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安全神話の崩壊、を検証するのアイキャッチ
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高まる治安への不安感と背景

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日本の安全神話はもはや崩れた、という類の話は至る所で耳にする。そこで、まず、報道で露出されるほどに、人々が治安の悪化に対して不安感を抱いているのか、というところからデータにアプローチしてみた。すると、やはり、その実態はあるようだ。2005年2月の内閣府「社会意識に関する意識調査」によれば、「日本社会で悪い方向に向かっていると感じる分野」という設問に対して、「治安」とした回答は47.9%で、2位の「国の財政」を8.8ポイントも引き離して断然トップである。6年前の1998年12月調査では18.8%で、およそ30ポイントも低かったのだから、危機感が高まっているのは疑いようもない(図1)。

図1 日本社会で悪い方向に向かっていると感じる分野

2005年の2月の調査ということは、2004年の実態を基にして印象が形成されているのだろう。となると、1998年と2004年で、18.8%が47.9%になるほどに犯罪の増加が深刻化しているのか、ということになる。で、一般刑法犯の認知件数を比較してみる。一般刑法犯というのは、すべての刑法犯から交通関係業務上過失を除いたものである。すると、1998年の203万3546件に対して2004年は256万2707件。26%伸びている。次に、一般刑法犯の中でも重要犯罪とされる、殺人・強盗・放火・強姦・略取・誘拐および強制わいせつで比べると、グラフのように(これは2003年との比較になるが)1万2725件に対して2万3971件であり、88.4%の増加になる(図2)(図3)。さらに刑法犯の検挙率を見ると、1998年の38.0%から2004年の26.1%へと低下している。こうした数字を見てくると、不安感が高まるのも当然という気がしてくるが、さらに犯罪の中身に踏み入ってみよう。

図2 刑法犯の認知件数・検挙率の推移

図3 重要犯罪の認知状況の推移

それぞれの犯罪の実態

1998年と2004年との比較において、一般刑法犯の中でも重要犯罪が9割近く増えていることは前述した。一方、検挙率は38.0%から26.1%になっていた。この数字からすると、殺人・強盗・放火・強姦・略取・誘拐および強制わいせつのすべてが9割近く増えて、その犯人が4人に1人しか捕まっていないかのように思えてくる。が、実態はかなり違う。たとえば、殺人である。1998年の認知件数1388件に対して2004年は1419件。2.2%の増加だ。検挙率は97.7%と94.6%。わずかな低下で、しかも、ほとんどが捕まっている。
さらに、犯罪率という指標を比較に加えてみる。人口10万人当たりで何件犯罪が発生したかを見るものである。殺人の犯罪率は1.1のままで変わらないが、長期的にみると70年代後半は1.6を超えており低下傾向にある。放火は1.2から1.7へとかなり増加しているが、これも1998年の1.2が例年と比べると異例の低さで、たとえば1976年から83年にかけては7年連続して1.7を上回っていた。強姦にしても1.5から1.7だが、1975年から82年にかけては8年続けて2を超えており、1975年に至っては3.3である。日本が限りなく安全とされた昭和40年代と比較すると、凶暴犯とされる犯罪ははっきりと低下傾向にある(図4)。諸外国と比べても、日本の犯罪率はまだまだ低い。

図4 刑法犯の罪種別犯罪率の推移

にもかかわらず、現実に一般刑法犯の認知件数が増え、人々が不安を感じているのはなぜか。主な理由と考えられるのが、日々の暮らしに近い犯罪が増えていることだ。つまり、強制わいせつや窃盗、強盗等である。強姦は長期的に見れば減少傾向にあるが、強制わいせつ、即ち痴漢の犯罪率は1975年の2.5に対し2004年では7.2にもなっている。窃盗犯は927.3から1551.7。強盗に至っては2.7が5.7と倍以上にも。住宅対象の侵入盗の犯罪率は昭和50年代よりもむしろ低下しているが、近年の認知件数で見ると急増しており、1998年と2004年の比較だと、12万3863に対する17万991件で、38%も増えている。
そして、捜査の主力が重要犯罪に向けられるためか、窃盗犯の検挙率は著しく低い。2004年のそれぞれの犯罪の検挙率を見ると、殺人94.6%、放火69.6%、強盗50.3%、強姦64.5%に対し、窃盗はわずかに22.6%。認知件数が圧倒的に多い窃盗の検挙率が際立って低いことが、全体の検挙率を低下させている。

警備業は急拡大

以下、近年の特徴的な犯罪傾向について補足しておこう。とかく話題になる少年刑法犯だが、検挙人員そのものは昭和50年代よりもむしろ低い(図5)。ただ、少年犯罪には山があり、少年人口10万人あたりでみる少年人口比では戦後4番目の山を登っている過程と思われ、山の頂は新しいほど高くなるという専門家の指摘には注意するべきかもしれない。やはりよく話題にのぼる外国人犯罪については、来日外国人の検挙件数が2003年に過去最多を記録した。とはいえ、その数は一般刑法犯で3万2087件と、全体の4.9%であるが、率でも右肩上がりの基調にはある。もう一つ、付け加えると、犯罪が全国に分散化する傾向が見られる。人口1000人当たりの刑法犯認知件数で見ると、1975年には全国平均が11.0で東京が全国1位の17.9だったのだが、2003年では全国平均が21.9。東京は24.3でさほどの差がなく、1・2・3位は大阪・愛知・福岡の32.4・31.5・30.7だ。

図5 少年刑法犯検挙人員・人口比の推移

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こうした傾向も体感不安を増大させていると考えられるが、これに伴って、警備業の売上が伸び続けている。警察庁によれば2003年で警備業全体の売上は3兆2222億4600万円と、前年と比べても実に17%のアップ。警備業法が施行された1972年11月当時と比べると、警備業者数は9131社で11.8倍、警備員数は45万9305人で11.2倍だ。自ら守ろうとする姿勢が市場を広げているが、警察官の数を世界各国と比較してみると、2005年の警察官一人当たりの負担人口は520人(図6)。トップのフランスの約2倍だ。110番の受理件数の増加とともに警察官の事務量も大幅に増えているのだが、地方警察官の条例定員数は国や地方財政の窮状を反映しさほどの増加をみていない。本格的な増員を考えてもよいタイミングがきているのではないだろうか。

図6 警察官一人当たりの負担人口

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