は「販売不振」による倒産が増加傾向にあるというのだ。きちんと経営をしているにもかかわらず収益性が悪化し、倒産に追い込まれるケースが増えているということだ。

図2 医療機関の倒産件数

意外に知られていないが、今は多くの医療機関が厳しい経営状況に立たされている。全国公私病院連盟と社団法人日本病院会が例年6月に行っている病院運営実態分析調査によれば、2006年6月1カ月分の総費用と総収益の差額で判別すると実に72.8%が赤字であった(図3)。とくに自治体病院の経営はまさに火の車で、黒字だったのは599病院のうちわずか56病院(9.3%)だけという惨状である。しかも2006年に何か特殊な事情があったというわけではない。最近10年間は毎年7割前後の病院が赤字になっているのである。

図3 黒字・赤字病院の数の割合(2006年6月1か月分の総収支差額)

これらの医療機関経営の大きな負担になっているのが人件費だ。病院運営実態分析調査では、総費用の約50%を給与費が占めている。患者の支持を得るためにいい医師を集めようとした結果、人件費が膨らんでしまったのだ。その背景にあるのが医師不足と医師の偏在だ。人口に比較しての医師数を諸外国と比べると、日本はドイツの6割、米国の7割程度とされる。しかも地域によって病床当たりの医師数にも大きな開きがある。

そのため人件費を抑制しようとすると他の病院に移られてしまうので、病院は経営が苦しくても待遇の引き下げができないという苦境に立たされているのである。

選ばれる病院になるためには

だが、医療機関をめぐる経営環境は今後ますます厳しくなることが予想されている。昨年、厚生労働省が発表した医療制度改革が病院経営にとっては強い逆風になるからだ。今回の制度改革ではまず診療報酬を過去最大の3.16%下げる。また療養型病床は23万床も削減する方針だ。そのうち介護保険の適用対象である介護型病床12万床は2012年までに全廃することも決まっている。現在、療養型病床を持っている病院にとっては老人保健施設などへの転換も視野に入れなければならず、大変な問題だ。さらに急性期の病床は患者7人当たりに看護師1人を配置すると診療報酬の点数で優遇されることになった。その結果、今全国では看護師の争奪戦が繰り広げられ、地方の中小病院では深刻な看護師不足が起きている。当然、これは看護師の人件費上昇も引き起こす。というわけで、病院経営がますます苦しくなるのは必定。今年は医療機関の倒産や閉鎖が一気に増える可能性が高いともいわれている。

読売ウィークリーとgooリサーチが共同で行った「行きたい病院」ランキング調査では、医療機関に対する不満も聞いている。その結果、「待ち時間の長さ」「病院自身についての情報提供」「診察費」などが上位にランクされた(図4)。診察費は法律で定められているからどうしようもないが、それ以外は病院の経営努力次第で改善できるものが多い。

図4 「行きたい病院」ランキング

病院経営は厳しい。しかしそうであるからこそ、そこにフロンティアを見出して参入してくる企業もある。事実、近年はM&Aや投資ファンドなどの形で医療界に参入する企業も少なくない。医療機関にターゲットを絞って不動産の流動化事業に乗り出している企業もある。一方、これまであまり経営努力をしてこなかった医療機関側も、最近では医療サービスやマーケティングという面に目を向け始めている。しかしいかんせん医療機関にビジネスのプロと呼べる人が必ずしもいるわけではない。そうした面では企業の力を借りざるを得ないだろう。病院経営"冬の時代"のなかで、生き残りをかけた"ビジネス競争"がこれから始まる。

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