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がんは克服できるか

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「病む」

2人に1人ががんになる

がんが脳血管疾患に代わって日本人の死亡原因の第1位になったのは、1981年のことだ。2005年にがんで亡くなった人は32万5941人。死亡者全体108万3796人の30.1%を占めている。日本人のほぼ3人に1人が、がんで死んでいることになる。がん死亡数は男女とも戦後、増え続けている。2005年のがん死亡数は1960年頃と比べると3倍以上。部位別にみると死亡数が多いのは、肺がん、胃がん、肝臓がん、結腸がんの順になっている。結腸がんと直腸がんを合わせて大腸がんとカウントすると第3位になる(図1)。肺がんが胃がんを抜いてがん死亡の第1位になったのは1993年からだ。

ただ部位別の死亡数は男女や年齢によってやや異なる。男性の場合、60歳代までは、胃、肝臓、大腸の消化器系がんによる死亡が半分弱を占めているが、70歳以上になるとその割合がやや減少し、肺がんと前立腺がんの割合が増える。女性の場合、40歳代では乳がん、子宮がん、卵巣がんがほぼ半分を占めているが、高齢になるにつれて減っていき、消化器系がんと肺がんが増大する。

図1 部位別がん死亡率(2004年)

当然のことながらがんになった人が全員、死ぬわけではない。したがってがんになる人はがんで死ぬ人よりもっと多い。がん患者の総数は2005年10月時点で約142万人。日本人の場合は、だいたい2人に1人ががんになるといわれている。

がんは、長年にわたって遺伝子が傷つけられたことで細胞が異常に増殖し発症する。そのため高齢になるほどがんになるリスクは高くなる。人間はずっと生きていたら必ずがんになるという専門家さえいるほどだ。だから、高齢化が進む日本でがん患者が増えるのは、ある意味で当然のことともいえる。実際、一定期間にがんになった人の数を単純にその期間の人口で割ったがんの粗罹患率は、戦後、増え続けている。

しかし、年齢構成の変化の影響を取り除いたがんの年齢調整罹患率は、男性の場合、1990年代半ばまでは上昇し続けていたがその後緩やかに減少している。女性も1990年代半ばまで上昇していたが、その後はほぼ横ばい状態である(図2)。同様に死亡率も粗死亡率は上昇し続けているが、年齢調整した数値をみると男女ともに1990年代の後半以降は減少している(図3)。この点について、米国ではがん死亡率が減少しているのに対し日本では増えているという誤解が一部にある。粗死亡率だけをみると確かにそのとおりなのだが、より実態に近いと思われる年齢調整死亡率は日米両国で近年は減少傾向にある(図4)。

図2 がん罹患率(年齢調整罹患率)

図3 全がん死亡率(年齢調整死亡率)

図4 男女別悪性新生物年齢調整死亡率(日米英仏伊)

がん患者が求めるサポートとは

この死亡率減少の背景には、外科手術、放射線治療、化学療法(抗がん剤)など医学の発展のほかにもいくつかの要因があると考えられる。たとえば胃がんの死亡率低下は世界的にみられる現象だが、その背景には塩分摂取量の減少があるといわれている。そして塩分が減った背景には冷蔵庫の普及があるという見方もある。また検診の普及も大きい。つい最近も厚生労働省の研究班によって、大腸がん検診を受けた人は受けなかった人より大腸がん死亡率が約70%も低かったという調査報告が発表されたばかりだ。

こうしたことから、がんはもはや「死に至る病」ではないという人もいる。たとえば5年生存率は、早期胃がんで90%以上、直腸がんは早期に治療すれば100%近く、一般に予後が難しいとされる肺がんも第1期で治療すれば80%近い生存率だ(図5-1、5-2、5-3)。

図5-1 5年生存率(胃がん)

図5-2 5年生存率(直腸がん)

図5-3 5年生存率(肺がん)

しかし、だからといって人類ががんを克服したというにはまだ早い。進行がんの5年生存率はずっと下がる。胃がんでも、第4期まで進行していると5年生存率は10%を切る。転移・再発がんも多くの場合、完治させるのはきわめて難しい。だからがん患者はたとえ早期に発見し5年生存率が高いといわれても、再発・転移の不安につきまとわれるのが常だ。

緩和ケア医療も本来はがん発症の当初から行われるべきものだが、現実は末期になってから緩和ケアに移行するのがやっとという状況だ。緩和ケア病棟(ホスピス)も近年、急速に増えてきたが、がん患者の数からいうとまだまだ不足している。適切な治療を受けられる病院が見つからない"がん難民"も少なくない。

日本の場合、がん患者の不安や精神的苦痛に対するケアの面がまだ不十分だ。多くのがん患者は「自分らしく生きたい」と考え、病状が落ち着いているときは病気になる前と変わらぬ生活を送りたいと望んでいる。これからはそうした面も含むさまざまなサポートが求められるようになるだろう。たとえば最近は、がん患者が安心して参加できる旅行プランなども企画されるようになってきた。自宅で過ごすがん患者に向けに情報やサービスを提供すれば、きっと喜ばれるだろう。2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなる時代、そうした面にもっと目が向けられていいはずである。

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