インターネットリサーチなら、NTTグループの信頼と実績、NTTコム リサーチへ

広がる格差社会のアイキャッチ

広がる格差社会

トレンド 働く

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

テーマ「働く」

明るさが増してきた雇用環境

バブル崩壊後、力強い回復軌道に乗れずにいた日本経済だが、ここにきてようやく明るい兆しが広がってきた。これに伴い、景気の遅行指数である雇用関連の指標も復調をみせている。

図1は、1970年以降の完全失業率と有効求人倍率の推移を示したものだ。完全失業率は1985年のプラザ合意を契機とした円高不況時に上昇した後、バブル期の1990、1991年には2.1%にまで低下した。そして景気の低迷期には再び上昇に転じ、2002年には5.4%となった。だがその後は、景気の回復局面入りを受けて低下傾向を示し、直近の2006年は4.1%となっている。

景気回復の影響は、失業率の改善だけでなく求人の面にも表れてきている。求職者1人に対して何件の求人数があるかを示す有効求人倍率も、2002〜2003年頃から上昇傾向が明確となり、2006年は1.06倍と、14年ぶりに1倍を超えた。さらには、団塊の世代の大量退職を間近に控えた企業がここ数年、新卒の採用を活発化しており、新卒者の採用市場はバブル期以来の"売り手市場"ともいわれているほどだ。

図1 完全失業率と有効求人倍率

景気回復の一方で格差は拡大

こうした明るい兆候の一方で、日本の労働環境はここ10年の間に大きく変化し、それによりさまざまな社会的歪みも生じてきている。

高度成長期以降、日本は「格差が少ない社会」といわれてきたが、その背景にあったのが「終身雇用」と「年功序列」という独特の雇用システムだった。新卒で企業に入社した後は毎年給料が上がり、会社が倒産しない限り定年まで同じ企業に勤め、定年退職後も嘱託社員などの形で残ることも可能、というように、1社で"勤め上げる"ことが当然のことのように受け入れられていた。だが、1990年代からの「失われた10年」の時期に、企業はバブル期に膨れ上がった設備、雇用、債務の「3つの過剰」を解消する必要性に迫られた。そして "聖域"といわれていた雇用についても、「リストラ」という名のもとに人員整理が行われたほか、年功序列による給与体系を見直して成果主義などを導入する企業も多く現れた。

痛みを伴う抜本的な改革により、日本経済は回復を果たし「いざなぎ越え」を達成、企業業績も好調を維持している。だがその一方で最近大きく取り上げられているのが、「勝ち組・負け組」などとも形容される「格差」の問題だ。

はたして格差は本当に拡大しているのか、給与の側面からみてみよう。国税庁「民間給与所得実態調査」によると、2005年の給与所得者の平均給与額(手当・賞与を含む)は436.8万円だった。平均給与額は8年連続で減少しており、直近のピークである1997年から約30万円低下している。さらに、1995年と2005年の所得階級別の給与所得者の分布状況を比較すると、年収300万円未満の人は1995年には33.5%だったが、2005年は37.6%と4.1ポイント増加している。一方で、300万円以上600万円未満が43.2%→41.5%、600万円以上1000万円未満が17.7%→16.1%、1000万円以上が5.6%→4.8%と、高額所得層になるほど減少幅は小さくなっている(図2)。つまり、この10年間で主に中間層から低所得層へと下方シフトが起こり、所得の二極分化が進んだといえそうだ。

図2 所得階級別給与所得者の構成比(1995・2005年)

では、日本の格差の状況は国際的にみてどの程度なのか、所得の不平等の程度を表す代表的な指標である「ジニ係数」でみてみよう。ジニ係数は、各世帯の所得の集中度をゼロから1までの数値で表しており、係数がゼロであれば完全な平等、1に近づくほど不平等な状態であることを示す。税金や社会保障による所得再配分後の係数を比較すると、日本は0.322と、イギリス、アメリカよりは低いものの、スウェーデン、ドイツ、フランスより高い水準にある(図3)。つまり日本は、他の先進国と比較して格差が少ないとはいえない状況にあるということだ。

図3 ジニ係数の国際比較

"機会の平等"の実現が喫急の課題

こうした格差の拡大について、一般にはどのような認識が持たれているのだろうか。2006年12月に連合が実施した格差に関する意識調査によると、格差が拡大・固定化している理由として、「パート、派遣社員などの増加」「若年層でのフリーター、ニートの増加」「社会保障制度での負担増・給付減」を挙げた人が多かった(図4)。また、格差についての考えとしては、「容認すべき」としたのが8.6%だったのに対し、やむをえない・容認するとしながら「拡大・固定化が問題」とした人が合計で62.6%にのぼった(図5)。つまり、格差が生じることは仕方ないが、それを挽回できる機会があるべき、とする向きが多数を占めたということになる。

図4 格差が拡大・固定している理由(複数回答)

図5 格差についての考え

このように、格差が広がりつつある現在の日本の社会。格差の拡大・固定を回避するには、本人の努力ではいかんともしがたい「機会の不平等」を排除するとともに、努力次第で変えることができる「結果の不平等」を容認することが必要だ。安倍内閣が重要課題として掲げている「再チャレンジ」が可能な環境が整えられ、個人の努力が報われる社会の構築が早急に求められているといえるだろう。

NTTコム リサーチは、平成24年10月1日にエヌ・ティ・ティ レゾナント株式会社からNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社へ事業譲渡され、平成25年12月9日にgooリサーチより名称変更いたしました。gooリサーチの調査結果(共同調査含む)等についてはこちらまでお問合せください。

タグ: . .

上へ戻る